猫に転生(う)まれて愛でられたいっ!~宮廷魔術師はメイドの下僕~ 

東 万里央(あずま まりお)

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本編

※おっさんは(聞いていないのに)語る!(5)

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 手でシーツをかたく掴んで、顔を枕に押し当てて声を堪える。感じ過ぎておかしくなってしまいそうだった。

「ん……んっ」

「アイラ、我慢することはない」

「だ……ってぇ……」

 次の瞬間、アトス様の指が私の盛り上がった芯を探り当てる。それだけではなく、きゅっと摘まんでぐりぐりと刺激してきた。快感が背骨を伝って脳みそにまで駆け上っていく。

「あ、あ、あ、だめ、だめ、そこっ……」

 お腹の奥がじんじんとする。身を捩って逃げようとしたけれども、なのにもっとしてほしいとも感じて、私はなんて言っていいのかわからず、シーツの上に涎のシミを作るしかなかった。

「にゃぁあん……あ、あ、あ、あんっ」

「そう、それでいい。アイラ、意地を張った君も好きだけど、素直な君も好きだよ。つまり、どんな君でも好きだ」

 甘い言葉も快感に掻き消されて耳に入らない。私は猫耳をピクピクさせ、涙を滲まながら喘ぎ続けた。

「蜜が溢れるようだ。それに、フェロモンも……たまらないな」

 気持よさのあまりに中が妖しく蠢いて、アトス様の指をきゅっと締め付けるのが自分でもわかる。アトス様の指はテクニシャンですごくいい。でも、締め付けたその細さに物足りない思いもあった。

――もっと大きくて、太くて、熱いものが欲しい。
 
 すると、エスパーなのかと思うタイミングで、アトス様が背後でくすくすと笑って、私の耳元に熱い息を吹きかけつつこう囁いたのだ。

「アイラ、大分体が火照ってきたね。そろそろ欲しいものがあるだろう?」

 どうして私の顔も見ていないのに、バレてしまうのだろうか?

「な、ない……そんなの、ない…もん」

 忘れかけていた恥ずかしさが蘇り、涙を流しているのに強がってしまう。

「悪い子だね。君の欲しいものはこれだろう?」

 不意に強い力で腰を抱え上げられ、私は引っ張られる形で四つん這いの姿勢になった。お尻に求めていたものが押し付けられる。そうされてしまうとお腹の奥にまた火がついた。

 悔しいし恥ずかしいけれども、アトス様は私の体の知り尽くしていて、どのタイミングでどうしてほしいか、完全に把握しているみたいだった。

 まったくその通りで私の中を満たしてほしくて、体もそう訴えて熱く潤っている。だけど、まだわずかに残っていた羞恥心が私に反抗させた。

「ちがうも……あんっ」

 言い終わる前にアトス様の欲望の先端が、ほんの少しだけ私の中に入り込んでくる。

「あ、あ、あ……」

 望んでいたものを与えられた喜びと切なさに、喉の奥から息が押し出されて、体はぶるりと震えた。

 ところが、アトス様は途中で動きを止めてしまう。どうしたのかとなんとか振り返ってみると、その唇の端には笑みが浮かんでいた。

「君が欲しくないのだと言うのなら、これ以上無理強いはしない」

「えっ……」

「さあ、アイラ、どうする? すべては君に任せよう」

 これだけ燃え上がらせて、もうちょっと入れておきながら、そんなことを言うなんてひどい。

 涙目の私にアトス様は優しく告げる。

「……お仕置きすると言っただろう? さあ、アイラ、どうしてほしいのか言ってごらん」

 まさか、羞恥プレイがお仕置きだなんて、アトス様はなんて意地悪な飼い主なんだろう。私はなんとか言葉を紡いだ。

「い、じわる……」

「うん? 聞こえないな」

 アトス様が軽く腰を動かし、私の入り口を分身で掻き回す。

「あんっ……」

「アイラ、音が聞こえるだろう。皆、君が出した蜜だ。ほら」

「や、だあ……」

 心と体がバラバラなのか同じなのかわからない。けれども、これ以上お腹の奥の疼きに堪えられそうになかった。

「……ちょう、だい」

 ようやく出た声は蚊の鳴くよりも小さかった。

 アトス様が楽しそうに聞き返す。

「うん? なんだい? 聞こえなかったからもう一度」

 私はやっぱりアトス様は意地悪だとすすり泣く。もう恥ずかしくて死にそうなのに。

「アトス様を、ちょうだい……アトス様の、大きくて、熱いの……」

 アトス様が「いい子だ」と笑った。

「すぐに上げよう――ほら」

 ズンと一息に奥まで貫かれて一瞬息が止まる。

「いにゃぁぁあああんっ……」

 快感と圧迫感が一緒になってやって来て、頭が一瞬真っ白になった。くずおれそうになる体をなんとか支える。

「アイラ、素直になったご褒美を上げよう」

 笑みを含んだ言葉とともに、私の中から熱い楔が引き抜かれた。

「ひゃあっ……」

 内臓ごと引っ張り出されるみたいな感覚に体がぞくぞくと震える。かと思うと、また音を立てて奥にまで突き入れられて背を仰け反らせた。

「あんっ……あんっ……あぁあっ」

 繰り返される衝撃に首を振って耐えるしかない。今度は涙がシーツの上にいくつも落ちた。

「アイラ、私が好きかい?」

 言葉の意味を考えるまでもなく反射的に答える。
 
「好き……好きぃ……アトス様も、アトス様の大きいものも、好きぃ……」

 アトス様の動きが一瞬止まる。数十秒後、大きな溜め息とともにアトス様は呟いた。

「……まったく、アイラ、君は、本当に私の理性を飛ばすのがうまい」

 私の腰を抱える腕に力を込める。そして、再び私の奥を強く突いたのだった。
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