人探し探偵

第一話

現地調査

次の日俺たちは、例の男の住んでいるアパートに向かった。
「こんにちは、目黒探偵事務所の目黒ですが。」
「はい、何のようですか？」
「武藤真理さんについてお話を聞きたくて、」
「わかりました。とりあえず中にどうぞ。」
俺たちはそう言われて、部屋の中へと入った。
俺たちはリビングに通された。
「真理のことで何か？」
「はい、真理さんが今どこにいるのかわかりますか？」
「え？」
「ある依頼人から真理さんを探してほしい、という依頼を受けまして。」
「ああ、そうですか。残念ですが、僕は知りません。彼女のお義父さんが亡くなってからは、会ってなくて。」
「そうですか。じゃあ、これで失礼します。」
これ以上は何もわからないだろう。
帰るか。
俺がそう思って立ち上がると、裕貴が俺の袖を引っ張った。
「ちょっと待ってください。」
「やめろ、さわるな。」
俺は、裕貴の手を振り払った。
「こっちには何があるんですか？入ってもいいですか？」
裕貴は、寝室と思われるドアに手をかけて言った。
「やめてくださいよ。プライバシーの侵害ですよ。」
男の人は言った。
しかし、裕貴はそれに構わずドアを開け、部屋の中に入った。
その部屋には、ベッドとタンスがあるだけだった。
「あれ？」
裕貴は首をかしげた。
「もう帰るぞ。」
俺は裕貴の肩に手を置いた。
「待ってください。」
裕貴はそう言うと、タンスをずらし始めた。
「たしか、この部屋の構想的にはここにクローゼットがあるはずですよね。」
「そうか。」
大和も何かに気がついたようで、裕貴と一緒にクローゼットを動かし始めた。
「やめてくださいよ。訴えますよ。」
男はニヤニヤしながら、二人の様子を眺めていた。
二人は協力して、タンスを壁から離した。
しかし、そこにクローゼットはなかった。
「え？」
大和は愕然としていた。
「だから、やめてくださいって言ったでしょ。」
「いや、まだだ。」
裕貴は壁に拳を打ち込んだ。

ビリッ

壁が破れた。
その裂け目から、クローゼットらしきものが見えた。
裕貴は壁紙を破り、そのクローゼットを開けた。
「はあ、見つかっちゃったか。」