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神の眷属の紹介
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現実世界の僕こと東龍之介は、資格を無事に取得することに成功した。
これで少しだけ給料が上がったので、貯金もしやすくなった。これからはコツコツと貯めて行こう。
そう思いながら、自宅の鍵を開けて中に入ろうとすると、人の気配を感じた。
振り返ると、そこには見知らぬ若い女性が立っていたが、その仕草や歩き方には見覚えがあった。
「君はもしかして……」
「この間は、相談に乗ってくれてありがとう。今日も悪いんだけど、少しだけお時間を貰えないかな?」
特に予定もないし、明日は休みなので僕は頷くことにした。
「散らかってて申し訳ないけど、上がって欲しい」
彼女を中に招くと、姿勢良く腰を下ろしてから、可愛らしい袋から箱を出した。
「資格取得のお祝い……というわけじゃないけど、良かったら食べてくれないかな?」
彼女は何と、この近所では有名なケーキ屋のケーキを買ってきてくれていた。
誰かにお祝いをして貰えるなんて、何年ぶりのことだろうか!?
「嬉しいな! ありがとう!!」
思わず、響く声になっていたから自分自身に驚いていたが、その女性は頬を赤らめながら僕を見上げていた。
僕はちょうどストックしていたワインを、冷蔵庫から出して彼女には差し出すと、その女性はようやく表情を戻した。
「あと、相談したいこともあるから、お料理しながら話そうか?」
女性の持つ袋の中を見ると、野菜や肉などが入っていた。
もしかしたら、手料理を振る舞うつもりで来てくれたのかもしれない。
「そういうことなら、お言葉に甘えようかな?」
僕の住むアパートは、キッチンが狭いため2人並んで作業をすることができないので、話し相手になることにした。
彼女は野菜をカットしながら言う。
「どうして、今日は人間の姿で来たかというと……実際に男性と同居してみたいから、ある人に協力してもらったの」
勉強熱心だなと思いながら話を聞いていたが、ある人というところがとても気になった。
いくら神様の眷属の紹介と言っても、独身男のアパートに単身で乗り込むなんて、普通の女の子にはできないだろう。
自然と、協力者がどんな人間なのか知りたくなるのが人情だろう。
「その協力してくれている……その人は、どんな人なの?」
そう質問すると、やってきた女性は包丁の手を止めてから、僕を見た。
「……私、実は死のうと思っていたの」
「え!?」
彼女は伏し目がちに答えた。
「就職先で精神を病んでから……ずっと自宅で引きこもっていたんだけど、26になったんだから、いい加減にしなさいって、実家を追い出されてね……」
「…………」
じっと眺めていると、彼女は再び野菜をカットしながら囁いていく。
「でも、命を断つことなんて出来なくて……グズグズしていたら、ケモミミの巫女さんが現れて、粗末にするくらいなら身体を貸してって言われたの」
「そうだったんだ……」
彼女は頬を赤らめながら僕を見てきた。
「東さん……」
「なんだい?」
「こんな私でもよければ、家に置いてもらえないかな?」
「いいのかい、僕は貧乏だよ? 職場を紹介して君にも働いてもらうことになる……上司の鈴木さんや同僚もいい人たちだし、仕事の仕方も僕から教えてあげることはできる」
彼女はゴクリと唾を呑んでいた。さすがに、働けという言葉は彼女には負担が重すぎたのか。
そう思っていたら、いつの間にか彼女の後ろにケモミミ少女巫女が現れていた。
「心配しなくても大丈夫だよ。彼の職場を見てきたけど、あなたがいたところのようなパワハラやセクハラはなかったから」
女性がケモミミ少女巫女に視線を向けると、巫女はニッと笑った。
「まあ、給料は安いからフルパートで働かないと、少々きついけどね」
そう言われると、少しだけ女性は安堵した表情をしていた。なんだか、今までが思い詰めた表情をしていたから、安心するし思った以上に美人でびっくりする。
「……それはだいじょうぶだと思います。こう見えて体力には自信がありますから」
間もなく僕は、この女性を職場に紹介して一緒に働くことになった。
最初のうちこそ、仕事の要領がわからなくて混乱しているようだったが、地頭は良かったらしく僕が普段こなしているような仕事は1か月もすれば手が止まるようなこともなくなり、安心してみていられるようになった。
そして、その頃になると、家の中ではハグしあったり肩を寄せ合ったりと、2人の関係も恋人同士という感じになっていた。
【龍之介の恋人になった女性】
これで少しだけ給料が上がったので、貯金もしやすくなった。これからはコツコツと貯めて行こう。
そう思いながら、自宅の鍵を開けて中に入ろうとすると、人の気配を感じた。
振り返ると、そこには見知らぬ若い女性が立っていたが、その仕草や歩き方には見覚えがあった。
「君はもしかして……」
「この間は、相談に乗ってくれてありがとう。今日も悪いんだけど、少しだけお時間を貰えないかな?」
特に予定もないし、明日は休みなので僕は頷くことにした。
「散らかってて申し訳ないけど、上がって欲しい」
彼女を中に招くと、姿勢良く腰を下ろしてから、可愛らしい袋から箱を出した。
「資格取得のお祝い……というわけじゃないけど、良かったら食べてくれないかな?」
彼女は何と、この近所では有名なケーキ屋のケーキを買ってきてくれていた。
誰かにお祝いをして貰えるなんて、何年ぶりのことだろうか!?
「嬉しいな! ありがとう!!」
思わず、響く声になっていたから自分自身に驚いていたが、その女性は頬を赤らめながら僕を見上げていた。
僕はちょうどストックしていたワインを、冷蔵庫から出して彼女には差し出すと、その女性はようやく表情を戻した。
「あと、相談したいこともあるから、お料理しながら話そうか?」
女性の持つ袋の中を見ると、野菜や肉などが入っていた。
もしかしたら、手料理を振る舞うつもりで来てくれたのかもしれない。
「そういうことなら、お言葉に甘えようかな?」
僕の住むアパートは、キッチンが狭いため2人並んで作業をすることができないので、話し相手になることにした。
彼女は野菜をカットしながら言う。
「どうして、今日は人間の姿で来たかというと……実際に男性と同居してみたいから、ある人に協力してもらったの」
勉強熱心だなと思いながら話を聞いていたが、ある人というところがとても気になった。
いくら神様の眷属の紹介と言っても、独身男のアパートに単身で乗り込むなんて、普通の女の子にはできないだろう。
自然と、協力者がどんな人間なのか知りたくなるのが人情だろう。
「その協力してくれている……その人は、どんな人なの?」
そう質問すると、やってきた女性は包丁の手を止めてから、僕を見た。
「……私、実は死のうと思っていたの」
「え!?」
彼女は伏し目がちに答えた。
「就職先で精神を病んでから……ずっと自宅で引きこもっていたんだけど、26になったんだから、いい加減にしなさいって、実家を追い出されてね……」
「…………」
じっと眺めていると、彼女は再び野菜をカットしながら囁いていく。
「でも、命を断つことなんて出来なくて……グズグズしていたら、ケモミミの巫女さんが現れて、粗末にするくらいなら身体を貸してって言われたの」
「そうだったんだ……」
彼女は頬を赤らめながら僕を見てきた。
「東さん……」
「なんだい?」
「こんな私でもよければ、家に置いてもらえないかな?」
「いいのかい、僕は貧乏だよ? 職場を紹介して君にも働いてもらうことになる……上司の鈴木さんや同僚もいい人たちだし、仕事の仕方も僕から教えてあげることはできる」
彼女はゴクリと唾を呑んでいた。さすがに、働けという言葉は彼女には負担が重すぎたのか。
そう思っていたら、いつの間にか彼女の後ろにケモミミ少女巫女が現れていた。
「心配しなくても大丈夫だよ。彼の職場を見てきたけど、あなたがいたところのようなパワハラやセクハラはなかったから」
女性がケモミミ少女巫女に視線を向けると、巫女はニッと笑った。
「まあ、給料は安いからフルパートで働かないと、少々きついけどね」
そう言われると、少しだけ女性は安堵した表情をしていた。なんだか、今までが思い詰めた表情をしていたから、安心するし思った以上に美人でびっくりする。
「……それはだいじょうぶだと思います。こう見えて体力には自信がありますから」
間もなく僕は、この女性を職場に紹介して一緒に働くことになった。
最初のうちこそ、仕事の要領がわからなくて混乱しているようだったが、地頭は良かったらしく僕が普段こなしているような仕事は1か月もすれば手が止まるようなこともなくなり、安心してみていられるようになった。
そして、その頃になると、家の中ではハグしあったり肩を寄せ合ったりと、2人の関係も恋人同士という感じになっていた。
【龍之介の恋人になった女性】
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