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31.番う軌跡
893.もふもふ食堂 (sideバスター)
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今週末はシバの実家に挨拶に行くべく、レンタカーで移動をしている。
運転席のシバは終始機嫌がよさそうで、少しハズレた鼻歌を口ずさんだりしている。
「うちの実家は母ゃんが一人で食堂をやってるんですけど、あんまり驚かないでくださいね?かなりボロいから…
あと、下の三つ子の弟達が今日は家にいるみたいなんですよ、たぶんめちゃうるさいです。」
「あぁ楽しみだよ、きっと美味い食堂なんだろうな、シバの料理をいつも食べさせてもらってるからわかるよ
ふふっ…弟さん達に会えるのも嬉しいよ、シバに似てるのか?きっと可愛いだろうな」
「まぁ…可愛いですけど、とにかくうるさいです。ずっと誰かが喋ってるか吠えてるかしてるから…」
そんなのんびりとした話をしながら、私は密かに緊張している。
お母さんは私を認めてくれるだろうか…
シバよりも年上で、こんな体のでかいおっさんと大事に育てた息子が結婚したいなどと言い出したら…反対されるのでは…
緊張を逃がすようにシバに気づかれないようにため息を吐く
きっとシバもこんな気持ちで私の姉に挨拶をしてくれたのだろう、あのときのシバのテンパリ具合を思い出しで頬が緩む
よし!今度は私が頑張らなければ…
「あっ、ほらっ見えてきました。時間も丁度いいくらいですね、ふふっ…大丈夫ですよ!
母ちゃんはちょっと豪快な人だけど、バスターさんはこんな完璧な雌なんだから!反対するはずないじゃないですか!
ほらっ、緊張してますか?ふふっ…この前と逆ですね?」
「そんなことないだろう…こんなおっさんが嫁なんかにきたらひっくり返るだろう?
でも今回は私が頑張るから、紹介は頼むな…」
町外れで隣町との道沿いにあるかなり古びた木造で二階建ての食堂が見えてくる。
手書きの小さな木の看板に、道路のコンクリートと駐車場がそのまま続いていて、食堂の前には無秩序な花のプランターが何個か置いてあり、二階の窓からは無数の布巾が干されている。
これは…私が冒険者だったら頻繁に通いたくなる店だ、絶対に美味くて安い店だと思う…
シバが『休憩中』っと書かれている引き戸をガラッと開けていく
「母ちゃん!ただい…」
「うわぁ!!兄ちゃん帰ってきたよ!母ちゃん、兄ちゃん帰ってきたよ!
番相手どこ?どこ?俺が最初に見るから、ずっと待ってたんだから!」
「サブ、ズルい俺だって見たい!どこっ?えぇ…えぇ!!」
「シロー何?番さんそんなに綺麗なの?立派なの?俺も見たい、シバ兄ちゃんの番さん見たい…」
「「「エエェェ!!?」」」
転げだすように三人の人狼が出てきて口々に騒ぐと、私を見て驚愕の声を上げていった。
シバよりも小ぶりな体つきに、シバによく似たモフモフモコモコの茶色の毛並みの三人が、並んで表情がコロコロ変わっていく様がなんとも…可愛い!
三人ともTシャツにハーフパンツと大変ラフな格好で、その毛並みも肉の付き方も正に健康体で…確かに誰かしらがひたすら話している。
「マジか!何?男だよね?他種族だよね?
兄ちゃんが雌になるの?雌になっちゃうの?」
「えぇ!シバ兄ちゃんが…なんで?あの強いシバ兄ちゃんが雌に…なんで?」
「でも、この人は…強そうだよ!シバ兄ちゃんよりデカいし、ムキムキだし、シバ兄ちゃんより強いんじゃない?でもシバ兄ちゃんが雌に…」
口々にシバが雌になることを心配しているが…やはり雄が雌になることは、あまり歓迎されないことなのだろうか
「とりあえずお前たちは、うるさい!先ずはご挨拶、そしたら、母ちゃん呼んできてくれ!」
「「「はい!いらっしゃいませ!少々お待ち下さい。」」」
三人がシバの号令をきくように、一緒にペコリっと挨拶をするとバタバタと店の奥に走っていった。
さすが食堂の息子だなっといった、流暢な挨拶をして呼んできてくれたのが、これがまたぽっちゃり体型で、シバよりも身長が低いが2倍以上は幅があるぷくぷくモフモフのお母さんだった。
人の良さそうなタレ目の顔立に、シバよりと白が混じった毛並みは白髪なのだろうか…
もう私は緊張と可愛いで、頭がわちゃわちゃなりそうになっていた。
運転席のシバは終始機嫌がよさそうで、少しハズレた鼻歌を口ずさんだりしている。
「うちの実家は母ゃんが一人で食堂をやってるんですけど、あんまり驚かないでくださいね?かなりボロいから…
あと、下の三つ子の弟達が今日は家にいるみたいなんですよ、たぶんめちゃうるさいです。」
「あぁ楽しみだよ、きっと美味い食堂なんだろうな、シバの料理をいつも食べさせてもらってるからわかるよ
ふふっ…弟さん達に会えるのも嬉しいよ、シバに似てるのか?きっと可愛いだろうな」
「まぁ…可愛いですけど、とにかくうるさいです。ずっと誰かが喋ってるか吠えてるかしてるから…」
そんなのんびりとした話をしながら、私は密かに緊張している。
お母さんは私を認めてくれるだろうか…
シバよりも年上で、こんな体のでかいおっさんと大事に育てた息子が結婚したいなどと言い出したら…反対されるのでは…
緊張を逃がすようにシバに気づかれないようにため息を吐く
きっとシバもこんな気持ちで私の姉に挨拶をしてくれたのだろう、あのときのシバのテンパリ具合を思い出しで頬が緩む
よし!今度は私が頑張らなければ…
「あっ、ほらっ見えてきました。時間も丁度いいくらいですね、ふふっ…大丈夫ですよ!
母ちゃんはちょっと豪快な人だけど、バスターさんはこんな完璧な雌なんだから!反対するはずないじゃないですか!
ほらっ、緊張してますか?ふふっ…この前と逆ですね?」
「そんなことないだろう…こんなおっさんが嫁なんかにきたらひっくり返るだろう?
でも今回は私が頑張るから、紹介は頼むな…」
町外れで隣町との道沿いにあるかなり古びた木造で二階建ての食堂が見えてくる。
手書きの小さな木の看板に、道路のコンクリートと駐車場がそのまま続いていて、食堂の前には無秩序な花のプランターが何個か置いてあり、二階の窓からは無数の布巾が干されている。
これは…私が冒険者だったら頻繁に通いたくなる店だ、絶対に美味くて安い店だと思う…
シバが『休憩中』っと書かれている引き戸をガラッと開けていく
「母ちゃん!ただい…」
「うわぁ!!兄ちゃん帰ってきたよ!母ちゃん、兄ちゃん帰ってきたよ!
番相手どこ?どこ?俺が最初に見るから、ずっと待ってたんだから!」
「サブ、ズルい俺だって見たい!どこっ?えぇ…えぇ!!」
「シロー何?番さんそんなに綺麗なの?立派なの?俺も見たい、シバ兄ちゃんの番さん見たい…」
「「「エエェェ!!?」」」
転げだすように三人の人狼が出てきて口々に騒ぐと、私を見て驚愕の声を上げていった。
シバよりも小ぶりな体つきに、シバによく似たモフモフモコモコの茶色の毛並みの三人が、並んで表情がコロコロ変わっていく様がなんとも…可愛い!
三人ともTシャツにハーフパンツと大変ラフな格好で、その毛並みも肉の付き方も正に健康体で…確かに誰かしらがひたすら話している。
「マジか!何?男だよね?他種族だよね?
兄ちゃんが雌になるの?雌になっちゃうの?」
「えぇ!シバ兄ちゃんが…なんで?あの強いシバ兄ちゃんが雌に…なんで?」
「でも、この人は…強そうだよ!シバ兄ちゃんよりデカいし、ムキムキだし、シバ兄ちゃんより強いんじゃない?でもシバ兄ちゃんが雌に…」
口々にシバが雌になることを心配しているが…やはり雄が雌になることは、あまり歓迎されないことなのだろうか
「とりあえずお前たちは、うるさい!先ずはご挨拶、そしたら、母ちゃん呼んできてくれ!」
「「「はい!いらっしゃいませ!少々お待ち下さい。」」」
三人がシバの号令をきくように、一緒にペコリっと挨拶をするとバタバタと店の奥に走っていった。
さすが食堂の息子だなっといった、流暢な挨拶をして呼んできてくれたのが、これがまたぽっちゃり体型で、シバよりも身長が低いが2倍以上は幅があるぷくぷくモフモフのお母さんだった。
人の良さそうなタレ目の顔立に、シバよりと白が混じった毛並みは白髪なのだろうか…
もう私は緊張と可愛いで、頭がわちゃわちゃなりそうになっていた。
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