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聖騎士の盾番外編
騎士の休日
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【レオンの100年間の放浪期間の記録1】
エルカーズの遥か北、高い尾根を連ねる北方連峰の麓、金剛石海に面したリンドの町。
一年の殆どが雪に覆われ、そして温泉の湧く保養地としても知られる。
レオンは船による長旅の末にこの町に辿り着いた。
以前いた南の港町で、傭兵仲間にカインとのセックスを目撃され、どうせ逃げるのなら出来るだけ遠くへ来ようと思ったのが旅の動機だ。
まだ夏の終わりのはずなのに、シャツとチユニカの上にマントを羽織っただけの服装では酷く肌寒い。
夕方の冷気を堪えるようにして、色とりどりの尖塔の並ぶ特徴的な町並みを歩き、今日の宿を探して歩く。
すれ違う人々は皆金持ちそうな家族連れで、一様に表情が明るい。
保養地だからだろうか。旅行者なのかも知れない。
――随分と場違いな場所に来てしまったものだ。
身の回りの物を纏めただけの荷を背負って歩きながら、既に少し後悔していた。
やはりもっと人気のない町を目指すべきだったか……そう思いながら逡巡していると、通りの向こうから酷く焦った様子の中年男が飛び出して来る。
夕暮れ時の人ごみのせいか、相手はレオンの肩に激しくぶつかって来た。
「失礼!」
此方が声を掛けても相手は無言で走り去っていく。
怪訝に思っていると、前方から男性の野太い叫び声が上がった。
「泥棒! あいつ、泥棒だーっ! 誰か、捕まえてくれーっ!!」
ギョッとして後ろを振り返り、レオンはすぐに身を翻して走り出した。
人の間を素早くすり抜け、道を塞ぐ藁の詰まった荷台を飛び越え、最後は路地裏から建物を一つ分登り、逃げる相手の行く手を上から読んで先回りする。
(――いた)
屋根を二つほど跳び、小ぶりな箱を脇に抱えて逃げ惑っていた泥棒の目の前に、マントをフワリと風に返しドッと降り立つ。
「うへえ!?」
驚いた相手の目の前で剣の柄に手を掛け睨み付けると、こそ泥は流石に観念したのか、持っていた鍵付きの箱をこちら差し出した。
「すまん、返すから勘弁してくれ…!」
「それは出来ん。この町の自警団に引き渡す」
「クソおおお!」
男はヤケになったように小箱を放り出し、懐からナイフを引き抜いて襲い掛かってきた。
剣を使うまでもなくその凶刃をあっさりと避け、手首を掴んで捻りあげる。
「いでえええっ」
情けなく呻きを上げた泥棒をそのまま地面に押し付け、逃げないように踏みつけていると、背後から鈴の音のような声が上がった。
「ああ……! あそこにいるわ、どなたかご親切な方が捕まえて下さって……!」
振り返ると、毛皮のケープを羽織った美しい貴婦人が通りの向こうから走って近づいて来るのが目に入った。
その後を、体格と身なりのいい従者の男性が二人、慌てたように追い掛けてくる。
妙齢の貴婦人は結い上げた金髪を整えながらレオンに近付くと、華奢な指で地面に落ちた小箱を拾い上げた。
「これは、大事な夫の形見。本当に本当に、何とお礼を申し上げたら宜しいのか」
「いえ、当たり前のことをしたまでです」
従者二人に男を引き渡し、貴婦人に向かって会釈する。
「それでは俺はこれで」
立ち去ろうとすると、後ろからギュッと手を掴まれて握りしめられた。
「騎士様! お待ちになってください、是非お礼を」
突然のことに戸惑い、レオンはしどろもどろに首を振った。
「いや、自分はしがない旅人……これから今日の宿を探しに行かねばならないので」
「それならば尚更、是非私どもの屋敷へ……!」
貴婦人はどうにも手を離してくれる様子がない。
困り果てたレオンは、半ば仕方なく、彼女の好意に甘えることにした。
貴婦人とともに立派な馬車に乗り込んだレオンは、町外れの山の手にある白壁の瀟洒な屋敷に通された。
馬車の中で話に聞いた所では、この美しい庭のついた贅沢な屋敷は、貴婦人のふた回りも年上の亡き夫が、別宅として彼女に買い与えた物らしい。
素晴らしい大階段のある広間から、美しい絵画が並ぶ廊下を通り抜けると、10人の男が広々と眠れそうな広さの客間に通された。
「レオン様、どうぞこちらのお部屋でお過ごしになって。好きなだけいらしてね」
貴婦人が、レオンの腕に手を絡め、ギュッと胸に押し付けてくる。
「っ!? マダム、その、そう強く掴まれては中に入れないのだが……!?」
「あらいけませんでしたわね、ほほほほほ……。では一緒に中へ……お部屋をご案内しますわ」
「はっ……はあ」
大胆な貴婦人にどぎまぎしながら引っ張られて行く。
素晴らしい刺繍のドレープの付いた天蓋付きのベッドに、重厚なテーブルと猫足の椅子と、置いてあるのはまるで王侯貴族の家具だ。
そんなものを横目に通り過ぎつつ部屋の奥まで連れて行かれると、目の前に天井まで届く大きな観音開きの扉が現れた。
「こちらはお客様のための特別な施設なのですよ」
主の言葉と同時に、後ろをついて来ていた二人の侍従が恭しく左右に扉を開く。
その扉の奥に、黒々と葉を茂らせる常緑樹が連なる大きな庭が見える。だが何より特筆すべきなのは、その木々の間に隠されるように設置された真っ白な大理石のプールだった。
「あれはお風呂ですの。かつての古代帝国をイメージしてつくらせたのです」
貴婦人の言葉にレオンはヘイゼルの瞳をキラキラと輝かせた。元々風呂は大好きだ。しかもこんなに大きく立派な風呂を見るのは何十年も生きてきて初めての体験だった。
泳げそうな程大きな風呂は湯気でいっぱいで、雄々しく立ち上がったライオンを模した大きな石像の口からとめどなく新しい湯が流れ込み続けている。
「山で沸いた綺麗なお湯をたっぷりと引いておりますの。では、夕食のお時間までごゆっくりお過ごしになってね……」
貴婦人が従者を連れ、部屋から去って行く。
レオンは肩に背負っていた荷を降ろし、早速マントを首から外した。
ただかっぱらいを捕まえただけなのに、初めての土地で何という幸運に見舞われたことか。
美しきこの館の主に感謝しつつ、レオンは長い船旅ですっかり汗染みた服を次々と脱ぎ落とした。
だれの目も気にすることなく逞しく美しい体を露わにし、北国の澄んだ星明かりに照らされた庭へいそいそと出て行く。
針葉樹の間を通って大理石の風呂の前へと足を運ぶと、湯気の向こうに素晴らしい眺めがレオンを待っていた。
この大きな素晴らしい風呂を独り占め出来るなんて――。喜びと共に風呂の湯に爪先を付けた途端、 「はーっ、極楽、極楽。こんないい風呂に入れるなんて、北国も捨てたもんじゃねえなあ」
聞き覚えのある声に、レオンはズルリと滑ってひっくり返りそうになった。
慌ててライオンの彫像にはっしと掴まり、頭を打つことだけは避けたが、動悸が止まらない。
白い彫像の陰に隠れて湯気の立つ風呂の中を二度見する。
雫の垂れる妖艶に仰け反った喉と、女のように美しい横顔。広い浴槽に長い銀髪をゆらゆらと漂わせ、青白い肌の悪魔が湯に浸かっている。
彼はチャプリと水音をさせて筋肉質な腕を上げ、淫らに髪を掻き上げながらルビーの瞳でじっとこちらを誘惑した。
「いつまでそこに突っ立ってんだよ。一緒に入ろうぜ、レオン」
「だっ、誰がお前なんかと風呂に入るか! 勝手に人の屋敷に侵入して……この悪魔!!」
素っ裸のまま吠えるレオンに業を煮やし、カインがザバっと飛沫を立てて立ち上がる。
完璧な肉体美を見せつけながら悪魔が近づき、その白い尾が足首にするりと巻きついてきた。
「ずっと風呂に入りたかったんだろ? 一緒に来るなら髪を洗ってやるぞ」
その言葉にビクンと顔を上げ、少しだけライオンの頭を離す。
途端に裸の腰をしっかりと抱かれて持ち上げられ、レオンの体は湯の中にざぶりと音を立てて連れ去られた。
熱い湯の心地よさと同時に唇に接吻を与えられ、素直に潤いを開く。
いつもカインに侵略されているばかりなのが癪で、逆にカインの唇の中に舌を入れると、鋭い犬歯が当たり、ゾクゾクと淫らな感覚が背筋を駆け抜けた。
「ん……ふ」
更に舌を絡めながらのけぞるように後ろ倒しにされ、湯の中に落ちて溺れぬようにしっかりとカインの首筋に両腕を絡める。
深いキスを重ねながら後ろ頭が心地よい湯に浸かり、じんとした幸福感に包まれた。
唇が啄まれながら指が楽しげに湯の中で黒髪を梳き、地肌を愛撫するように揉む。
どうやらこの悪魔は気まぐれに世話焼きになるのが好きらしい――。
カインが唇を離し、じっと目を見ながら聞いてきた。
「どこか痒い場所があれば言えよ」
「ない……」
「へえ、ここが痒いのか」
髪に指を埋められたまま、湯の中で油断していた両脚の間へと、ズルリと白い尾が侵入した。
「はっ!? えぁ……っ」
後孔にヌプヌプとその先端が入ってゆき、中を掻き交ぜるようにヌッヌッと微妙に擦っている。
「こ、こんな場所……かゆくなんて……はっァあ……!」
「奥が痒いだろ? 掻いて欲しいんじゃねえのか? ぶっといモノで……」
耳元で囁かれ、羞恥に顔が真っ赤になる。
殴ってやりたいのに、カインの首に捕まらなければ湯の中に溺れてしまうような体勢なので、それも出来ない。
「ふざけるなよ……ひあ……っ」
湯の中で乳首に触れられ、むにむにと指先で柔らかく揉み潰されている。
「はァ……っ、カイン……あァ……」
淫らに腰を揺らしながら胸の隆起の先から来る性感に反応し、カインの尾を断続的に締め付ける。
「高潔な騎士様のくせに、オッパイに触って貰えてそんなに嬉しいのか……? 穴ん中、イく寸前みたいにヒクヒク嬉しそうにしやがって」
「や、やめてくれ……ゆ、湯を汚してしまう……っ」
「聖騎士様の恥ずかしいツユでなら、湯も清められるってものだぜ」
悪びれずに囁かれ、直腸の奥を優しく針が刺してゆく。
こんな場所で、またこの悪魔の女にされてしまう――。
痛みすら被虐的な悦びに置き換わっていくのが恐ろしい。
「さあ、もう一度聞こうか? どこか痒い場所は……?」
美貌の悪魔が腰を揺すり、自分の体にしがみ付いているレオンの太腿に太い怒張をゆっくりと擦りつける。
「ァあ……カイン……奥……奥を――」
羞恥に震えながらうわ言のように淫らに呟いた瞬間――。
掴まっていたカインの首筋が瞬間的にパッと消え去り、レオンは背中から思い切り湯の中に落ちて沈んだ。
「ぶはァっ……!」
余りの不意打ちにブクブクと溺れたようになり、慌てて両腕を掻いて水面へと飛び出る。
「カイン、お前なあ!? ……からかってるのかっ!?」
羞恥とやり切れなさに叫んで毒づくが、彼の姿が見えない。
尻の中に入りこんでいた尾も消えている。
「か、カイン……?」
しんとしてしまった周囲を見渡すと、針葉樹の向こうから誰かがやってくるのが見えた。
それは白い人影で、目を凝らすと、豊満な肉体を透けた絹のローブで包んだ、この館の女主だった。
ギョッとして目を逸らし、顔を両手で覆う。
(いっ、一体、何が起きて……っ! 俺はこの風呂に入ってはいけなかったのか!?)
声を上げる事も出来ずに首まで風呂に浸かって焦りばかりを募らせていると、やがて婦人の方から声を掛けてきた。
「フフフ……騎士様のお背中をお流しに参りましたわ」
なんという事だろう。
未亡人とは言え、初対面の女性が裸で男の前に現れるとは。
「マダム……! そのようなことは困ります……っ」
だが、貴婦人は絹ずれの音をさせて風呂に近づいて来る。
(か、カイン、助けてくれ――)
藁をもすがるような気持ちで念じると、突然全く知らぬ少女の声が目の前で上がった。
「ちょっと、オバサン! 私のレオンに近付かないで」
「は!?」
顔から指が外れたレオンと未亡人とが全く同時に叫ぶ。
二人の間には、いつの間に現れたのか、長い銀髪を垂らした華奢な少女が裸で立ちはだかっていた。
背中を向けているのでレオンには顔は見えないが、ひどく色白で、美しい体をしていることが分かる。
「ほら、邪魔しないで早く帰って。レオンは私だけのモノなんだから。ねっ、レオンっ」
くるりと少女が振り向く。
顔はカインを少し幼くしたような美貌で、白い腕と脇の間から膨らみがちらりと見えて、レオンは再びパッと顔を両手で抑えて真っ赤になった。
なんと言うか――その少女は、レオンが幼い頃、戒律を誓う前に密かに夢想していたような、完璧に理想の美少女だったのだ。
しかし一方で、何が起きているのか状況がさっぱり読めない。
「勝手に女性を連れ込むなんて、なっ、なんて失礼なお客様かしら! この私に恥をかかせて……! 冗談じゃないわっ!」
婦人が怒り狂って去っていく気配がする。
「綺麗な顔した蜘蛛女め、おととい来やがれってんだ」
美少女が顔に似合わぬ啖呵を切り、レオンの方にザブザブと近づいて来る。
「おい、いつまで目え閉じてんだよ。俺だよ、俺。カイン」
「はあぁ……!?」
「ああいう手合いは若い女が出てくりゃ敵わないと思って引いてくからなー。女に化けんのが1番なんだよ」
そんな特技があったとは知らなかったが、心臓に悪過ぎた。
レオンの顔を覆う手を華奢な指が引き剥がして行く。
「お前、女がダメって訳じゃねえんだなあ。まあ俺は抱かれてはやれねえけど」
指の間から見える少女が理想のタイプ過ぎてまともに見られない。
同時に、どうやら自分はカインの顔がとても好きだったらしいということに気付いた。
「もういいからっ、は、早く元に戻れ……っ」
恥ずかしくて死にそうになっていると、額に口付けをされた。
横目に喉仏が見え、目の前に逞しくも美しい男の身体が戻っていて、一気に安堵する。
少し残念なような気持ちも一瞬浮かんだが――その感情は胸の中に仕舞うことにした。
それに男のカインの顔も姿も、本当は嫌いでない――どころか、ずっと見つめていたい程には好きなのだ。
「ほら、続きやろうぜ」
クスクスと笑いながらカインの頭が湯の中に沈む。
「え……」
戸惑っていると、開いた膝の間に彼の頭が入り込み、硬く勃起したままだったペニスを唇で咥え込まれた。
「ふぁ……っ」
湯の温感と、男の舌のざらりとした感触とが交互に襲って来て、すぐにでもイッてしまいそうな程気持ちいい。
雑魚寝の船旅の中でずっと自涜を我慢し続けていた反動か、どこもかしこもひと舐めで震えがくる程感じてしまう。何より、あの綺麗な唇がそんな場所に口付けて、美味そうに舌を這わせていると思うと、それだけで背徳感が堪らない。
だが、あんなに婦人が怒っていたのに、この美しい風呂を汚し、湯の中で出すなんて……。
「い……イヤだ……っこんな場所でっ、んァ……」
カインの硬質な角を指で掴み引き剥がそうとするが、敵わない。
よく息が続くと感心するくらいねちっこくそこを舐られて、腰をガクガクさせながら淫らな声を野外に響かせる。
「アッ、ぁっ、きもちいい……イク……っ――ぁあっ」
カインの唇の中に精を放出し、体から一気に力が抜けてゆく。
ザバァっと悪魔が湯の中から顔を出し、舌と犬歯を見せて口の中の白濁をレオンに見せつけた。
「ほら、すげえ濃い」
「~~~っ」
なんと反応したら良いのか羞恥で固まっていると、また尻の奥にスブンと尾が侵入して、濡れ具合を確かめるように肉襞をまさぐられた。
「あ~あ、お前、せっかく飲んでやったのにこっちの方のが盛大に漏らしてんじゃん……ドロッドロで準備万端だな」
「ァはあ……っ」
「あの女も今頃物陰で悔しがってるだろうけど、まさかお前のケツ穴の方がオンナになってるとは思わねえだろうな。
ほら、立て」
腕を取られて引っ張り上げられ、尻の中にグプグプと尾を出し入れされながら、フラリと湯の中で立ち上がる。
手を引かれるままにライオンの彫像の前まで連れて行かれると、
「そこに掴まってケツ向けろ」
と、シンプルに要求された。
だが、そんな事をすればライオンの口から出ている水流が体の前面に当たってしまう。
「え……これ、熱そうじゃないか…?」
「さっき触ったけど別に熱くねえよ。いいから早くしろ」
言われて渋々とライオンの前に立ち、その腹のあたりを抱くようにして腰を反らす。
背を逸らしたライオンの口から漏れ落ちる水流が腕の間に落ち、勃起したペニスに当たったが、湯加減と変わらぬ温度で安心した。
「ほら、お待ちかねだ」
カインが薄く笑ってレオンの腰を掴み、尾を引き抜くと同時に濡れた後孔に怒張を突き上げてくる。
「あうう……っ!」
久々の挿入に苦痛を覚えながらも、彼の形を覚えている体は嬉々として雄を受け入れて行く。
奥までズップリと飲み込むと、その先が快楽の中枢にしっかりと当たり、相手が微動だにせずとも、自然にレオンの腰が揺れ動いてしまう。
「ンッ……はぁ……っあっ」
「自分でケツ揺らして中擦らせて、エっロい奴……そんな頑張る騎士殿にご褒美やらねえとな」
「ッ……あ……?」
カインの尾が、立っているライオンの彫像の足元を探るように動く。
カチと左の足で音がすると、ドポドポと流れ落ちている湯が、どんどん冷たくなっていった。
「ひゃあぁっ……つっ、冷たあっ……っ!」
ペニスを突然冷水に晒され、睾丸がキュウンと縮み上がる。
肌の表面との激しい温度差で水流の刺激をより感じ、陰茎の奥がヒクヒクと痙攣し、震えるような快楽に包まれた。
「ああ、たまんねえ。すげえいい感じで締まる」
カインが楽しそうに笑い、わざとやられたという事に気付いた。
「人の体で遊ぶんじゃな……っ」
言いかけると今度はライオンの右の足のスイッチが押され、急に水流の温度が上がる。
「あアア……っ!!」
今度はまるで、冷え切ったペニスの皮膚を沢山の熱い手で擽られているような感覚が走り、陰茎と睾丸のムズムズが止まらなくなる。
「ひあっ、変になる……っあうう!」
かと思えばまたすぐに冷水にされ、キュウンと一緒に縮み上がった尻の穴に激しくペニスを出し入れされる。
「はっ、ヌルッヌルなのにすげえ締まって、最っ高」
カインが皮膚の弾ける音を立てて挿入を続けながら、腕を伸ばして冷水に指を晒し、完全に冷たくなったそれでレオンの二つの乳首を摘み上げた。
「ァアあっ!! それっ、はァ……っアッはぁっ!」
湯にのぼせてピンク色に染まっていた突起は余りにも感じ過ぎ、ビュクビュクと白濁を吹き上げる。
だがそれも冷水と温水の繰り返しに流されて、湯に立つ泡の中に消えていく。
イッてしまった後の敏感な体にも、容赦なく何度も冷水と温水を繰り返され、気が狂ってしまいそうな快楽の責め苦が始まった。
「あぁァ……カイ、ンっ、カインッ……許してくれ……っ」
涙ながらに懇願するが、悪魔は文字通り悪魔の如く、性行為を止めてはくれない。
冷水の中で熱い手にペニスを扱かれたり、湯の中で冷たい指に鈴口をほじられたり、イッてもイッても終わりのない悦楽を強要され、頭の中までドロドロに犯される。
「終わらせて欲しいのか……? じゃあ、ねだれよ……」
痛い程に敏感になった乳首を冷たい指で弄ばれながら、尻を突き上げてレオンは叫んだ。
「出して……早く……俺の中で、いっぱい……! お前の、出してくれ……っ!」
冷水でキュウ……っと収縮した後孔に、熱い精液がドクドクと溢れる。
「アッ……あぁ……はあっ……ッ」
安堵と、温度差でより感じてしまう体液の熱感で、レオンは精液を吐かず、尻の奥の感覚だけでイキ果てた。
それから数時間後、真夜中の侘しいリンドの町外れ――。
結局レオンは貴婦人の屋敷を追い出され、いつも通りの安宿で隙間風に吹かれながら粗末なベッドに横になっていた。
あの時カインさえ現れなければ今頃、温かく豪華な食事にありつき、フカフカのベッドで眠れていたかもしれない。
けれど、婦人の過剰な接待付きだったことを考えると、それもどうだろうかと考えてしまうところだ。
(俺はやはり、人の気持ちに疎いな……)
反省しながらため息を付いていると、 「――なに不機嫌になってんだよ。いい部屋に泊まっていいもん食って、あの女とヤリたかったのか?」
いつの間にかカインが、ベッドサイドに腕を組んで立っている。
セックスが終わった後、やることは終えたとばかりにちゃっかり姿を消していたくせに、珍しくまた現れたらしい。
「そうだな。少なくとも温かい寝どこにはありつけた」
わざと嫌味たっぷりな口調でそう言ってやると、本気にしたのか、カインがベッドの中に入ってくる。
「そういうこと言うなよな。俺が温めてやるから、それでいいだろ?」
ギュッと胸の中に抱きしめられて、クスッと笑い出しそうになった。
「許してやらないこともない」
カインの唇に口付けする。
――今夜はよく眠れそうだ。
レオンは悪魔の温かな肌に触れながら、心地よく目を閉じた。
エルカーズの遥か北、高い尾根を連ねる北方連峰の麓、金剛石海に面したリンドの町。
一年の殆どが雪に覆われ、そして温泉の湧く保養地としても知られる。
レオンは船による長旅の末にこの町に辿り着いた。
以前いた南の港町で、傭兵仲間にカインとのセックスを目撃され、どうせ逃げるのなら出来るだけ遠くへ来ようと思ったのが旅の動機だ。
まだ夏の終わりのはずなのに、シャツとチユニカの上にマントを羽織っただけの服装では酷く肌寒い。
夕方の冷気を堪えるようにして、色とりどりの尖塔の並ぶ特徴的な町並みを歩き、今日の宿を探して歩く。
すれ違う人々は皆金持ちそうな家族連れで、一様に表情が明るい。
保養地だからだろうか。旅行者なのかも知れない。
――随分と場違いな場所に来てしまったものだ。
身の回りの物を纏めただけの荷を背負って歩きながら、既に少し後悔していた。
やはりもっと人気のない町を目指すべきだったか……そう思いながら逡巡していると、通りの向こうから酷く焦った様子の中年男が飛び出して来る。
夕暮れ時の人ごみのせいか、相手はレオンの肩に激しくぶつかって来た。
「失礼!」
此方が声を掛けても相手は無言で走り去っていく。
怪訝に思っていると、前方から男性の野太い叫び声が上がった。
「泥棒! あいつ、泥棒だーっ! 誰か、捕まえてくれーっ!!」
ギョッとして後ろを振り返り、レオンはすぐに身を翻して走り出した。
人の間を素早くすり抜け、道を塞ぐ藁の詰まった荷台を飛び越え、最後は路地裏から建物を一つ分登り、逃げる相手の行く手を上から読んで先回りする。
(――いた)
屋根を二つほど跳び、小ぶりな箱を脇に抱えて逃げ惑っていた泥棒の目の前に、マントをフワリと風に返しドッと降り立つ。
「うへえ!?」
驚いた相手の目の前で剣の柄に手を掛け睨み付けると、こそ泥は流石に観念したのか、持っていた鍵付きの箱をこちら差し出した。
「すまん、返すから勘弁してくれ…!」
「それは出来ん。この町の自警団に引き渡す」
「クソおおお!」
男はヤケになったように小箱を放り出し、懐からナイフを引き抜いて襲い掛かってきた。
剣を使うまでもなくその凶刃をあっさりと避け、手首を掴んで捻りあげる。
「いでえええっ」
情けなく呻きを上げた泥棒をそのまま地面に押し付け、逃げないように踏みつけていると、背後から鈴の音のような声が上がった。
「ああ……! あそこにいるわ、どなたかご親切な方が捕まえて下さって……!」
振り返ると、毛皮のケープを羽織った美しい貴婦人が通りの向こうから走って近づいて来るのが目に入った。
その後を、体格と身なりのいい従者の男性が二人、慌てたように追い掛けてくる。
妙齢の貴婦人は結い上げた金髪を整えながらレオンに近付くと、華奢な指で地面に落ちた小箱を拾い上げた。
「これは、大事な夫の形見。本当に本当に、何とお礼を申し上げたら宜しいのか」
「いえ、当たり前のことをしたまでです」
従者二人に男を引き渡し、貴婦人に向かって会釈する。
「それでは俺はこれで」
立ち去ろうとすると、後ろからギュッと手を掴まれて握りしめられた。
「騎士様! お待ちになってください、是非お礼を」
突然のことに戸惑い、レオンはしどろもどろに首を振った。
「いや、自分はしがない旅人……これから今日の宿を探しに行かねばならないので」
「それならば尚更、是非私どもの屋敷へ……!」
貴婦人はどうにも手を離してくれる様子がない。
困り果てたレオンは、半ば仕方なく、彼女の好意に甘えることにした。
貴婦人とともに立派な馬車に乗り込んだレオンは、町外れの山の手にある白壁の瀟洒な屋敷に通された。
馬車の中で話に聞いた所では、この美しい庭のついた贅沢な屋敷は、貴婦人のふた回りも年上の亡き夫が、別宅として彼女に買い与えた物らしい。
素晴らしい大階段のある広間から、美しい絵画が並ぶ廊下を通り抜けると、10人の男が広々と眠れそうな広さの客間に通された。
「レオン様、どうぞこちらのお部屋でお過ごしになって。好きなだけいらしてね」
貴婦人が、レオンの腕に手を絡め、ギュッと胸に押し付けてくる。
「っ!? マダム、その、そう強く掴まれては中に入れないのだが……!?」
「あらいけませんでしたわね、ほほほほほ……。では一緒に中へ……お部屋をご案内しますわ」
「はっ……はあ」
大胆な貴婦人にどぎまぎしながら引っ張られて行く。
素晴らしい刺繍のドレープの付いた天蓋付きのベッドに、重厚なテーブルと猫足の椅子と、置いてあるのはまるで王侯貴族の家具だ。
そんなものを横目に通り過ぎつつ部屋の奥まで連れて行かれると、目の前に天井まで届く大きな観音開きの扉が現れた。
「こちらはお客様のための特別な施設なのですよ」
主の言葉と同時に、後ろをついて来ていた二人の侍従が恭しく左右に扉を開く。
その扉の奥に、黒々と葉を茂らせる常緑樹が連なる大きな庭が見える。だが何より特筆すべきなのは、その木々の間に隠されるように設置された真っ白な大理石のプールだった。
「あれはお風呂ですの。かつての古代帝国をイメージしてつくらせたのです」
貴婦人の言葉にレオンはヘイゼルの瞳をキラキラと輝かせた。元々風呂は大好きだ。しかもこんなに大きく立派な風呂を見るのは何十年も生きてきて初めての体験だった。
泳げそうな程大きな風呂は湯気でいっぱいで、雄々しく立ち上がったライオンを模した大きな石像の口からとめどなく新しい湯が流れ込み続けている。
「山で沸いた綺麗なお湯をたっぷりと引いておりますの。では、夕食のお時間までごゆっくりお過ごしになってね……」
貴婦人が従者を連れ、部屋から去って行く。
レオンは肩に背負っていた荷を降ろし、早速マントを首から外した。
ただかっぱらいを捕まえただけなのに、初めての土地で何という幸運に見舞われたことか。
美しきこの館の主に感謝しつつ、レオンは長い船旅ですっかり汗染みた服を次々と脱ぎ落とした。
だれの目も気にすることなく逞しく美しい体を露わにし、北国の澄んだ星明かりに照らされた庭へいそいそと出て行く。
針葉樹の間を通って大理石の風呂の前へと足を運ぶと、湯気の向こうに素晴らしい眺めがレオンを待っていた。
この大きな素晴らしい風呂を独り占め出来るなんて――。喜びと共に風呂の湯に爪先を付けた途端、 「はーっ、極楽、極楽。こんないい風呂に入れるなんて、北国も捨てたもんじゃねえなあ」
聞き覚えのある声に、レオンはズルリと滑ってひっくり返りそうになった。
慌ててライオンの彫像にはっしと掴まり、頭を打つことだけは避けたが、動悸が止まらない。
白い彫像の陰に隠れて湯気の立つ風呂の中を二度見する。
雫の垂れる妖艶に仰け反った喉と、女のように美しい横顔。広い浴槽に長い銀髪をゆらゆらと漂わせ、青白い肌の悪魔が湯に浸かっている。
彼はチャプリと水音をさせて筋肉質な腕を上げ、淫らに髪を掻き上げながらルビーの瞳でじっとこちらを誘惑した。
「いつまでそこに突っ立ってんだよ。一緒に入ろうぜ、レオン」
「だっ、誰がお前なんかと風呂に入るか! 勝手に人の屋敷に侵入して……この悪魔!!」
素っ裸のまま吠えるレオンに業を煮やし、カインがザバっと飛沫を立てて立ち上がる。
完璧な肉体美を見せつけながら悪魔が近づき、その白い尾が足首にするりと巻きついてきた。
「ずっと風呂に入りたかったんだろ? 一緒に来るなら髪を洗ってやるぞ」
その言葉にビクンと顔を上げ、少しだけライオンの頭を離す。
途端に裸の腰をしっかりと抱かれて持ち上げられ、レオンの体は湯の中にざぶりと音を立てて連れ去られた。
熱い湯の心地よさと同時に唇に接吻を与えられ、素直に潤いを開く。
いつもカインに侵略されているばかりなのが癪で、逆にカインの唇の中に舌を入れると、鋭い犬歯が当たり、ゾクゾクと淫らな感覚が背筋を駆け抜けた。
「ん……ふ」
更に舌を絡めながらのけぞるように後ろ倒しにされ、湯の中に落ちて溺れぬようにしっかりとカインの首筋に両腕を絡める。
深いキスを重ねながら後ろ頭が心地よい湯に浸かり、じんとした幸福感に包まれた。
唇が啄まれながら指が楽しげに湯の中で黒髪を梳き、地肌を愛撫するように揉む。
どうやらこの悪魔は気まぐれに世話焼きになるのが好きらしい――。
カインが唇を離し、じっと目を見ながら聞いてきた。
「どこか痒い場所があれば言えよ」
「ない……」
「へえ、ここが痒いのか」
髪に指を埋められたまま、湯の中で油断していた両脚の間へと、ズルリと白い尾が侵入した。
「はっ!? えぁ……っ」
後孔にヌプヌプとその先端が入ってゆき、中を掻き交ぜるようにヌッヌッと微妙に擦っている。
「こ、こんな場所……かゆくなんて……はっァあ……!」
「奥が痒いだろ? 掻いて欲しいんじゃねえのか? ぶっといモノで……」
耳元で囁かれ、羞恥に顔が真っ赤になる。
殴ってやりたいのに、カインの首に捕まらなければ湯の中に溺れてしまうような体勢なので、それも出来ない。
「ふざけるなよ……ひあ……っ」
湯の中で乳首に触れられ、むにむにと指先で柔らかく揉み潰されている。
「はァ……っ、カイン……あァ……」
淫らに腰を揺らしながら胸の隆起の先から来る性感に反応し、カインの尾を断続的に締め付ける。
「高潔な騎士様のくせに、オッパイに触って貰えてそんなに嬉しいのか……? 穴ん中、イく寸前みたいにヒクヒク嬉しそうにしやがって」
「や、やめてくれ……ゆ、湯を汚してしまう……っ」
「聖騎士様の恥ずかしいツユでなら、湯も清められるってものだぜ」
悪びれずに囁かれ、直腸の奥を優しく針が刺してゆく。
こんな場所で、またこの悪魔の女にされてしまう――。
痛みすら被虐的な悦びに置き換わっていくのが恐ろしい。
「さあ、もう一度聞こうか? どこか痒い場所は……?」
美貌の悪魔が腰を揺すり、自分の体にしがみ付いているレオンの太腿に太い怒張をゆっくりと擦りつける。
「ァあ……カイン……奥……奥を――」
羞恥に震えながらうわ言のように淫らに呟いた瞬間――。
掴まっていたカインの首筋が瞬間的にパッと消え去り、レオンは背中から思い切り湯の中に落ちて沈んだ。
「ぶはァっ……!」
余りの不意打ちにブクブクと溺れたようになり、慌てて両腕を掻いて水面へと飛び出る。
「カイン、お前なあ!? ……からかってるのかっ!?」
羞恥とやり切れなさに叫んで毒づくが、彼の姿が見えない。
尻の中に入りこんでいた尾も消えている。
「か、カイン……?」
しんとしてしまった周囲を見渡すと、針葉樹の向こうから誰かがやってくるのが見えた。
それは白い人影で、目を凝らすと、豊満な肉体を透けた絹のローブで包んだ、この館の女主だった。
ギョッとして目を逸らし、顔を両手で覆う。
(いっ、一体、何が起きて……っ! 俺はこの風呂に入ってはいけなかったのか!?)
声を上げる事も出来ずに首まで風呂に浸かって焦りばかりを募らせていると、やがて婦人の方から声を掛けてきた。
「フフフ……騎士様のお背中をお流しに参りましたわ」
なんという事だろう。
未亡人とは言え、初対面の女性が裸で男の前に現れるとは。
「マダム……! そのようなことは困ります……っ」
だが、貴婦人は絹ずれの音をさせて風呂に近づいて来る。
(か、カイン、助けてくれ――)
藁をもすがるような気持ちで念じると、突然全く知らぬ少女の声が目の前で上がった。
「ちょっと、オバサン! 私のレオンに近付かないで」
「は!?」
顔から指が外れたレオンと未亡人とが全く同時に叫ぶ。
二人の間には、いつの間に現れたのか、長い銀髪を垂らした華奢な少女が裸で立ちはだかっていた。
背中を向けているのでレオンには顔は見えないが、ひどく色白で、美しい体をしていることが分かる。
「ほら、邪魔しないで早く帰って。レオンは私だけのモノなんだから。ねっ、レオンっ」
くるりと少女が振り向く。
顔はカインを少し幼くしたような美貌で、白い腕と脇の間から膨らみがちらりと見えて、レオンは再びパッと顔を両手で抑えて真っ赤になった。
なんと言うか――その少女は、レオンが幼い頃、戒律を誓う前に密かに夢想していたような、完璧に理想の美少女だったのだ。
しかし一方で、何が起きているのか状況がさっぱり読めない。
「勝手に女性を連れ込むなんて、なっ、なんて失礼なお客様かしら! この私に恥をかかせて……! 冗談じゃないわっ!」
婦人が怒り狂って去っていく気配がする。
「綺麗な顔した蜘蛛女め、おととい来やがれってんだ」
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同時に、どうやら自分はカインの顔がとても好きだったらしいということに気付いた。
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戸惑っていると、開いた膝の間に彼の頭が入り込み、硬く勃起したままだったペニスを唇で咥え込まれた。
「ふぁ……っ」
湯の温感と、男の舌のざらりとした感触とが交互に襲って来て、すぐにでもイッてしまいそうな程気持ちいい。
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だが、あんなに婦人が怒っていたのに、この美しい風呂を汚し、湯の中で出すなんて……。
「い……イヤだ……っこんな場所でっ、んァ……」
カインの硬質な角を指で掴み引き剥がそうとするが、敵わない。
よく息が続くと感心するくらいねちっこくそこを舐られて、腰をガクガクさせながら淫らな声を野外に響かせる。
「アッ、ぁっ、きもちいい……イク……っ――ぁあっ」
カインの唇の中に精を放出し、体から一気に力が抜けてゆく。
ザバァっと悪魔が湯の中から顔を出し、舌と犬歯を見せて口の中の白濁をレオンに見せつけた。
「ほら、すげえ濃い」
「~~~っ」
なんと反応したら良いのか羞恥で固まっていると、また尻の奥にスブンと尾が侵入して、濡れ具合を確かめるように肉襞をまさぐられた。
「あ~あ、お前、せっかく飲んでやったのにこっちの方のが盛大に漏らしてんじゃん……ドロッドロで準備万端だな」
「ァはあ……っ」
「あの女も今頃物陰で悔しがってるだろうけど、まさかお前のケツ穴の方がオンナになってるとは思わねえだろうな。
ほら、立て」
腕を取られて引っ張り上げられ、尻の中にグプグプと尾を出し入れされながら、フラリと湯の中で立ち上がる。
手を引かれるままにライオンの彫像の前まで連れて行かれると、
「そこに掴まってケツ向けろ」
と、シンプルに要求された。
だが、そんな事をすればライオンの口から出ている水流が体の前面に当たってしまう。
「え……これ、熱そうじゃないか…?」
「さっき触ったけど別に熱くねえよ。いいから早くしろ」
言われて渋々とライオンの前に立ち、その腹のあたりを抱くようにして腰を反らす。
背を逸らしたライオンの口から漏れ落ちる水流が腕の間に落ち、勃起したペニスに当たったが、湯加減と変わらぬ温度で安心した。
「ほら、お待ちかねだ」
カインが薄く笑ってレオンの腰を掴み、尾を引き抜くと同時に濡れた後孔に怒張を突き上げてくる。
「あうう……っ!」
久々の挿入に苦痛を覚えながらも、彼の形を覚えている体は嬉々として雄を受け入れて行く。
奥までズップリと飲み込むと、その先が快楽の中枢にしっかりと当たり、相手が微動だにせずとも、自然にレオンの腰が揺れ動いてしまう。
「ンッ……はぁ……っあっ」
「自分でケツ揺らして中擦らせて、エっロい奴……そんな頑張る騎士殿にご褒美やらねえとな」
「ッ……あ……?」
カインの尾が、立っているライオンの彫像の足元を探るように動く。
カチと左の足で音がすると、ドポドポと流れ落ちている湯が、どんどん冷たくなっていった。
「ひゃあぁっ……つっ、冷たあっ……っ!」
ペニスを突然冷水に晒され、睾丸がキュウンと縮み上がる。
肌の表面との激しい温度差で水流の刺激をより感じ、陰茎の奥がヒクヒクと痙攣し、震えるような快楽に包まれた。
「ああ、たまんねえ。すげえいい感じで締まる」
カインが楽しそうに笑い、わざとやられたという事に気付いた。
「人の体で遊ぶんじゃな……っ」
言いかけると今度はライオンの右の足のスイッチが押され、急に水流の温度が上がる。
「あアア……っ!!」
今度はまるで、冷え切ったペニスの皮膚を沢山の熱い手で擽られているような感覚が走り、陰茎と睾丸のムズムズが止まらなくなる。
「ひあっ、変になる……っあうう!」
かと思えばまたすぐに冷水にされ、キュウンと一緒に縮み上がった尻の穴に激しくペニスを出し入れされる。
「はっ、ヌルッヌルなのにすげえ締まって、最っ高」
カインが皮膚の弾ける音を立てて挿入を続けながら、腕を伸ばして冷水に指を晒し、完全に冷たくなったそれでレオンの二つの乳首を摘み上げた。
「ァアあっ!! それっ、はァ……っアッはぁっ!」
湯にのぼせてピンク色に染まっていた突起は余りにも感じ過ぎ、ビュクビュクと白濁を吹き上げる。
だがそれも冷水と温水の繰り返しに流されて、湯に立つ泡の中に消えていく。
イッてしまった後の敏感な体にも、容赦なく何度も冷水と温水を繰り返され、気が狂ってしまいそうな快楽の責め苦が始まった。
「あぁァ……カイ、ンっ、カインッ……許してくれ……っ」
涙ながらに懇願するが、悪魔は文字通り悪魔の如く、性行為を止めてはくれない。
冷水の中で熱い手にペニスを扱かれたり、湯の中で冷たい指に鈴口をほじられたり、イッてもイッても終わりのない悦楽を強要され、頭の中までドロドロに犯される。
「終わらせて欲しいのか……? じゃあ、ねだれよ……」
痛い程に敏感になった乳首を冷たい指で弄ばれながら、尻を突き上げてレオンは叫んだ。
「出して……早く……俺の中で、いっぱい……! お前の、出してくれ……っ!」
冷水でキュウ……っと収縮した後孔に、熱い精液がドクドクと溢れる。
「アッ……あぁ……はあっ……ッ」
安堵と、温度差でより感じてしまう体液の熱感で、レオンは精液を吐かず、尻の奥の感覚だけでイキ果てた。
それから数時間後、真夜中の侘しいリンドの町外れ――。
結局レオンは貴婦人の屋敷を追い出され、いつも通りの安宿で隙間風に吹かれながら粗末なベッドに横になっていた。
あの時カインさえ現れなければ今頃、温かく豪華な食事にありつき、フカフカのベッドで眠れていたかもしれない。
けれど、婦人の過剰な接待付きだったことを考えると、それもどうだろうかと考えてしまうところだ。
(俺はやはり、人の気持ちに疎いな……)
反省しながらため息を付いていると、 「――なに不機嫌になってんだよ。いい部屋に泊まっていいもん食って、あの女とヤリたかったのか?」
いつの間にかカインが、ベッドサイドに腕を組んで立っている。
セックスが終わった後、やることは終えたとばかりにちゃっかり姿を消していたくせに、珍しくまた現れたらしい。
「そうだな。少なくとも温かい寝どこにはありつけた」
わざと嫌味たっぷりな口調でそう言ってやると、本気にしたのか、カインがベッドの中に入ってくる。
「そういうこと言うなよな。俺が温めてやるから、それでいいだろ?」
ギュッと胸の中に抱きしめられて、クスッと笑い出しそうになった。
「許してやらないこともない」
カインの唇に口付けする。
――今夜はよく眠れそうだ。
レオンは悪魔の温かな肌に触れながら、心地よく目を閉じた。
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