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1027.タネ明かし 2 (sideバスター)

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今日も何故か私がインタビュアーに囲まれてしまって、今回はシバの決闘なのだからシバのことを聞かれるのはわかるが、なぜ使っているシャンプーや石鹸や香水を聞くのだろうか?私の写真を撮りまくられたが、何に使われるんだ?

理由がわからないが、会社の広報にもなるのでしっかりとインタビューには応えていくが…さすがにげんなりしたところで、シノダ教授が打ち切ってくださった。


「はぁ~、ありがとうございます。すいません、また事務作業をお任せしてしまいましたよね?」

「ははっ、いいんですよ広報は完全にバスターさんが担当してるじゃないですか!
さて、そろそろシバさんとアキラ君を迎えに行きましょう!シバさんの控室にいるはずだから」


そんなお優しい言葉をかけられながらシバの控室の扉を開けば、そこにはパソコンを開いているシバがいて、アキラさんはソファに座り私になんとも言えない笑顔を向けてくる。
アキラさんの表情に嫌なものが背筋な走る。
シバが食い入るように見ているものはなんだ?

音はイヤホンをつけているから聞こえないが、あきらかに口元を結んで眉間にシワを寄せて睨むように見ているシバの顔が…
体も小さくぷるぷると震えている気がするし、アレはもしかして…

アキラさんに再度視線をやれば、小さく首を振っていて、それはきっと今更止めても無駄だという意味で
見られた?私の決闘を?
確かに時間の問題だった。決闘したことはすぐにシバの耳に入るだろうし、隠し通せるものでもないし、ネットにすら私の画像や一部動画が貼られたりしている。

いつまでも黙ってられるはずがないのだが、でもタイミングじゃないといけませんか?アキラさん…だって、私達はやっとおちついた日々が取り戻せて

もうアキラさんに縋るような目線を送ってしまうが、たぶんどうしようもないことなんだろう
そうだ、バレるなら自分から言ってしまった方が傷は浅く済むものなのだ


私はただ思考をぐるぐる回して、入口で棒立ちしてしまっていた。シノダ教授がそんな私を気遣って、コーヒーを入れてソファに促してくれる。
シバはチラリと顔を上げたが、すぐに画面に目を戻してしまってその顔は険しいままで

私はただ香りも味もわからない、その苦みだけを感じられるコーヒーを震える手でチビリと飲んで待つしかできなくて
向かいにはシノダ教授とアキラさんが静かに座り、奥の作業用のデスクのシバが大きなため息をついてイヤホンを置くまで、まるでお通夜のような雰囲気で三人で黙って待っていた。


シバがゆっくりと私の横のソファに座ると、もう何を言われるかと体を硬くしながら待っていれば


「バスターさん、駄目じゃないですか!
あんな危ない戦い方をして…俺は心臓が止まりそうなくらい心配しましたよ!」


その声はいつも通りで怒気は含んでいるけど優しい声で、シバの雰囲気も私が想像していたよるずっと落ち着いていて、たぶんこれは心配ゆへの言葉で
アキラさんやシノダ教授もそれを感じてか、小さくため息をつくと普段通りにゆっくりとコーヒーを飲みだした。


「あぁ…すまない、どうしてもアイツラダにシバよりも弱いとわからせたかったんだ、冒険者のプライドをへし折ってやりたかったし、最後の一時も絶望させて葬りたかったから…」


自分の声が子供が言い訳をするような響きに聞こえる。そうか…私は今叱られているんだな、シバの中であの決闘はその程度で終わることで、そこには私への軽蔑も悲観もなくて


「それにしても無茶をし過ぎですよ!
無抵抗で攻撃を受けまくるなんて、下手したら一撃必殺がありえるラティオランス雷の槍まで自分から受けるなんて、毒系の魔法なんて俺は初めて見ましたよ、有効になってたら大変なことでしたよ!」

「私は雷系の魔法なら私は耐性がかなり強いし、毒系はヤドクドラゴンの攻撃でも通らないから大丈夫かなっと…ごめんなさい」


謝り続けているが、気持ちが落ち着いていく
私はシバにあの嫉妬丸出しの表情は醜いだろうと、項を丸出しの姿ははしたないだろうと、怒りのままに暴れる姿は不様だろうと思っていて…心配で不安でしかたなかった。


「もう!バスターさんにもしものことがあったら、俺は生きていけませんからね!本当にやめてくださいね!!」

「はい、すいません…もう二度とやりません…」

「ぶふっ…くくっ…すいません、バスターさんがシバさんに怒られて謝ってるのが珍しすぎて、ついっ…アハハ!駄目だ、止まらない!」


アキラさんの笑い声で部屋の雰囲気が和んでいく、シノダ教授もくすくすと小さく笑っていて頬が熱くなっていく


「笑わないでくださいよ、たまに…本当にたまにですけど、冒険者のときもこういうことはありました。バスターさんは本当に無茶なことをするから!」

「いやっ…まぁ、そうだな…3、4回くらいあったかな?」

「10回以上ありますよ!ダンジョンの壁をぶっ壊して進もうとしたり、マグマ溜まりを仲間を抱えて渡り切ろうとしたり!ダンジョンボスにわざと食わられて、腹から攻撃したこともあったじゃないですか!
ほとんどどうしようもない窮地だったけど、本当に無茶ばかりするんだから!」


そういえばそうだったかな?っと思い出しつつ、はぁ~っと盛大にため息をつくとシバが俺を強く抱きしめてくれた。
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