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第一幕 断罪からの始まり
vs33 転生者
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そんなマリミエドを、マリアは魔法を習いながらもちらちら見る。
〈やっぱり違うわ…〉
マリアは思う。
回帰前と違う、と。
そう、マリアもまた回帰者なのだ。
〈マリミエドがいる限りギルベルトは落ちないかしら…〉
そう考えながら、イベントを思い出す。
今回狙うのは、ギルベルトと隠しキャラのデザイナーの卵。
ギルベルトを落とすと現れるキャラクターだ…。
ここは、乙女ゲームの世界。
マリアがこの世界に転生する前にやっていた乙女ゲーム
〝眠れる姫は溺愛される〟
10人のキャラクターとの恋愛を楽しむゲームだ。
アップデートでキャラクターも追加されていた。
マリアの一推しキャラはエデュアルト。
とにかく顔がいい。
些細な事も褒めてくれるし、笑顔にときめいた。
気付いたのは、幼い頃。
その時は平民の暮らしが嫌だったが、折角生の推し達に会える事だし、楽しむ事にした。
エデュアルトだけを落として王妃候補となって、マリミエドを断罪し処刑した前々回では、王太子妃としての発表の前に嫉妬に狂った元妃候補に階段から突き落とされて死んだらしい…。
気が付くと一年前だったので、全キャラクリアを目指したものの、どうしてもギルベルトだけが落とせなかったのだ。
これでハッピーエンドかと思ったが、今度は魔物が封印石から溢れ出てきた。
騎士は皆戦いに行き、自分も魔物との戦いに駆り出されて魔物に殺された…。
そして今回ーーー。
流行りの回帰物だろうと思って、楽観的に考えるようにした。
またどこかで殺されるかもしれないから、全クリだけはしたい。
そう思い、今回はエデュアルトをキープしつつギルベルト狙いでいるのだが…。
どうも様子がおかしい。
前々回、前回共にマリミエドはゲーム設定そのままのキャラだった。
真面目で、ただ王太子妃としてあろうとする公女。
…淡々としていて感情があるのか無いのか分からないキャラだったのに、今回から急に人間のようになった。
いや、人間なのは分かっているが…所詮はゲームの世界だ。
何のイベントがあるかも把握しているから、未来の事は何でも分かるーーー
その筈なのに、マリミエドの言動でイベントなどもおかしくなってきている。
〈もっと無口でおとなしかったじゃないの…!〉
なんで突然変わったのだろうか…。
マリアは死んだ時に全く痛みなどが無かったので、ただゲームの世界に転生しただけだと思っている。
これは現実ではなく、どこか非現実の、夢みたいな物で、いつか現実に戻るーーーそんな物だと捉えていた。
果たしてどうなのか?
ここがゲームの世界ならば、何かおかしな点は無いか…?
「え…?」
誰かの声がしてマリアは振り向くが、誰もいない。
「どうかしましたか?」
女性教諭が心配そうに聞く。
「あ、いえ何でもありません。じゃあ、やってみますね!」
マリアは明るく笑って言い、封じの魔法を放つ。
…これももう3回目なので、やり方は分かっているのだ。
「素晴らしいわ! さすがは聖女候補ね」
女性教諭は褒め称えて、周りの皆も拍手で称える。
マリアはにっこりと笑う。
…こういう賛辞などは承認欲求を満たしてくれてとても嬉しいものだ。
〈…やっぱいいわぁ、この世界〉
頑張ってあざと可愛くする必要もなく、ただ出来る事をすれば褒め称えて持ち上げてくれる。
誰かの顔色を窺う必要もないし、気を遣わなくていいのだから。
それはいいのだがーーー。
〝全クリ〟したい。
その気持ちが強かった。
〈お昼にマリミエドと話さないと。〝お兄様とお出かけ〟イベントで付いていかないといけないんだから!〉
なるべく優しく、いい先輩を演じよう!
そう思いながら、マリアは引き続き浄化魔法を行った。
〈やっぱり違うわ…〉
マリアは思う。
回帰前と違う、と。
そう、マリアもまた回帰者なのだ。
〈マリミエドがいる限りギルベルトは落ちないかしら…〉
そう考えながら、イベントを思い出す。
今回狙うのは、ギルベルトと隠しキャラのデザイナーの卵。
ギルベルトを落とすと現れるキャラクターだ…。
ここは、乙女ゲームの世界。
マリアがこの世界に転生する前にやっていた乙女ゲーム
〝眠れる姫は溺愛される〟
10人のキャラクターとの恋愛を楽しむゲームだ。
アップデートでキャラクターも追加されていた。
マリアの一推しキャラはエデュアルト。
とにかく顔がいい。
些細な事も褒めてくれるし、笑顔にときめいた。
気付いたのは、幼い頃。
その時は平民の暮らしが嫌だったが、折角生の推し達に会える事だし、楽しむ事にした。
エデュアルトだけを落として王妃候補となって、マリミエドを断罪し処刑した前々回では、王太子妃としての発表の前に嫉妬に狂った元妃候補に階段から突き落とされて死んだらしい…。
気が付くと一年前だったので、全キャラクリアを目指したものの、どうしてもギルベルトだけが落とせなかったのだ。
これでハッピーエンドかと思ったが、今度は魔物が封印石から溢れ出てきた。
騎士は皆戦いに行き、自分も魔物との戦いに駆り出されて魔物に殺された…。
そして今回ーーー。
流行りの回帰物だろうと思って、楽観的に考えるようにした。
またどこかで殺されるかもしれないから、全クリだけはしたい。
そう思い、今回はエデュアルトをキープしつつギルベルト狙いでいるのだが…。
どうも様子がおかしい。
前々回、前回共にマリミエドはゲーム設定そのままのキャラだった。
真面目で、ただ王太子妃としてあろうとする公女。
…淡々としていて感情があるのか無いのか分からないキャラだったのに、今回から急に人間のようになった。
いや、人間なのは分かっているが…所詮はゲームの世界だ。
何のイベントがあるかも把握しているから、未来の事は何でも分かるーーー
その筈なのに、マリミエドの言動でイベントなどもおかしくなってきている。
〈もっと無口でおとなしかったじゃないの…!〉
なんで突然変わったのだろうか…。
マリアは死んだ時に全く痛みなどが無かったので、ただゲームの世界に転生しただけだと思っている。
これは現実ではなく、どこか非現実の、夢みたいな物で、いつか現実に戻るーーーそんな物だと捉えていた。
果たしてどうなのか?
ここがゲームの世界ならば、何かおかしな点は無いか…?
「え…?」
誰かの声がしてマリアは振り向くが、誰もいない。
「どうかしましたか?」
女性教諭が心配そうに聞く。
「あ、いえ何でもありません。じゃあ、やってみますね!」
マリアは明るく笑って言い、封じの魔法を放つ。
…これももう3回目なので、やり方は分かっているのだ。
「素晴らしいわ! さすがは聖女候補ね」
女性教諭は褒め称えて、周りの皆も拍手で称える。
マリアはにっこりと笑う。
…こういう賛辞などは承認欲求を満たしてくれてとても嬉しいものだ。
〈…やっぱいいわぁ、この世界〉
頑張ってあざと可愛くする必要もなく、ただ出来る事をすれば褒め称えて持ち上げてくれる。
誰かの顔色を窺う必要もないし、気を遣わなくていいのだから。
それはいいのだがーーー。
〝全クリ〟したい。
その気持ちが強かった。
〈お昼にマリミエドと話さないと。〝お兄様とお出かけ〟イベントで付いていかないといけないんだから!〉
なるべく優しく、いい先輩を演じよう!
そう思いながら、マリアは引き続き浄化魔法を行った。
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