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32.亀裂
971.誰がための救い 6 (sideバスター)
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「本当に番ってるんでしょうか…
シバは家では前とほとんど変わりません、足が悪いのに私に尽くしてくれて、ずっと楽しそうに嬉しそうに過ごしていて…とても優男と番ったとは思えないんです。」
「残念ですが状況からいったら番っていない可能性はほとんどありません…
使われた媚薬はA印の純正品、首にはしっかりとした噛み跡が残ってて、状態異常で発情まででている。
その可能性があるとすれば…、いや、やめましょう…そちらに希望を求めてはいけません…未来を見ましょうバスターさん!」
シバの二日ごとの通院でダークさんに尋ねるが、返事は変わらないもので…何度目かもわからない、私の質問にダークさんは同じ応えをされる。
そして痛々しそうに、私を励ますのだ。変わらないとはわかりつつ、聞かずにはいられない…
あれから一ヶ月経って、通院になってからのシバの回復は、すごく順調で薬の量も減っている。シバの私への対応は相変わらず、優しくて甘くて、とても優男と番ったとは思えないのに…
「シバさんは調子がかなりよさそうですね、足以外はもう完治ですね…それよりもバスターさんが心配ですよ、精神ダメージがかなり入ってますよ、普段の生活ならそんなダメージは入らないでしょう!隈も酷い…寝れていませんねっ、睡眠薬は効きませんか?」
「すいません…どうしても使う気になれなくて、寝てしまったときに、シバが消えたらと思うと…恐ろしくて」
優男の処罰はほとんど決定らしいが、まだいろいろな手続きがあって拘束されるに留まっている。もしもシバがそれを知れば、助けに走るのだろうか…
「とりあえずですが、人狼自治区の法整備はま順調です。半年以内には被強制番保護法が施行されるようにします。
人狼自治区でバスターさんがシバさんを保護して、それがシバさんが望まなくても裁かれたりはしません、人狼自治区の目ぼしい物件はアキラが探しています。社宅として扱えるようにするそうです。」
「わかりました。ありがとうございます…感謝いたします。」
私の気持ちだけが宙に浮いて、周りがすごい早さですすんでいく。
シバがもしも優男と一緒に生きていきたいと願ったら?私さへシバを諦めればいいのではないか?私ができることは…
シバを縛り付けて監禁することなのだろうか?
優男さへシバの側にいればシバは安定するのではないか?ならば優男の四肢を切り落として、シバに与えれば…シバはひたすらに優男に好きに尽せて幸せになれるのではないだろうか?
思い立ったことは、やはり仄暗いことで…
それでもシバに憎まれながら、シバを傷つけて監禁するよりもマシだと思えることで…
しかしそんな優男とシバの暮らしには私の存在は邪魔なものだ…
それに番を傷つけた私をシバは許すだろうか?
それから私はシバの前から去るのが望ましい…
私は諦められるだろうか、あのどこまでも幸せだった時間を、何モノからも守られている安心感を、諦めて忘れて一人で生きていけるだろうか…
無理だろうな、それならば縋ってでも側に置いてくれと泣き喚くか?
優男の次でいいと、ほんの僅かな愛でもいいからと乞えは、優しいシバなら少しは同情してくれるだろうか?ないな…シバは一途で、浮気などありえない
それでも側にいさせて欲しい、ただの一声でも掛けてもらえるなら、それだけで構わないからと…
あぁ…いつから私はこんなに卑屈になったのだろう、シバと付き合う前は…もう少しはマシな性格だったはずなのだが…
「バスターさんお待たせしました。帰りましょう?
今日は帰りに醤油とバターと、明日の朝の卵が買いたいです。明日の朝はは卵焼きがいいですか?それとも目玉焼きですか?」
シバが検査室から出てきて、いつもの笑顔で私に話しかけてくる。仄暗い思考が、その笑顔に自然と離散していく。
松葉杖はついているが、さすがシバだ、松葉杖に慣れればかなり早く歩けるし、なんなら家の中では片足ケンケンで走り回っている。
買い物なら、タクシーに近くのスーパーで下ろしてもらわないといけないな、シバは普通に松葉杖でも私と散歩に行きたがるくらいだから、スーパーくらいの距離なら大丈夫だろう
「そうだな…シバの卵焼きがいいな、シバの卵焼きは薄味ですごく好きなんだよ、大根おろしが付いてると嬉しいな…」
「はい、わかりました!大根も買って帰りましょうね!この足っていつ治してもらえるんですかね?薬がなくなるまでダメなのかな?
買い物のときに荷物とか持てなくて不便なんだよなぁ…早く治してほしいです。」
「どうだろうな…それは、ダークさんに聞かないとな…」
「そうですねっ…俺は早く自由に動けるようになりたいです。そしたら、アイツに必ず会いにいって…」
シバの不意な小さな呟きに背筋が凍る。
それは私がずっと恐れていたことで、やはりシバは優男のところに走るのか?私はお前を…失うのか?
シバは家では前とほとんど変わりません、足が悪いのに私に尽くしてくれて、ずっと楽しそうに嬉しそうに過ごしていて…とても優男と番ったとは思えないんです。」
「残念ですが状況からいったら番っていない可能性はほとんどありません…
使われた媚薬はA印の純正品、首にはしっかりとした噛み跡が残ってて、状態異常で発情まででている。
その可能性があるとすれば…、いや、やめましょう…そちらに希望を求めてはいけません…未来を見ましょうバスターさん!」
シバの二日ごとの通院でダークさんに尋ねるが、返事は変わらないもので…何度目かもわからない、私の質問にダークさんは同じ応えをされる。
そして痛々しそうに、私を励ますのだ。変わらないとはわかりつつ、聞かずにはいられない…
あれから一ヶ月経って、通院になってからのシバの回復は、すごく順調で薬の量も減っている。シバの私への対応は相変わらず、優しくて甘くて、とても優男と番ったとは思えないのに…
「シバさんは調子がかなりよさそうですね、足以外はもう完治ですね…それよりもバスターさんが心配ですよ、精神ダメージがかなり入ってますよ、普段の生活ならそんなダメージは入らないでしょう!隈も酷い…寝れていませんねっ、睡眠薬は効きませんか?」
「すいません…どうしても使う気になれなくて、寝てしまったときに、シバが消えたらと思うと…恐ろしくて」
優男の処罰はほとんど決定らしいが、まだいろいろな手続きがあって拘束されるに留まっている。もしもシバがそれを知れば、助けに走るのだろうか…
「とりあえずですが、人狼自治区の法整備はま順調です。半年以内には被強制番保護法が施行されるようにします。
人狼自治区でバスターさんがシバさんを保護して、それがシバさんが望まなくても裁かれたりはしません、人狼自治区の目ぼしい物件はアキラが探しています。社宅として扱えるようにするそうです。」
「わかりました。ありがとうございます…感謝いたします。」
私の気持ちだけが宙に浮いて、周りがすごい早さですすんでいく。
シバがもしも優男と一緒に生きていきたいと願ったら?私さへシバを諦めればいいのではないか?私ができることは…
シバを縛り付けて監禁することなのだろうか?
優男さへシバの側にいればシバは安定するのではないか?ならば優男の四肢を切り落として、シバに与えれば…シバはひたすらに優男に好きに尽せて幸せになれるのではないだろうか?
思い立ったことは、やはり仄暗いことで…
それでもシバに憎まれながら、シバを傷つけて監禁するよりもマシだと思えることで…
しかしそんな優男とシバの暮らしには私の存在は邪魔なものだ…
それに番を傷つけた私をシバは許すだろうか?
それから私はシバの前から去るのが望ましい…
私は諦められるだろうか、あのどこまでも幸せだった時間を、何モノからも守られている安心感を、諦めて忘れて一人で生きていけるだろうか…
無理だろうな、それならば縋ってでも側に置いてくれと泣き喚くか?
優男の次でいいと、ほんの僅かな愛でもいいからと乞えは、優しいシバなら少しは同情してくれるだろうか?ないな…シバは一途で、浮気などありえない
それでも側にいさせて欲しい、ただの一声でも掛けてもらえるなら、それだけで構わないからと…
あぁ…いつから私はこんなに卑屈になったのだろう、シバと付き合う前は…もう少しはマシな性格だったはずなのだが…
「バスターさんお待たせしました。帰りましょう?
今日は帰りに醤油とバターと、明日の朝の卵が買いたいです。明日の朝はは卵焼きがいいですか?それとも目玉焼きですか?」
シバが検査室から出てきて、いつもの笑顔で私に話しかけてくる。仄暗い思考が、その笑顔に自然と離散していく。
松葉杖はついているが、さすがシバだ、松葉杖に慣れればかなり早く歩けるし、なんなら家の中では片足ケンケンで走り回っている。
買い物なら、タクシーに近くのスーパーで下ろしてもらわないといけないな、シバは普通に松葉杖でも私と散歩に行きたがるくらいだから、スーパーくらいの距離なら大丈夫だろう
「そうだな…シバの卵焼きがいいな、シバの卵焼きは薄味ですごく好きなんだよ、大根おろしが付いてると嬉しいな…」
「はい、わかりました!大根も買って帰りましょうね!この足っていつ治してもらえるんですかね?薬がなくなるまでダメなのかな?
買い物のときに荷物とか持てなくて不便なんだよなぁ…早く治してほしいです。」
「どうだろうな…それは、ダークさんに聞かないとな…」
「そうですねっ…俺は早く自由に動けるようになりたいです。そしたら、アイツに必ず会いにいって…」
シバの不意な小さな呟きに背筋が凍る。
それは私がずっと恐れていたことで、やはりシバは優男のところに走るのか?私はお前を…失うのか?
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