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34.敵対冒険者チームとの一戦
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間もなく、僕たちは陣形を組みなおした。
先頭は僕ことリューノ。2番手はメリザンド、3番手がリットウシグレ号、最後尾はアビゲイル。
なぜ、こんな陣形を組んだのかと言えば、リットウシグレ号を単なる荷馬に見えるように扱っているからだ。
ウマは本来とても臆病な動物である。そのうえ食料や武器のストックなど、冒険に必要な荷物を運ばせるチームの生命線でもあるため、常に安全な位置に配置するのがセオリーだ。
何も知らないふりをして進んでいくと、まずはメリザンドが僕の服の袖を引いた。エルフの道の先はちょうど獣道になっていて、その先には別ギルドの冒険者パーティーがいる。
数は6人。全員が男という編成で、先頭が重戦士、2番手と3番手が軽戦士、4番目と5番目が魔法使い、最後尾が弓使いという組み合わせだ。
リーダーと思しきヒゲ面の男が言ってきた。
「おい、ちょうどいいところに女連れがいたぞ!」
「こりゃいい……殺されたくなけりゃ、女どもを置いていけ!」
「ついでにウマもな」
その男たちを見たとき、人相の悪さから日本にいたときに何度も見てきた、チンピラを思い出した。
あいつらとの違いは、ある程度の戦闘訓練を受けているうえに、実際に人を傷つけている経験が多いというところだろう。
なんとなく雰囲気から、ヤクザというよりもマフィアのような印象を受ける。
だけど、どういうことだろう。
あまり怖さを感じていない僕がいた。霊力に身体を守られているからだろうか。それとも魔境を歩いた経験があるからなのかはわからないが、平然とこう答えることができた。
「修行不足なゴロツキ共が。家にでも帰ってクソして寝な!」
「はぁ!? このガキ……いま、何て言いやがった!?」
「ぶっ潰してやる!」
ひとりが斬りかかって来ると、僕はレイピアを抜いて近づいてきた男を感電させた。
「あばヴぶぶヴぁぶぶあ!?」
その戦士の体から煙が上がると、やがて飛びかかってきた戦士は白目を剥いて崩れ落ちた。攻撃に来る速度といい、体の筋肉の量と言い……全く話になっていない。
「きみ、問題外ね」
「調子に乗りやがって……俺様は、そこのゴミの10倍は強いぞ!」
「さっさと来いデカブツ」
「ほざけぇ!」
その重戦士も向かってきたが、僕は攻撃をよく見ながら交わしてみた。
すると……興味深いことがわかった。この戦士、力づくで攻撃してきているだけで、周囲の森の様子や僕のメリザンドやアビゲイルの動きに注意を払っていないのである。
こいつもゼンゼン大したことないなと思いながら、僕はまず重戦士の手の甲にレイピアの刃先で突いて無力化してみた。
「うぎゃあっ!?」
その直後に重戦士は力んでいた。
恐らく、僕が感電攻撃をしてくると思ったのだろう。だけど、あいにくそれは後回しだ。こんなすぐに倒せる奴よりも、遠くから弓で狙ってきているバカに対処する方が先だ。
僕はよく弓使いの動きを、目ではなく耳で感じ取ると、放たれた瞬間に視線を向け、矢の進行方向を読んでからレイピアで切り払った。
「なっ……まじか!?」
その直後に、怒った様子のアビゲイルが弓矢を構えて、僕を狙ってきた男弓使いを狙撃した。
「ごぎゃあ!」
彼女の狙いは正確で、矢の一発で弓使いの急所を貫いていた。
「よ、よくも……!」
「卑怯だぞ!」
「誰が卑怯よ。そっちが先に手を出してきたんじゃない!!」
アビゲイルだけでなくメリザンドも交戦の構えを見せると、敵魔法使い2人と彼女たちの戦いも始まった。それだけでなく、残った軽戦士もアビゲイルたちを倒そうと向かってくる。
すると、今までは荷馬のフリをしていたリットウシグレ号も交戦をはじめた。
突然、角が生えて水魔法を打ちだされると、不意を突かれた敵軽戦士はマヌケにも顔面に受けて木に叩きつけられ、更にシグレ号は追い打ちをかけるように股下に蹴りを見舞う。
「のぎゃあああああ!」
蹴り飛ばされた軽戦士は、股下を抑えたまま崖を転がり落ちていき、そのまま川の中へと突っ込んでいた。
アビゲイルも敵魔法使いの急所を一発で仕留めて見せ、メリザンドも炎系魔法で敵魔法使いを焼き尽くした。そして僕に向かってきた敵ももちろん地に伏している。感電させなくても倒す方法はいくらでもあるのだ。
「どこのギルドの連中?」
リットウシグレ号が、そう言いながら僕の倒した男を調べると、やがて頷いていた。
「なにかわかったか?」
「こいつら……ノラだね。一応は冒険者だけど、専門は追剥とか人さらいと言ったところかな?」
「というか、固有特殊能力くらい出してくるかと思っていたけど……期待外れだったね」
そう伝えると、メリザンドは答えた。
「実力差がありすぎると、アビリティを持っていても使う前にやられてしまうこともザラにあります」
「なるほど……」
よく考えてみれば、僕のアビリティのように鍛錬専用みたいなモノもあるのだから、アビリティを出さずに勝負が終わってしまうというのも、よくある話かもしれない。
【敵から見たリューノ】
先頭は僕ことリューノ。2番手はメリザンド、3番手がリットウシグレ号、最後尾はアビゲイル。
なぜ、こんな陣形を組んだのかと言えば、リットウシグレ号を単なる荷馬に見えるように扱っているからだ。
ウマは本来とても臆病な動物である。そのうえ食料や武器のストックなど、冒険に必要な荷物を運ばせるチームの生命線でもあるため、常に安全な位置に配置するのがセオリーだ。
何も知らないふりをして進んでいくと、まずはメリザンドが僕の服の袖を引いた。エルフの道の先はちょうど獣道になっていて、その先には別ギルドの冒険者パーティーがいる。
数は6人。全員が男という編成で、先頭が重戦士、2番手と3番手が軽戦士、4番目と5番目が魔法使い、最後尾が弓使いという組み合わせだ。
リーダーと思しきヒゲ面の男が言ってきた。
「おい、ちょうどいいところに女連れがいたぞ!」
「こりゃいい……殺されたくなけりゃ、女どもを置いていけ!」
「ついでにウマもな」
その男たちを見たとき、人相の悪さから日本にいたときに何度も見てきた、チンピラを思い出した。
あいつらとの違いは、ある程度の戦闘訓練を受けているうえに、実際に人を傷つけている経験が多いというところだろう。
なんとなく雰囲気から、ヤクザというよりもマフィアのような印象を受ける。
だけど、どういうことだろう。
あまり怖さを感じていない僕がいた。霊力に身体を守られているからだろうか。それとも魔境を歩いた経験があるからなのかはわからないが、平然とこう答えることができた。
「修行不足なゴロツキ共が。家にでも帰ってクソして寝な!」
「はぁ!? このガキ……いま、何て言いやがった!?」
「ぶっ潰してやる!」
ひとりが斬りかかって来ると、僕はレイピアを抜いて近づいてきた男を感電させた。
「あばヴぶぶヴぁぶぶあ!?」
その戦士の体から煙が上がると、やがて飛びかかってきた戦士は白目を剥いて崩れ落ちた。攻撃に来る速度といい、体の筋肉の量と言い……全く話になっていない。
「きみ、問題外ね」
「調子に乗りやがって……俺様は、そこのゴミの10倍は強いぞ!」
「さっさと来いデカブツ」
「ほざけぇ!」
その重戦士も向かってきたが、僕は攻撃をよく見ながら交わしてみた。
すると……興味深いことがわかった。この戦士、力づくで攻撃してきているだけで、周囲の森の様子や僕のメリザンドやアビゲイルの動きに注意を払っていないのである。
こいつもゼンゼン大したことないなと思いながら、僕はまず重戦士の手の甲にレイピアの刃先で突いて無力化してみた。
「うぎゃあっ!?」
その直後に重戦士は力んでいた。
恐らく、僕が感電攻撃をしてくると思ったのだろう。だけど、あいにくそれは後回しだ。こんなすぐに倒せる奴よりも、遠くから弓で狙ってきているバカに対処する方が先だ。
僕はよく弓使いの動きを、目ではなく耳で感じ取ると、放たれた瞬間に視線を向け、矢の進行方向を読んでからレイピアで切り払った。
「なっ……まじか!?」
その直後に、怒った様子のアビゲイルが弓矢を構えて、僕を狙ってきた男弓使いを狙撃した。
「ごぎゃあ!」
彼女の狙いは正確で、矢の一発で弓使いの急所を貫いていた。
「よ、よくも……!」
「卑怯だぞ!」
「誰が卑怯よ。そっちが先に手を出してきたんじゃない!!」
アビゲイルだけでなくメリザンドも交戦の構えを見せると、敵魔法使い2人と彼女たちの戦いも始まった。それだけでなく、残った軽戦士もアビゲイルたちを倒そうと向かってくる。
すると、今までは荷馬のフリをしていたリットウシグレ号も交戦をはじめた。
突然、角が生えて水魔法を打ちだされると、不意を突かれた敵軽戦士はマヌケにも顔面に受けて木に叩きつけられ、更にシグレ号は追い打ちをかけるように股下に蹴りを見舞う。
「のぎゃあああああ!」
蹴り飛ばされた軽戦士は、股下を抑えたまま崖を転がり落ちていき、そのまま川の中へと突っ込んでいた。
アビゲイルも敵魔法使いの急所を一発で仕留めて見せ、メリザンドも炎系魔法で敵魔法使いを焼き尽くした。そして僕に向かってきた敵ももちろん地に伏している。感電させなくても倒す方法はいくらでもあるのだ。
「どこのギルドの連中?」
リットウシグレ号が、そう言いながら僕の倒した男を調べると、やがて頷いていた。
「なにかわかったか?」
「こいつら……ノラだね。一応は冒険者だけど、専門は追剥とか人さらいと言ったところかな?」
「というか、固有特殊能力くらい出してくるかと思っていたけど……期待外れだったね」
そう伝えると、メリザンドは答えた。
「実力差がありすぎると、アビリティを持っていても使う前にやられてしまうこともザラにあります」
「なるほど……」
よく考えてみれば、僕のアビリティのように鍛錬専用みたいなモノもあるのだから、アビリティを出さずに勝負が終わってしまうというのも、よくある話かもしれない。
【敵から見たリューノ】
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