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レスタの怒り
しおりを挟むレスタは、使用人達にくれぐれもスティファニアを気にかけるよう言い残し急いでいた。憤りを隠さずに廊下を足早に歩く。
「こんなにも若くて綺麗で慎ましやかなご令嬢が、奥様になるためにこんな辺境に来て頂いたと言うのに・・・あぁ!くそっ、あのバカ!!」
もう心の声どころか大声で悪態をつきながらだ。
バタン!
「キール!あのバカは?」
「威勢がいいねー。さっき稽古場から戻って、今は汗を流してるよ」
「何を呑気に・・・」
レスタの怒りは駄々漏れだ。自分に相応の爵位があれば、スティファニアが欲しいと思ったことは自分の心の内に秘めておく。
「旦那様!」
シャワーを浴びていたらしい男は、濡れ髪のままバスルームから出てきた。男はこの辺境地を守る男爵家当主の、リオネル・ウェスタンブル。傭兵だった男が戦で武勲を上げ、叙爵したのが3年前の話。
「そんなに騒いでどうしたんだ?煩いぞ」
「何でも構いませんよ!それよりも何故出迎えにいらっしゃらなかったんです!あれほど最初が肝心だと言ったではありませんか!」
「レスタ・・・そんな事を言われて、俺が悪かった、すまないとでも言うと思ったか?」
「えぇ、言わないでしょうね。あなたはそういう人ですから」
「だろう?」
リオネルはタオルで髪をわしゃわしゃと拭きながらソファに腰をおろす。
「ゆっくり寛いでいる場合ですか!」
「レスタ・・・煩いと言っているのがわからないのか?」
「えぇ、わかりませんね!」
「ふん・・・で?俺が出迎えに行かなかった理由を知りたいと?」
リオネルは目を細めレスタを睨んでいた。
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