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22.阻む君

595.ただ君がための逃亡

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「ハァハァハァ……ハァハァハァ………」


見知らぬ部屋から逃げ出して、見知らぬ街並みを必死にが走って……
あたりは朝のようで、スーツをきた人たちが全速で走って逃げる僕を驚いた顔で振り返る


早く、誰かに、早く知らせなきゃ……アキラが、アキラが!
辺りを見渡せば、遠くに見覚えのある高いビルがあって、あそこに行けばきっと


僕は周りの目も気にせずに、ただひたすらその一際高いビルに向かって走っていった。






「はぁ…おはようございます。今日も谷口はしっかりと決まってるね!
何?そのシャツは奥さんがアイロンとかかけてくれちゃうの?
羨ましいねぇ~」


「社長はフリスクをどうぞ!
酒臭いですよ…昨日もお姉さん達がいるお店で楽しんでいたのですか?
そんなことばかりしてる方には、このシャツを羨ましいがる権利はないですよ!」


「いやぁ~仕事だよ?お付き合いも立派な仕事………んっ?なんか受付が騒がしいね?
何?質の悪いクレーマーかい?
うちの会社になんて、いい度胸だね!」


二日酔い気味の重たい頭の、なかなかアンニョイな朝に、受付で何か騒いでる声がする。
丁度いい、ちょっと体を動かして頭をスッキリさせよう!受付嬢の可愛い子に羨望の眼差しでも送ってもらおう!!


っなんて不埒なことを考えながら、受付に目をやれば信じられない人物が受付嬢に必死に詰め寄っていた。



「お願いだから、マサトさんか谷口さんか、それかそれか……おじいちゃんに連絡してください!アキラが!!」


「あの…困ります。アポイントメントを………」


「ちょっと、ジョン君!何してるのよ?
えぇ?何?一人なの?
しかもそんな格好で……何があったの?」


ジョン君は下にズボンこそ履いているが、上はまったく何も着ていないし靴さえ履いていなかった。
汗だくで目は酷く充血しているし、興奮しているのがひと目でわかる。


アキラさんがこんな状態のジョン君を、会社に寄こすことなんてありえない!
つまり……


「ジョン君!何?アキラさんに何かあったの?
谷口、車の用意をして…すぐに向かうよ!」


「マサトさん…アキラが……僕がアキラを……あ"あ"あ"あ"ぁぁ……お願い助けて、アキラが死んじゃうぅ、うああぁぁ…」


俺の姿を見つけて、大きな目に耐えていたであろう涙が溢れていく。
泣きながら伝えられる言葉は最悪な状況のもので


谷口がすぐに用意した車に乗り込んで、アキラさん宅に向かう。
同時に会長にも連絡をいれて、救急搬送も寄越してもらった。


「僕がやったんだ……アキラを僕が、僕がぁ…お願い、助けてぇ……アキラを助けてぇ…うああぁぁ」


車の中で泣き崩れるジョン君の言葉は、とても信じられないもので
ただアキラさんが危ないっというだけは嫌っというほど伝わってきた。


谷口も普段では信じられないような危ない運転で、アキラさんの下に車を走らせて行った。
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