16 / 30
16.温泉でくつろいでみる
しおりを挟む
たっぷりと下草を平らげると、心なしかリンゴの木が喜んでいる気がした。
周囲にはライバルとなる樹木も多いけれど、下草がなくなっただけ彼の負担も少なくなったように思える。
「凄い達成感だ……」
「そうですね」
悦に浸っていると、隣にいた青毛娘はこちらを見た。
「そういえばあなた。まだ……温泉には入っていませんでしたね」
「そうだったね」
頷くと、青毛娘はにっこりと笑った。何だかとても可愛らしい表情である。
「ご案内しますので、着いてきてください」
温泉はラギア地域の中でも、やや小生の故郷に近い位置にあった。
というかよく考えれば、舐めれば塩が混じっている岩場の近くにあり、小生も納得しながら青毛娘の後に着いて行った。
「なるほど……ここはラギア地域でも、かなり安全な場所だね」
「はい。貴方の故郷が隣なのですから、ゴブリンや例の5頭に怯えずに歩くことができます」
「…………」
小生から見たら、例の5頭もゴブリンも恐ろしい存在ではないが、一般のウマやまだ幼い仔馬から見たら、脅威以外の何物でもないだろう。
まあでも、つい先日に返り討ちにしたばかりだし、しばらくの間は大挙して攻めて来ることもないか。とりあえずは温泉でも楽しむことにしよう。
少しずつ硫黄の臭いも強くなってきたことだし。
「こちらです」
青毛娘の隣に立つと、その先には湯気を上げる露天温泉が姿を見せた。
岩の割れ目から熱湯が流れ出ており、川の水も温泉に流れ込んで良い感じの温度になっていそうだ。それだけでも嬉しいことだけど、この温泉からは塩分やカルシウムの匂いも感じる。
「この温泉……もしかして塩化物泉?」
「よ、よくわかりましたね……そうです。ここには食塩や色々なモノが溶け込んでいます」
そこまで言うと青毛娘はにっこりと笑った。
「傷を負ったときなどに入ると、とても治りが早くなるんですよ」
「なるほど……他にも、皮膚の病気とかにも効果があるかもしれないね」
「さっそく、入りましょう」
「うん」
幸いにも先客はいなかったため、小生は青毛娘と一緒に湯船へと入った。
湯加減は少し熱めだけど、これぞ温泉という感じだ。脚先を入れているだけでもポカポカと身体が芯から暖められていく。
「…………」
もう少し奥に入って腰を落ち着けると、おや……小生のユニコーンホーンが現れて青白い光を放った。
「ユニコーンホーン……と言っても、誰が見てる訳でもないからいいか」
青毛娘に言うと、彼女も小生のホーンを眺めてきた。
「長い角で羨ましいです。私のは……その半分くらいなので……」
「ユニコーンはユニコーンだし、大事なのは持っている力をどう使うかじゃないかな?」
「確かに、そうですよね……」
何だかイイ感じだと思いながら青毛娘に身体を寄せると、彼女はどこか顔を赤らめながら言った。
「あの……あなた」
「どうしたんだい?」
「あなたはユニコーンとしての力……どう使うべきだと思いますか?」
「難しい質問だね」
そう言いながら何やら気配を感じて草むらに視線を動かすと、そこにはニヤニヤ笑いのツチノコがいた。
しかも1匹ではなく、友人と思われるツチノコが何匹かおり、こそこそと何かを囁き合っているぞ。一体このバカどもは何をしに来た!?
「おい、このまま行くかね?」
「このまま夫婦に卵1つ」
「いや、娘の方が天然ボケをかますに卵1つ」
「違うだろ~ 頬を寄せ合って終わるに卵1つ」
小生はニッと笑うと、ずいっと顔をツチノコたちに寄せた。
「答えは、お前たち全員を……湯船にご招待……でーす!」
「う、うわああああ!」
そう言いながら、ツチノコたちを咥えて湯船に引き込もうとしたら、こいつらは一目散に逃げだしていった。全く、逃げ足だけは早い連中である。
「全く、足がないくせに逃げ足だけは早い連中だ!」
そう呟くと、青毛娘も笑いながら言った。
「あんなに沢山いたなんて、何だか驚いてしまいますね」
「確かに……いったい、この森だけで何匹のツチノコがいるんだろう?」
小生たちが、呑気にツチノコの話をしていたとき。
ラギア地域を恨めしそうに眺める者たちがいた。片方はウマの5人組こと、ゴッドスーパーウルトラ・キャロットムキムキ団である。
そしてもう片方が、小生に返り討ちに遭ったゴブリン組。
そのどちらもが、苦々しい顔をしながら旧領奪還を目指して、密かに動きを見せようとしていた。
周囲にはライバルとなる樹木も多いけれど、下草がなくなっただけ彼の負担も少なくなったように思える。
「凄い達成感だ……」
「そうですね」
悦に浸っていると、隣にいた青毛娘はこちらを見た。
「そういえばあなた。まだ……温泉には入っていませんでしたね」
「そうだったね」
頷くと、青毛娘はにっこりと笑った。何だかとても可愛らしい表情である。
「ご案内しますので、着いてきてください」
温泉はラギア地域の中でも、やや小生の故郷に近い位置にあった。
というかよく考えれば、舐めれば塩が混じっている岩場の近くにあり、小生も納得しながら青毛娘の後に着いて行った。
「なるほど……ここはラギア地域でも、かなり安全な場所だね」
「はい。貴方の故郷が隣なのですから、ゴブリンや例の5頭に怯えずに歩くことができます」
「…………」
小生から見たら、例の5頭もゴブリンも恐ろしい存在ではないが、一般のウマやまだ幼い仔馬から見たら、脅威以外の何物でもないだろう。
まあでも、つい先日に返り討ちにしたばかりだし、しばらくの間は大挙して攻めて来ることもないか。とりあえずは温泉でも楽しむことにしよう。
少しずつ硫黄の臭いも強くなってきたことだし。
「こちらです」
青毛娘の隣に立つと、その先には湯気を上げる露天温泉が姿を見せた。
岩の割れ目から熱湯が流れ出ており、川の水も温泉に流れ込んで良い感じの温度になっていそうだ。それだけでも嬉しいことだけど、この温泉からは塩分やカルシウムの匂いも感じる。
「この温泉……もしかして塩化物泉?」
「よ、よくわかりましたね……そうです。ここには食塩や色々なモノが溶け込んでいます」
そこまで言うと青毛娘はにっこりと笑った。
「傷を負ったときなどに入ると、とても治りが早くなるんですよ」
「なるほど……他にも、皮膚の病気とかにも効果があるかもしれないね」
「さっそく、入りましょう」
「うん」
幸いにも先客はいなかったため、小生は青毛娘と一緒に湯船へと入った。
湯加減は少し熱めだけど、これぞ温泉という感じだ。脚先を入れているだけでもポカポカと身体が芯から暖められていく。
「…………」
もう少し奥に入って腰を落ち着けると、おや……小生のユニコーンホーンが現れて青白い光を放った。
「ユニコーンホーン……と言っても、誰が見てる訳でもないからいいか」
青毛娘に言うと、彼女も小生のホーンを眺めてきた。
「長い角で羨ましいです。私のは……その半分くらいなので……」
「ユニコーンはユニコーンだし、大事なのは持っている力をどう使うかじゃないかな?」
「確かに、そうですよね……」
何だかイイ感じだと思いながら青毛娘に身体を寄せると、彼女はどこか顔を赤らめながら言った。
「あの……あなた」
「どうしたんだい?」
「あなたはユニコーンとしての力……どう使うべきだと思いますか?」
「難しい質問だね」
そう言いながら何やら気配を感じて草むらに視線を動かすと、そこにはニヤニヤ笑いのツチノコがいた。
しかも1匹ではなく、友人と思われるツチノコが何匹かおり、こそこそと何かを囁き合っているぞ。一体このバカどもは何をしに来た!?
「おい、このまま行くかね?」
「このまま夫婦に卵1つ」
「いや、娘の方が天然ボケをかますに卵1つ」
「違うだろ~ 頬を寄せ合って終わるに卵1つ」
小生はニッと笑うと、ずいっと顔をツチノコたちに寄せた。
「答えは、お前たち全員を……湯船にご招待……でーす!」
「う、うわああああ!」
そう言いながら、ツチノコたちを咥えて湯船に引き込もうとしたら、こいつらは一目散に逃げだしていった。全く、逃げ足だけは早い連中である。
「全く、足がないくせに逃げ足だけは早い連中だ!」
そう呟くと、青毛娘も笑いながら言った。
「あんなに沢山いたなんて、何だか驚いてしまいますね」
「確かに……いったい、この森だけで何匹のツチノコがいるんだろう?」
小生たちが、呑気にツチノコの話をしていたとき。
ラギア地域を恨めしそうに眺める者たちがいた。片方はウマの5人組こと、ゴッドスーパーウルトラ・キャロットムキムキ団である。
そしてもう片方が、小生に返り討ちに遭ったゴブリン組。
そのどちらもが、苦々しい顔をしながら旧領奪還を目指して、密かに動きを見せようとしていた。
13
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる