天然公女は諦めない！〜悪役令嬢(天然)VS転生ヒロイン〜

第四幕 νήμα（ニーマ） 紡ぐ

νήμα32 True End！

　翌日。
マリミエドは陽の光で目を覚ました。
すると、腕枕をしてこちらを見つめるユークレースと目が合う。
「おはようリュミ」
「…おはよう、ユーク」
そう言うとキスされた。
そして自然と抱き寄せられたので、マリミエドは慌ててユークレースを押し戻した。
「駄目よユーク、朝食の時間よ」
「…後でいいよ」
そう言いキスをしていると、ノックの音がしてユークレースはガバっと起き上がる。
「はいっ」
「おはよう友人、朝食を食べないと女性は拗ねてしまうよ。早くおいで」
そうギルベルトの声がして、去っていった。
「さ、起きましょう」
マリミエドがクスクス笑いながら起き上がる。
…どうやらあの鎮痛剤の効き目はバツグンのようだ。


　ギルベルトとエレノワールと共に朝食を摂ると、ユークレースとマリミエドは小さな屋敷に向かった。

　家具の配置をして、雇ったメイドや執事、従者ヴァレットと顔を合わせて指示をする。

ランチはレストランで食べて、午後は寝室とサロンの支度をして晩餐にした。

　初めての２人きりの晩餐だ。
「…今日は忙しかったが大丈夫か？」
「ええ…」
「………」
ユークレースは会話を探し、マリミエドは静かに食べる。
「その…明日は聖魔塔に行くんだが……共に来るか？」
「ええ、是非！」
マリミエドが笑って言う。


　その夜も、２人は愛し合った。



　翌日、２人は聖魔塔に行く。
するとマリミエドが張り切って言う。
「何からなさるの？ わたくしに出来る事はあるかしら？」
「…そうだな……まずは、ここの帳簿を見て覚えてくれ。それから魔石の種類と配置と…」
ユークレースは手に取って説明をした。

　　時は、なだらかに過ぎ行く。
ギルベルトはレアノルドとクリフォードを伴って魔界へ行くようになる。
ユークレースも魔界からのアイテムの鑑定や使用方法の習得などで忙しくなった。

　マリミエドはユークレースと共に動物や魚の保護をして育てたりもした。

　その間にルド・ルギオス猊下も人間と結婚式を上げて皆で参加した。

　エデュアルト王太子には第一王子が誕生した。

　そして、エレノワールもマリミエドも懐妊した。
２人で笑いながらお茶会をしている側で、ギルベルトとユークレースが違うテーブル席に腰掛け、話す。
「なあユーク…」
「ん？」
「我々の子供を婚約させないか？」
「………まさかお前、まだリュミの事を…」
「ああ。自分が結婚出来なかったからな…いいじゃないか。今しとかないと、アルビオンかベルンハルトが申し込んでくるぞ」
「…それも考えるな」
「な、いいじゃないか義弟おとうと」
そう言うギルベルトにユークレースは苦笑した。

「楽しそうに何を話しているのかしらね」
マリミエドが言うと、エレノワールが呆れながら言う。
「この子達が生まれて男女だったら婚約させたいそうですよ。馬鹿みたいな事しか言わないんだから…」
「あら、いいじゃないの」
「えー、絶対に下心しか無いですよ？」
「…エレノワール、いい加減に敬語はやめて」
「あ…つい」
「ふふ……生まれてくるのが楽しみね…」
マリミエドが言い、２人で笑った。
そこにギルベルトとユークレースが来て、４人で笑い合う。

　いつか、子供達に父親の冒険譚を話す日が来るのだろう。
その日を待ちわびながら、マリミエドはお腹を撫でた。

　　True End♪
　ここまでお読み下さり、誠にありがとうございました！