好きなのは貴方じゃない

agapē【アガペー】

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スティファニアが住まう部屋



「さぁ、どうぞ。スティファニアお嬢様のお部屋はこちらでございます」


レスタに案内され、部屋の中へと促されるも、スティファニアは中へは踏み入れずに立ち止まっていた。レスタは部屋が気に入らなかったのかと不安になるも、次の言葉でその考えは散霧する。


「こちらは女主人の部屋でしょう?私はまだ男爵婦人ではありませんから、この部屋を使用するわけにはいきません。それと、ここではゆっくりのんびり過ごしたいのです。出きれば目立たないお部屋がいいですわ」

「目立たない部屋?」

「えぇ、隅っこの・・・わざわざ足を向けないといけないような奥まった部屋で構いませんの」

「それは・・・奥様になられる方にそのような扱いできるわけがございません」

「お願い・・・静かに過ごしたいだけなの」


スティファニアの沈んだ表情にレスタの心臓が射抜かれた。


「わ、わかりました・・・しかし、そうなると、使用人の部屋に近いところしかそういった場所はございませんので・・・」

「それでいいわ。どうせどこにも行かないし、部屋で過ごすんだもの。持ち物もあの量ですから問題ありません」


わずかに嬉しそうな笑みを浮かべるスティファニアに、レスタは断ることができなかった。それが望みなら、聞かないわけにはいかないのだ。こうして、スティファニアは使用人部屋の一角に住まうことになる。使用人部屋の中でも一番奥の誰も使っていない部屋。そしてこの部屋に住まう事により、男爵本人が盛大な勘違いをすることになるとは誰もが思いもしなかった。盛大な勘違い、そしてスティファニアの顔を知らない男爵本人。それが最大の過ちになることは、まだ誰も知らない。




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