人探し探偵

第一話

状況整理

この男の子が言うには、店主が死んだ日の夜、女の人が何かから逃げるようにして店から出ていくのを、本は見ていたらしい。
たしか、店主が死んでいたのは、レジの奥にある倉庫の中。
その女の人は、レジの方から走ってきたらしい。
そのため男の子いわく、その女の人が店主を自殺に見せ掛けて殺した犯人ではないかと。
しかも、そのあとレジの方から出てきた若い男の人が
「まり、待って」
と言いながら、女の人を追いかける様子もあったらしい。

「警察に言っても、相手にしてくれないだろうと思ってここに来ました。この依頼受けてくれますか？」
「わかった。」
正直、依頼人が金を持っていなさそうな時は断る。
それが俺のポリシーだ。
でも、今回の依頼人には少し興味が湧いた。
物の記憶が見られる。
これを利用しない手はないな。
「じゃあ、早速お願いします。」
「わかった。大和、店主の親族あたれ。」
「わかりました。」
「まりさんが見つかったら、また連絡ください。電話番号は、これです。」
俺は、電話番号を書いた紙を受け取った。
「頼みました。」
男の子はそう言うと、事務所を出た。