上 下
39 / 191
第一幕 断罪からの始まり

vs23 女性も剣術を!

しおりを挟む
 体力作りの為の授業は、将来騎士団長となるベルンハルトが主体となって行われた。
走り込み、腹筋と背筋、腕立て伏せから剣術…それらを男子が行う。
女子は基本的に体力が弱いので、走り込み…軽いランニングと柔軟体操で終わる。

ランニングを終えたマリアがベルンハルトに寄って行く。
「私も男子みたいな剣術が習いたいな。自分の身は守れないと困るでしょ?」
「困る? 護衛騎士に守って貰えばいいだろう」
ベルンハルトがふっと笑って言う。
「あら、私は平民だから護衛騎士なんて居ないのよ? それに、女だけの中で魔物に襲われたら?」
その意見にベルンハルトが何も言い返せずにいると、マリミエドも勇気を出して参加する。
「それは賛成ですわ。わたくしも教育の中で剣術は習いますもの。身を守る剣術、是非指導して頂きたいわ」
そうマリミエドが真剣に言うので、ベルンハルトは困惑しながらもレイピア程の木の棒を2つ持ってくる。
「ならばこれで素振りだ。突きの方がいいか…?」
自問自答しながらもマリアとマリミエドに渡して、自分も長い木の棒を持つ。
「レイピアならこうして突く、サーベルなら切り落とすのもあるので振り降ろす」
そう言いながら、突きと振り降ろしをやってみせる。
2人が同じようにやると、周りの女生徒が数名寄ってくる。
「あの、わたくし達もやらせて頂けませんか?」
そう言うので、ベルンハルトは困りながらも苦笑して頷いた。

それからは数人の女生徒達が素振りをして授業を終えた。

 着替え終えて教室に戻ると、男性達が素振りをしていた女生徒に話し掛ける。
「何故素振りを?」
「自分の身を守れたら、騎士の方も安心して戦えるでしょう?」
笑ってマリアが答える。
「しかし女性が剣術など野蛮なのでは…」
そんな否定的な意見に、ついマリミエドが反論する。
「あら、皇后陛下はレイピアを習っておりますわ。いつ如何なる時に暗殺者が来てもいいようにと、肌見離さず短剣もお持ちです」
「………」
その意見に何も言えず、数名の男性が立ち去る。
中には舌打ちをする者もいた。
〈…野蛮なのはどちらかしら。マリアさんに聞けそうに無いわね…〉
先程の事を聞きたいが、皆と楽しそうにお喋りしているので入って行けず、マリミエドはバルコニーに出る。

 次の授業は自習…。
それぞれの自由にしていい時間だ。
不得手な勉強を進めたり、友達同士で教え合ったりする。
それから昼食で、帰るだけだが…。
〈…お友達も作りたいわ…〉
楽しそうなマリア達が羨ましい。
〈あんな風に、楽しくお喋り出来たらいいのに…〉
いざ話をすると、ついつんけんした受け答えになってしまうのは自覚している。
〈楽しく、のびやかに…〉
練習をしてみてはどうだろうか?
〈そうだわ! 自習時間はお喋りの練習をしましょう!〉
皆のように明るく笑い合って話が出来るようになろう!
マリミエドはグッと胸の前で拳を作り、そう決意した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

いつから魔力がないと錯覚していた!?

BL / 連載中 24h.ポイント:23,983pt お気に入り:10,506

アリスと女王

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:504pt お気に入り:903

ミルクの結晶

BL / 完結 24h.ポイント:390pt お気に入り:173

氷の公爵はお人形がお気に入り~少女は公爵の溺愛に気づかない~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:1,593

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:2,665

勇者の幼なじみ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:683pt お気に入り:399

CLOVER-Genuine

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:417

処理中です...