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21.進む僕

583.本当の君は…

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「なんで…ジョンにはバレちゃうんだろう?
ごめんね、僕はちょっと不安になってたんだと思うんだよ
アイツに会って…
ジョンを……捕られないかって」



アキラの言葉に目が剥いていく。
アキラの言葉が理解ができなかった!


「ちょっと、なんで僕があのカズマさんに捕られるの?
まったく、本当にまったくあの人には興味がそそられないよ?
アキラの嫌いな人としか思ってないし、アキラを害さないかって警戒心は湧くけど…あとちょっと嫉妬心も実は湧いてたけど…

僕があの人を好きになるとか、ありえないからね?」


辛そうな顔をして、アキラが僕を抱きつく力を強める
不安が拭えないとばかりに
そこには昼間の堂々とした姿も余裕も微塵もなくて


「アイツは奪っていくんだよ…
僕が必死で手に入れたモノを、アイツにはそれが僕にはどれ程に大切なものなのか理解もしないで、奪っていくんだよ!
アイツは……僕がどんなに欲しても手に入らないモノを最初から持ってるのに!
更に……」


「不安だったの?
昼間もずっと……僕にはいつもよりアキラが強そうで、堂々として、楽しそうに見えたんだ
だから、あの人にあって嬉しくて興奮したのかなって、ちょっと嫉妬しかけて…」


僕の言葉にふるふるっと小さく頭を振って否定をする。
目の前のアキラは弱々しくて、儚げで、怯えてて…僕にしか見せない素のアキラで


「アイツが来たってわかったときから、ずっと怖かった……
あいつにされたことがグルグル頭の中を回って、次にアイツが僕から奪うなら…僕に一番ダメージを与えるために奪うなら絶対にジョンだって思って……すごく怖かった!」


アキラがカタカタと体を震わせていく。
あんなに普通にダークさんや千代丸さんより、ずっと普通に話してたのに…


「駄目なんだよ、ダークやお千代さんじゃアイツは止められない!
アイツは……僕から……イヤだ……!
絶対に嫌だ!!
ジョンを捕られるなんて、ジョンが僕の側からいなくなるなんて…
絶対に耐えられないよぅ…」


もう耐えられなかった涙がポロポロっと流れていく。
アキラは耐えられないことがあると、お風呂で泣き出すことがあるけど……
今日のはいつものソレより酷い!


本当に怯えて、恐怖している。
お風呂の前の僕にすら、強がって平気な様子を見せないといけないくらいに…アキラは不安でいっぱいなんだ


「大丈夫だから…、僕は絶対にアキラ以外は愛せないし、アキラの側にずっといるよ?
僕がアキラを守るんだよ!アキラから離れるわけないじゃない?」


「違うんだ…アイツはきっとジョンのそんな気持ちすら無視して奪いにくるんだよ!
………前の僕だったら対処できたのに
今は不安でしかたないんだ
僕は……弱くなったから
昔みたいにアイツを抑え込めない、きっと抗えない」


こんなに最初から怯えて取り乱しているアキラは見たことがなくて…
いつもは相手の先の先を読んむことを考えて不敵に笑って、冷静で……


不安がるアキラに僕ができることなんて、ひたすらに抱きしめて大丈夫だよって根拠もない言葉を優しく呟くしたなかった。
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