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第六章 二人の世界
4 初めて ※R18
しおりを挟む同じ男として、彼の気持ちはよく分かる。それまで慌てふためいていた羅深思は、辛そうにしている彼の顔を見て急にお兄さんスイッチが入った。
大きく深呼吸して心を落ち着け、彼は楊福安に優しく呼びかけた。
「俺なら大丈夫だから、動いていいよ」
苦しいけれど、我慢できない程ではない。それに、楊福安が気を遣って動かないでいてくれたお陰で、少しずつ体が慣れてきた。
「気持ちよくすると約束したので」
じっと我慢を続けながら、楊福安は遠慮がちに言った。どこまでも健気な彼に、羅深思は堪らなく愛おしくなる。
「初めてだろ? そんなに気張らなくて大丈夫だよ。思兄ちゃんに任せときな」
おいで、と両手を広げると、楊福安は躊躇いながらも、ゆっくりとのしかかってきた。体が密着して、彼のものが深々と奥へ入り込む。
圧迫感が増して少し苦しくなったものの、羅深思は緊張に強張った彼の体を抱きしめ、そっと頭を撫でながら囁いた。
「いい子だな。体勢は大丈夫? 焦らないで、そのままゆっくり動いてごらん」
教え導くようにそう言うと、楊福安は深く息を吐き、言われた通りにゆっくりと動き出した。
羅深思は前よりも逞しくなった背中に手を回し、彼の動きに合わせて息をする。そうして腹の中を掻き回される違和感を逃がしているうちに、次第に吐息の中に甘い声が混じり始めた。
艶めいた声は抑えようがなく、きつく唇を引き結んでも漏れ出てしまう。物覚えのいい楊福安は彼の変化にすぐに気が付き、甘い声が出る場所を探り当てた。
痛みとは違うジンジンとした感触に戸惑いながら、羅深思は体の奥から膨れ上がる熱を持て余す。目を潤ませてしがみつく手にぎゅっと力を入れるも、攻め立てる動きは激しさを増していく。
「ちょっ……そこ、だめぇっ」
先端が何度も同じ場所に擦り付けられ、びくびくと腰が震える。もはや自分では制御できず、彼は揺さぶられるまま押し寄せる快楽の波に飲まれた。
最奥を穿つように激しく腰を打ちつけられ、呼吸すらままならない。溢れた熱は腹の底でぐるぐると渦を巻き、堪え切れずに漏れる喘ぎ声に溺れそうになる。
「もう、むりっ……ん、あっ……ああぁっ」
一際強く奥を突かれ、目尻に溜まった涙が零れ落ちる。渦巻いていた甘い痺れが弾け、羅深思は頭が真っ白になった。
しばらく呆然としていると、楊福安がそっと身を起こした。彼が離れたことで汗ばんだ体がひやりとして、ぼんやりと夢心地でいた羅深思は意識を取り戻した。
「な、なんか……すごかったね」
ぐったりしながら言うと、楊福安が目尻に残った涙を拭ってくれる。心臓はまだ痛いくらいにドキドキしていて、全力疾走した後のようだ。
「大丈夫でしたか?」
心配そうに顔を覗き込む彼に、羅深思は力なく笑いかけた。
「うん、頭がふわふわするけど。可愛い顔に似合わず激しいな」
激しく攻め立てる動きが止まったので、からかうだけの余裕は取り戻していた。しかし、二人の下半身はまだ繋がったままで、ジンジンと甘い痺れが残っている。
羅深思は堪らなくなり、両手を広げて彼を求めた。
「福安、ぎゅってしてくれる?」
甘い誘惑に楊福安は笑みを浮かべ、火照った体を押し付けるように上に乗ってきた。その重みさえ愛おしく、羅深思は腕を回してしっかりと受け止めると、うっとりとため息を吐く。
心地よい温もりを心ゆくまで堪能した後、彼は楊福安の耳元で蠱惑的に囁いた。
「まだ硬いね」
自分のことに一杯一杯で、羅深思は彼がちゃんと達したか分からなかったのだ。優しい彼のことだから、気を遣って黙っている可能性もある。
遠回しなおねだりに気付いてないのか、楊福安は体を預けたまま動いてくれない。少し考えた後、羅深思は今度は露骨に言った。
「もう一回してほしいなぁ」
すると、耳元でふっと笑みが零れる。あけすけな誘い文句に、楊福安は肩を震わせて笑いだした。
「なんだよ、俺に恥をかかせる気か?」
いじけた声を出し、笑われた仕返しに両手で頭をぐしゃぐしゃにする。返事をするまで揉みくちゃにしてやろうと奮起していると、楊福安は観念して身を起こした。
「まだ頑張れますか?」
やはり物足りなかったのだろう。彼の瞳には欲の炎が燻っていた。
羅深思は年上らしく余裕の笑みを浮かべ、胸を張って大見栄を切った。
「あったり前だろ? 遠慮はいらないからな!」
あと一回くらい、根性で耐えてやる。そう意気込むも、満面の笑みを浮かべた楊福安の言葉に、彼は顔を引き攣らせることになった。
「じゃあ、とことん付き合ってください。お兄さんなら頑張れますよね?」
確かに遠慮はいらないと言ったが、そこまでするとは言ってない。
しかし、覆水盆に返らず。騒いでも後の祭りだ。
前言撤回を阻止するように唇が重なり、羅深思の意識は再び快楽の波に飲まれた。
楊福安からの四度目のおねだりに付き合った後、朦朧とする意識の中で部屋の時計を見た羅深思は、彼の腕の中から慌てて飛び起きた。
「もうこんな時間!」
時計の針は午後四時を指している。楊福安と愛を育んでいるうちに、昼食を食べ損ねてしまった。
「帰るのはもう少し後ですよね?」
家の鍵を忘れてきたので、実家に帰るのは母の仕事が終わってからの予定だ。そのことを知っている楊福安は、羅深思の腰に手を回してベッドの中に引きずり戻した。
妖しげに下半身へ伸びてきた手を掴み、羅深思は先生の顔をして彼を叱った。
「もうダメだぞ。これ以上は俺の尻が死んじゃう」
元気なのは良いことではあるが、もう体が持たない。抱かれる側がこんなに体力を使うとは思わなかった。
すっかり味をしめた楊福安は、お得意のうるうる顔で羅深思を見つめた。
「思兄、もう一回だけ」
甘えた声に羅深思の理性がぐらぐらと揺れる。
年下の可愛らしさを最大限に利用した彼は、少し前から名前呼びという新たな武器を手に入れていた。しかし、いつまでも我儘を許してはいられない。
心を鬼にして、羅深思はぴしゃりと言い放った。
「そんな顔をしてもやりません! 大体お前、ゴムも着けてなかったじゃん。俺のお腹の中、お前のでいっぱいなんだけど?」
咎めると、楊福安は一瞬まずい!と表情を硬くさせ、サッと顔を逸らした。
「付け方を知らなかったので」
誤魔化す言葉のなんと白々しいことか。勢いに呑まれてそのまましてしまったが、本来は避妊具を使う予定だったのだ。
「嘘つけ! 次からちゃんと着けないと、してやらないからな!」
これは自分のためだけでなく、彼のためでもあった。教育者として、男同士の性交の危険性についてしっかり勉強させなければなるまい。
「帰ったらみっちり特別授業するから、覚えておけよ」
そう言うと、さっきまでそっぽを向いていた楊福安は嬉しそうに向き直った。
「二人きりの授業ですか?」
「言っておくけど、変なことはしないぞ? ほら、シャワー浴びて用意する!」
ベッドから追い立てると、楊福安は不満げに口を尖らせながら重い腰を上げた。といっても、彼の気持ちはまだベッドに引っ張られているようで、その動きは酷く緩慢だ。
彼が一向に支度をする気にならないので、羅深思はやれやれと肩を竦め、奥の手を使うことにした。
「うちに帰る前に指輪買いたいんだけど」
「すぐ行きましょう!」
鼻先に人参をぶら下げられた馬の如く、楊福安は急にキビキビしてバスルームへ駆けて行った。
分かりやすく機嫌を直した可愛い恋人の後を追い、羅深思も歩き出す。心の中は幸せでいっぱいだった。
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