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第二幕 回避の為=世界の為
vs03 宝物殿
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マリミエド達は博物館に移動してアルビオンを探した。
「居た。…さっき言ったように」
ギルベルトが言い、マリミエドとユークレースが頷く。
「さて困ったな…私の判断だけではな…」
そう聞こえるように言うと、アルビオンが反応する。
「何かお困りのようだな」
笑みを浮かべて近付いてきたので、ギルベルトは苦笑して答える。
「いや何、宝物殿の閲覧を求めようかと思ったが、我が家がやるのもどうかと思ってね…君の家ならば、とも思うが…手を煩わせても、な…」
そう言いギルベルトは顎に手を当ててため息を吐く。
見れば、ユークレースとマリミエドも困ったような顔をしている。
「フッ…そんな他愛もない事で悩むとはな。良かろう、私が手本を見せてやる。行くぞ諸君」
アルビオンは意気揚々として歩いていく。
その後にライアンが続いて、クリフォードが笑いながらギルベルトに近寄って小声で話す。
「またアルビオンの事を利用して無いか?」
「そんな失礼な事はしないさ。ただ宝物殿が見たいだけだよ」
「さすがだな」
そう言い、クリフォードが小走りでアルビオンの後を追い掛けた。
「さて、我々も行こうか」
ギルベルトが微笑んで言う。
それに2人が頷いて、歩いていく。
宝物殿の前には衛兵2人と王宮神官が一人居た。
「ヴィルヘルム侯爵家が嫡男、アルビオンだ。今月はまだ閲覧していないので通したまえ」
そう言うと神官が記録用の水晶を取り出す。
「ではこちらへ手を」
神官は無表情で言う。
「うむ」
答えてアルビオンは手をかざして閲覧の記憶を残す。
これを残してしまうと、今月はもうここに入れなくなるのだ。
月に一回しか入れないので、ギルベルトは閲覧回数を残す為にアルビオンを利用していた。
扉が開くと、ギルベルトがアルビオンに近寄る。
「いやぁ、ありがとうアルビオン卿! 我々の為に開けてくれるとは、なんて友達思いなんだろうか!」
わざと大袈裟にそう言うと、アルビオンは戸惑いがちに、しかし得意げに言う。
「なに、私程の人徳者ならば当然の事だ!」
「では入ろうか」
ギルベルトがマリミエドをエスコートして中に入り、ユークレースも続くと、歩かないアルビオンにライアンが聞く。
「中を見ないのですか?」
「見るとも…」
何やら利用された感が拭えないが、アルビオンも歩いて中に入り、ライアンとクリフォードも中に続く。
宝物殿は、神殿を丸ごと使っていた。
中には太古からの彫刻や絵画、本や偉人の服などもあり、ガラスのケースに保管されている。
ここには幾重にも魔法防御が張られていて、帯剣したまま中に入れる。
剣だろうと魔法だろうと壊されない程、強力なシールドだ。
そして、当然この中では魔法も封じられている。
どんな手段を用いても壊されないようにしてあるのだ。
神殿の管理下なので王族ですら勝手に持ち出す事も失くす事も出来ない。
勿論、本も沢山ある。
本棚から取って見れる物や、ガラス越しにしか見られない物など…。
ガラスの中の本は、〝徳を積んだ者〟や〝聖女〟だけが清書した物が読めるようになっている。
皆は思い思いの物を見ていた。
その中でマリミエドは奥まで進んで2階へと上がる。
宝物殿には父と何度か来た事があるが、2階まで来たのは初めてだ。
父親と共に来て見るのはいつも神々や皇帝の彫刻や絵画だけだったからだ。
〈なんだか、あそこが明るい…?〉
更に奥の方に、陽の光に照らされているガラスケースがあった。
そのガラスのケースに引き寄せられるかのように、マリミエドは歩いていく。
「居た。…さっき言ったように」
ギルベルトが言い、マリミエドとユークレースが頷く。
「さて困ったな…私の判断だけではな…」
そう聞こえるように言うと、アルビオンが反応する。
「何かお困りのようだな」
笑みを浮かべて近付いてきたので、ギルベルトは苦笑して答える。
「いや何、宝物殿の閲覧を求めようかと思ったが、我が家がやるのもどうかと思ってね…君の家ならば、とも思うが…手を煩わせても、な…」
そう言いギルベルトは顎に手を当ててため息を吐く。
見れば、ユークレースとマリミエドも困ったような顔をしている。
「フッ…そんな他愛もない事で悩むとはな。良かろう、私が手本を見せてやる。行くぞ諸君」
アルビオンは意気揚々として歩いていく。
その後にライアンが続いて、クリフォードが笑いながらギルベルトに近寄って小声で話す。
「またアルビオンの事を利用して無いか?」
「そんな失礼な事はしないさ。ただ宝物殿が見たいだけだよ」
「さすがだな」
そう言い、クリフォードが小走りでアルビオンの後を追い掛けた。
「さて、我々も行こうか」
ギルベルトが微笑んで言う。
それに2人が頷いて、歩いていく。
宝物殿の前には衛兵2人と王宮神官が一人居た。
「ヴィルヘルム侯爵家が嫡男、アルビオンだ。今月はまだ閲覧していないので通したまえ」
そう言うと神官が記録用の水晶を取り出す。
「ではこちらへ手を」
神官は無表情で言う。
「うむ」
答えてアルビオンは手をかざして閲覧の記憶を残す。
これを残してしまうと、今月はもうここに入れなくなるのだ。
月に一回しか入れないので、ギルベルトは閲覧回数を残す為にアルビオンを利用していた。
扉が開くと、ギルベルトがアルビオンに近寄る。
「いやぁ、ありがとうアルビオン卿! 我々の為に開けてくれるとは、なんて友達思いなんだろうか!」
わざと大袈裟にそう言うと、アルビオンは戸惑いがちに、しかし得意げに言う。
「なに、私程の人徳者ならば当然の事だ!」
「では入ろうか」
ギルベルトがマリミエドをエスコートして中に入り、ユークレースも続くと、歩かないアルビオンにライアンが聞く。
「中を見ないのですか?」
「見るとも…」
何やら利用された感が拭えないが、アルビオンも歩いて中に入り、ライアンとクリフォードも中に続く。
宝物殿は、神殿を丸ごと使っていた。
中には太古からの彫刻や絵画、本や偉人の服などもあり、ガラスのケースに保管されている。
ここには幾重にも魔法防御が張られていて、帯剣したまま中に入れる。
剣だろうと魔法だろうと壊されない程、強力なシールドだ。
そして、当然この中では魔法も封じられている。
どんな手段を用いても壊されないようにしてあるのだ。
神殿の管理下なので王族ですら勝手に持ち出す事も失くす事も出来ない。
勿論、本も沢山ある。
本棚から取って見れる物や、ガラス越しにしか見られない物など…。
ガラスの中の本は、〝徳を積んだ者〟や〝聖女〟だけが清書した物が読めるようになっている。
皆は思い思いの物を見ていた。
その中でマリミエドは奥まで進んで2階へと上がる。
宝物殿には父と何度か来た事があるが、2階まで来たのは初めてだ。
父親と共に来て見るのはいつも神々や皇帝の彫刻や絵画だけだったからだ。
〈なんだか、あそこが明るい…?〉
更に奥の方に、陽の光に照らされているガラスケースがあった。
そのガラスのケースに引き寄せられるかのように、マリミエドは歩いていく。
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