妖精姫はくまさんに恋をする。

ノノ

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本編

妖精姫と束の間の時間。

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マリーが見えなくなるまで歩くとレオンハルトは足をとめた。

「レオン兄様?」

ソフィアは不思議に思いレオンハルトをみると優しく微笑んで頭を撫でてくれた。

「出てきなさい。」

「え?」

レオンハルトの命令にも似た口調に疑問に思っていると柱の影からエメルが出てきた。

「え、エメル様!?」

ソフィアはすごく驚いた。エメルはレオンハルトの側まで近寄ると頭を下げた。

「ソフィアを屋敷までお願いしてもいいかな。」

「はい。お任せ下さい。」

「ソフィアを頼むよ。」

レオンハルトはエメルにソフィアを任せると、ソフィアの頭を再び優しく撫でながら悪戯っぽく微笑みその場を離れて行った。



馬車に2人で乗り込むとソフィアは口を開いた。

「あの、エメル様はいつから…その。」

「ソフィア様が殿下と2人になってからです。実は王太子様付きの騎士をさせていただいております。」

ソフィアは絶句した。だってそんなこと聞いてなかったから。だからレオンハルトはあんな悪戯っぽい笑みを浮かべていたのだ。ソフィアは心の中でレオンハルトへ愚痴った。

「ソフィア様、その自分から貴方に告白しておいてこんなことを言うのもどうかと思うのですが…。私のことを悪く言われても「嫌です。」」

ソフィアははしたないと思いながらも、エメルの言葉を遮った。

「ソフィア。」

そっとエメルの手がソフィアの頬に添えられ、エメルの美しい黒い瞳と目が合った。いつもより少し低い声で呼ばれる自分の名前。場違いにもドキドキと音が聞こえそうなくらい心臓が早く動いている気がする。

「嫌です。私はエメル様をお慕いしております。大切な愛しい方を悪く言われるなんて許し難いですわ。」

アレクサンダーに言われたときは冗談に近かったからか流せたのに、マリーに言われたときは許せなかった。とくにマリーの場合はソフィアを貶めたいが為にエメルの容姿を引き合いにだしたのだ。許せるわけがなかった。

「それよりも私のせいでエメル様が悪く言われてしまって…ごめんなさい。」

ソフィアが視線を下にむけると、目から涙が溢れた。
エメルはソフィアの頬に添えた手の親指で涙を掬う。それでも一度流れてしまえば次々に溢れていく。

「ソフィ、君が泣いているのに悪いとは思うけど正直にいうよ。俺は嬉しかったんだ。」

エメルの言葉にソフィアの涙はとまった。

「ソフィが俺の為に怒ってくれて。愛しい人だと言ってくれて嬉しかった。あの時すぐに出て行ってソフィを抱きしめたかった。」

エメルが優しくソフィアを引き寄せる。ソフィアはそんなエメルの胸板に顔を寄せた。

「ソフィ、俺も君のことを愛しく思ってる。」

ソフィアはエメルから愛しいと言われて嬉しかった。先程までの苛立ちや悲しみは消え去り、幸せな気持ちがソフィアを包み込んだ。
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