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勇者の渡河作戦
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1月下旬深夜。
俺様ことパワハーダは、鼻をすすりながら国王方の城を睨んでいた。身体は既に寒さで凍ってしまいそうだが、死んでも耐えるしかねえ。
なにせ、孤立した城と俺様の領土を再び繋げなければ、この孤立した城まで、国王派に寝返ってしまうだろう。
「いいかお前等、民草に過ぎないゴミが成り上がるには、肥え太ったクソ貴族から金とか土地を奪い返すしかねえ! 一生ゴミでいたくねーのなら根性みせろよ」
兵どもは頷いた。
とりあえず、やる気は十分のようだ。
本心を言えば、手柄は全部この俺様が横取りして、失敗だけを田舎者どもに押し付けるつもりなんだが、まあ逸れっぽいこと言っとけば、こいつらはアホみたいに働くだろう。
そんなことを考えながら、俺は部下を引き連れたまま凍った川の上を歩き続けた。平凡な人間は割れると怖いとか思ってこういう場所は遠慮したがるものだが、ここは雪深く積もった獣道とは違って、足場は意外と安定しているので行軍に向いている。
欠点としては、ウマなど体の重い動物を同行させられないところと……
「ぎゃあ!」
「ああ、サム!」
「近寄るな! そいつが落ちたってことはその周りの氷も薄い!」
「……そ、そんなぁ」
こういう風に、たまに薄い場所に踏み込んだら一巻の終わりということくらいだろう。
まあ落ちた兵士どもは運が悪かったと諦めるんだな。
明け方まで歩いたとき、俺たちは敵対勢力である王国の城の裏手へとたどり着いた。
まさかこんな時期に攻撃を仕掛けてくるなど、王国側は誰も思っていないらしく、見張りという見張りもいない状況だ。
「よし、手筈通りに行くぞ……虫けらのように俺たち平民を扱う貴族どもを叩き潰す」
そう伝えると、元農民や城下の労働者どもも頷いた。
よし、行け……犬ども!
「皆さん、お待ちかねのパーティーだ。城下の女子供でも、貴族の城にある財宝でも……すべてが俺様たちのモノだ」
俺はそう言いながら剣を抜いた。
「ちと遅いが……メリィ、クリスマス!」
「メリィ、クリスマス!」
俺様が走り出すと、こいつらは飢えたオオカミのように武器を手に城下へとなだれ込んだ。
こちらの行動に真っ先に気付いたのは、朝早く起きて仕事をしようとしていた農夫と城下町の労働者という、何とも俺たちと身分の同じな可哀そうな連中だった。
「おらおら貧乏人ども! 巻き込まれたくなければ……こ汚い妻子を連れて、さっさと避難しやがれ!」
「ひぃ!」
この勇者パワハーダ様が叫ぶと、つられるように部下共も騒ぎ出した。
「おい、そこの農夫! 地主殿の家はどこだ!?」
「あちらです!」
「おーし、頂けるものは頂いていくぞぉ!」
「金持ちブタは俺が叩き潰す! お前ら退け!」
「何言ってんだ! 俺様だってオオモノ狙いだ!!」
「世界はまさに終末! 気の赴くままに生きなきゃソンだぜ!」
ああ、そういえば貧乏人共のあいだじゃ、終末思考というのが萬栄しているんだったな。
偉大なる救世主ミリズスが死んだから1000年間は神の祝福があったけど、その加護もなくなったいま、世界は滅亡に向かっているとか言う思想のことだ。
それは俺としても……あながち間違ってはいないと思うぜ。
自分のことしか考えていない勇者に、保身にばかり走るバカ王、人間を片っ端から地獄に落とす神様。おまけにどこにいるのかわかんねーけど1公9民にする民思いの魔王様までいるんじゃ、世界がまるであべこべだ。
そんなことを考えながら暴れていたら、農民や労働者どもも武装して、次々と金持ちとかを襲い始めたぞ。こりゃおもしれえ!
「おらおらおらおら! 今日は革命パーティーだ! 王やそのケツに張り付いてクソを食らって生きるウジ虫を退治するぞ! 文句のあるヤツは武器を取れ! ウジ虫は切り刻め!!」
「おおおおー!」
どうやら城にいた将兵は、民の暴動がはじまったと思ったようだ。
次々に騎兵などが向かってきたが、俺たちではなく関係ない民に向かって攻撃を仕掛けている。バカにはちょうどいい目くらましだろう。
「お前らぁ! ザコ狩りはその辺にして、そろそろオオモノ狩ろうぜ!」
「次はどこですかぁ!?」
「城だ! 城にはなぁ……唸るほどの財宝と、美人な女がいくらでもいるぞ!」
「おおおおー!」
確かに城を守っている将兵は農民なんかよりは強いが、それでも少数で相手できる数は限られている。押し寄せる民衆を前に、守備兵は次々と逃げ出し、俺はたったの1日でこの城を我がものとした。
勇者の城数4 支配地域27
北の大公国の城数12 支配地域83
国王の城数6 支配地域37
国王の従属城1 支配地域7
南の公国9 支配地域57
新魔王軍の城数4 支配地域27+2
魔王の従属城1 支配地域8
勇者の家臣 国王の家臣 魔王の家臣
農業60以上 7人 15人 17人
商業60以上 5人 10人 14人
野戦60以上 15人 17人 13人
籠城60以上 9人 14人 13人
智謀60以上 6人 7人 13人
全体 25人 33人 34人
俺様ことパワハーダは、鼻をすすりながら国王方の城を睨んでいた。身体は既に寒さで凍ってしまいそうだが、死んでも耐えるしかねえ。
なにせ、孤立した城と俺様の領土を再び繋げなければ、この孤立した城まで、国王派に寝返ってしまうだろう。
「いいかお前等、民草に過ぎないゴミが成り上がるには、肥え太ったクソ貴族から金とか土地を奪い返すしかねえ! 一生ゴミでいたくねーのなら根性みせろよ」
兵どもは頷いた。
とりあえず、やる気は十分のようだ。
本心を言えば、手柄は全部この俺様が横取りして、失敗だけを田舎者どもに押し付けるつもりなんだが、まあ逸れっぽいこと言っとけば、こいつらはアホみたいに働くだろう。
そんなことを考えながら、俺は部下を引き連れたまま凍った川の上を歩き続けた。平凡な人間は割れると怖いとか思ってこういう場所は遠慮したがるものだが、ここは雪深く積もった獣道とは違って、足場は意外と安定しているので行軍に向いている。
欠点としては、ウマなど体の重い動物を同行させられないところと……
「ぎゃあ!」
「ああ、サム!」
「近寄るな! そいつが落ちたってことはその周りの氷も薄い!」
「……そ、そんなぁ」
こういう風に、たまに薄い場所に踏み込んだら一巻の終わりということくらいだろう。
まあ落ちた兵士どもは運が悪かったと諦めるんだな。
明け方まで歩いたとき、俺たちは敵対勢力である王国の城の裏手へとたどり着いた。
まさかこんな時期に攻撃を仕掛けてくるなど、王国側は誰も思っていないらしく、見張りという見張りもいない状況だ。
「よし、手筈通りに行くぞ……虫けらのように俺たち平民を扱う貴族どもを叩き潰す」
そう伝えると、元農民や城下の労働者どもも頷いた。
よし、行け……犬ども!
「皆さん、お待ちかねのパーティーだ。城下の女子供でも、貴族の城にある財宝でも……すべてが俺様たちのモノだ」
俺はそう言いながら剣を抜いた。
「ちと遅いが……メリィ、クリスマス!」
「メリィ、クリスマス!」
俺様が走り出すと、こいつらは飢えたオオカミのように武器を手に城下へとなだれ込んだ。
こちらの行動に真っ先に気付いたのは、朝早く起きて仕事をしようとしていた農夫と城下町の労働者という、何とも俺たちと身分の同じな可哀そうな連中だった。
「おらおら貧乏人ども! 巻き込まれたくなければ……こ汚い妻子を連れて、さっさと避難しやがれ!」
「ひぃ!」
この勇者パワハーダ様が叫ぶと、つられるように部下共も騒ぎ出した。
「おい、そこの農夫! 地主殿の家はどこだ!?」
「あちらです!」
「おーし、頂けるものは頂いていくぞぉ!」
「金持ちブタは俺が叩き潰す! お前ら退け!」
「何言ってんだ! 俺様だってオオモノ狙いだ!!」
「世界はまさに終末! 気の赴くままに生きなきゃソンだぜ!」
ああ、そういえば貧乏人共のあいだじゃ、終末思考というのが萬栄しているんだったな。
偉大なる救世主ミリズスが死んだから1000年間は神の祝福があったけど、その加護もなくなったいま、世界は滅亡に向かっているとか言う思想のことだ。
それは俺としても……あながち間違ってはいないと思うぜ。
自分のことしか考えていない勇者に、保身にばかり走るバカ王、人間を片っ端から地獄に落とす神様。おまけにどこにいるのかわかんねーけど1公9民にする民思いの魔王様までいるんじゃ、世界がまるであべこべだ。
そんなことを考えながら暴れていたら、農民や労働者どもも武装して、次々と金持ちとかを襲い始めたぞ。こりゃおもしれえ!
「おらおらおらおら! 今日は革命パーティーだ! 王やそのケツに張り付いてクソを食らって生きるウジ虫を退治するぞ! 文句のあるヤツは武器を取れ! ウジ虫は切り刻め!!」
「おおおおー!」
どうやら城にいた将兵は、民の暴動がはじまったと思ったようだ。
次々に騎兵などが向かってきたが、俺たちではなく関係ない民に向かって攻撃を仕掛けている。バカにはちょうどいい目くらましだろう。
「お前らぁ! ザコ狩りはその辺にして、そろそろオオモノ狩ろうぜ!」
「次はどこですかぁ!?」
「城だ! 城にはなぁ……唸るほどの財宝と、美人な女がいくらでもいるぞ!」
「おおおおー!」
確かに城を守っている将兵は農民なんかよりは強いが、それでも少数で相手できる数は限られている。押し寄せる民衆を前に、守備兵は次々と逃げ出し、俺はたったの1日でこの城を我がものとした。
勇者の城数4 支配地域27
北の大公国の城数12 支配地域83
国王の城数6 支配地域37
国王の従属城1 支配地域7
南の公国9 支配地域57
新魔王軍の城数4 支配地域27+2
魔王の従属城1 支配地域8
勇者の家臣 国王の家臣 魔王の家臣
農業60以上 7人 15人 17人
商業60以上 5人 10人 14人
野戦60以上 15人 17人 13人
籠城60以上 9人 14人 13人
智謀60以上 6人 7人 13人
全体 25人 33人 34人
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