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25.怯える君

661.やっと気付いた君の痛み

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「僕は……本当に……そんな価値があるの?」


酷く暗い、今の今まで熱を孕んでいたとは思えない、凍えたようなアキラの言葉に目を剥きながら顔をあげる
アキラは何を言ってるの?


「だって……僕の価値なんて、アイツに比べたら……
それに…うっ…ジョンは嫌だって、受け入れたら、他の人を受け入れたらっ嫌だって!」


ポロポロっと涙を流しているアキラは口元を引きつらせている。そんなアキラを体を起こして見下ろしていきながら……


あぁ…そうかっやっと理解した。僕が言った言葉がアキラを苦しめていたんだ。
僕が自分以外は受け入れないで欲しいって言ったから……


「もうっ、僕のこと抱きたくないって思われたら……
僕はどうしようって…
だって僕っ…アイツに中に、中に!!
僕は………」

「そんなわけないじゃない!
あの時アキラは僕を助けてくれてたんでしょ?
アキラにはどうすることもできなかったんでしょ?
僕はそんなことにアキラの価値は見出さない!!
アキラは何も悪くないし、何も変わってない」


どんどん語尾が荒くなっていってしまう。
違う…アキラを怒りたいわけじゃないんだ
自分が情けなくてっ…
なんで気づかなかったんだよ!

アキラにとってはアレは僕に抱かれたんじゃなくて
カズマさんに抱かれたって思ってるってシノダ教授にも言われてたじゃないか!


「だって……僕は……アイツに抱かれたんだよ?
僕はジョンに触れられていいの?
なんか・・・がジョンに…
もうジョンだけのモノじゃなくなった僕なんか・・・が…」

か細い声で呟くように、自分を責めるようにアキラの言葉が部屋に溢れていく。


 



「……もういいいよ」

僕の呟いた言葉にアキラが真っ青な顔で見上げてくる。
唇はフルフル可哀想なほど震えていて、見開かれた瞳からはホロホロっと涙が流れていく。


「もうっ………僕がアキラを、ひどく犯したでいいじゃん
アキラが、そんなに苦しむなら…
僕以外に抱かれたってことが、耐えられないくらい辛いなら…
アレは僕だったでいいじゃん!
もうそれでいいよ!!

お願いだから、それ以上自分を傷つけないでよ、自分を責めないでよ……」


アキラは責めなかった。カズマさんも、僕も……
誰も責めないで、自分を責めてたんだ。
自分が非力だったと、カズマさんを受け入れてしまったと…
そして、僕に捨てられるって、僕に抱かれる価値なんか自分にはなくなったんだって、ずっと怯えていたんだ。


「違う……アレはジョンじゃない、ジョンじゃなかった!」


「僕だよ!僕がやったでいいから
なんでアキラはすぐに自分を責めるの!
なんですぐに自分を傷つけるの?
僕を責たらいいじゃん!カズマさんを責たらいいじゃん!!
アキラは完全に被害者だったでしょ?
なんであんなに傷つけられたのに…あんなに苦しめられたのに…
なんで更に自分で責めるの?」


守りたい…アキラを守りたい……


「違うっ!アレはジョンじゃなかった!!
僕が受け入れたんだ、犯されるのがわかってたのに抵抗もしなかった。
僕がカズマをっっ……
受け入れたんだよ!もうっ、僕には……」

「違うっ、アキラは拒否してたよ!
絶対に受入れたりしてなかったよ!

いいから、もういいから……
アレは僕だった、そうしよう?
ごめんね、助けてあげられなくて…
ありがとう、助けてくれて……

苦しかったんでしょ?痛かったんでしょ?気持ち悪かったんでしょ?
ぶつけていいから、僕に全部ぶつけていいから……
だからお願いだよ、自分を責めないでよ」


なおもポロポロっと涙を流すアキラを抱きしめて、放さないっとばかりにきつくきつく抱きしめて


「愛してるよ、アキラ……愛してるから、お願いだよ……」
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