きつく縛って、キスをして【2】

青森ほたる

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お仕置き部屋の拘束台

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「ぃっ……っ!!!!」

俊光様について自分の部屋をでた私は佐久間さんがマンションのエントランス前に用意していた車に乗りこんだが、打たれたお尻を気遣って用心してそろそろと腰掛けたつもりでも、シートに触れた瞬間、痛みに体が飛び上がった。

お尻から太ももにかけて打たれたせいで、座ると痛い範囲に腫れが広がっているのだ。

「ちゃんと座れ」
横から俊光様が私の腕を引っ張ってまっすぐに座らせた。

「ぅ……、っ……」

押しつけられる痛みに全身を硬直させて耐える。走り出した車のわずかな振動でさえしんどい。車がどこに向かっているのか知らされていなかったが、外の景色を見る余裕もない。

こんなんで、さらにお仕置き…………? 自分で定規で叩いたあとのお仕置きでさえあんなに辛かったのに?

「としみつさま…………」

「なんだ?」

「あの……、お仕置きって……お尻たたきですか……?」

小声で尋ねる私に俊光様は「そうだな」と平然とうなずく。

「……っ…あの、さっきハンガーで叩かれたところ、線になって腫れて……いたんです……」

「知っている」

「あのっ、と、俊光様の手で……ぺんぺんして、もらえますか……っ?」

私は、精一杯甘える声でお願いをする。今更だが、どれだけ小声で言っても運転席の佐久間さんには聞こえているだろうと思うと恥ずかしかった。けれど道具で叩かれるより、よっぽど平手のほうがいい。

俊光様は片手で私の顎を掴んで持ち上げると、ふっと完璧な作り笑いを浮かべた。

「千尋も、自分から可愛くおねだりできるようになったんだな。お前がすっかり甘えたい気持ちなのはよくわかった。わかったが、今日はどれだけおねだりされようと厳しくする。千尋がしたこと、お尻が少し腫れた程度で済むと思ったか?」

私は、ごくっとつばを飲みこむ。

「今日は、パドルで叩いた後、そのお尻にお灸を据えて最後は浣腸をする」
「お、おきゅうに、浣腸……??? え、お、お灸って……」

「お灸は肌の上に専用の薬草を置き、先端に火をつけて燃やす。徐々に火が降りてきてすべて燃え尽きるころには相当に熱いだろうな」

さぁっと血の気が引いていく。

火を使ったプレイは経験があるのは、蝋燭までだ。それでも熱いのは痛いのと同じくらい苦手だ。直接肌を燃やす過激なものより、お灸はまだ幾分ましか……いや、最後に燃え尽きる直前は、肌を焼かれるのと一緒ではないか。

それにパドルに浣腸なんて。涙が迫り上がってきて、つぅと流れだしたものを俊光様が指先でぬぐう。

「今から泣いてどうする」
「だ、だって……っ……そん、なの、無理……っですよ……っ」

「無理だろうと縛り付けて最後までやる。私のものでありながら勝手に他人と一夜を過ごすとどれほどのお仕置きを受けるのか、きちんと身体で覚えるんだな」



ぽろぽろと泣く私をのせたまま車は、いつのまにか長く高い塀ばかりつづく住宅街に入っていた。そして横幅の大きな黒い門の前に一時停止したかと思うと、まるで自動ドアのようにいきなり門が両開きに開いて、車は門をこえてさらに中へと走り出す。

「どこへ……行くんですか?」

今更ながら尋ねる私に俊光様は「もう着く」とだけ答えた。

門の先に車道が続いていて、庭のような場所を車で走っていくのは不思議な心地がした。小さなロータリーのような空間へぐるっとまわりこみ車を停めた佐久間さんが後部座席のドアを開ける。

車から降り立つと目の前には、まるでお屋敷というのにふさわしい小さなお城のような古風な洋館がそびえたっていた。

いきなり場違いな空間に迷い込んでしまった感覚に立ち尽くす私に、俊光様は「千尋。鍵」と、片手をさしだす。

鍵って、プレゼントの鍵がこの家の鍵……?

私は慌ててポケットから鍵を引っ張り出す。

「俊光様の新しい、お家ですか?」
「誕生日プレゼントだよ。もともとうちで持っていた家の一つをリフォームしたんだ。千尋と一緒に住めるように」

俊光様はさらりと告げる。

そうして鍵を取り出した私の手をとり、シンメトリーな建物の中央にある両開き扉の玄関にむかってのびる白い階段をのぼっていった。

一緒に住む……この家に?

唖然としたままの私の手をひき、俊光様は鍵を回し扉を開いた。

高い天井吹き抜けの絵に描いたような豪華な玄関ホール。この玄関ホールの広さだけで、頭がくらくらする。

「誕生日プレゼントのスケール、大きすぎませんか……?」
「これくらいなんてことない」

俊光様と一緒に住める。これから、ずっとここで……?

私がひそかに願っていたこと。なんだかまるで夢を見ているみたいだ。

「リフォームが完成したあとに来るのは私も初めてだからな。一緒にゆっくり家中を見て回ろう。お仕置きの後でな」

そうでした……。

俊光様は私の手を引いたまま、幅の広い廊下をずんずんと進む。古風な見た目に対して、内部はまるで新築のように綺麗にリフォームされていて、あちこちから新品の物の匂いがした。

「最初に来るのがこの部屋になるのは私としても不本意だが……」

俊光様が足をとめて、扉を開く。廊下の広さから一転してこぢんまりとしたその部屋は、正面の壁にずらっと吊り下げられた様々な種類のパドル、鞭、ケイン、トォーズが明らかに嫌な雰囲気を作り出していた。

部屋の真ん中にはベッドというより診察台といった雰囲気のものと、手足の拘束具がついた完全にお仕置き専用の台が並んでいる。窓はなく、照明も若干の薄暗さがむしろ恐怖を煽るようだった。

「千尋が悪い子になったときにはいつでもこの部屋に連れてくるからな。しっかり覚えておけ」

ひゅっと息をのむ私の背中を押して二人で部屋のなかへ入ると、ガチャ、と重たい音をさせて扉に鍵をかける。

途端にぐっと体を取り囲む空気が重たくなったような心地がした。

それに部屋の中は防音機能があるのか、こわいくらいに静かすぎる。静かなのは今のうちかもしれないけれど……。

「ズボンと下着を脱いで、台の上にうつぶせになれ」

もう……っ? という言葉をとっさに飲み込み私は「は、はい……っ」と震える声で返事をした。


拘束台の上で私は馬に跨がるような格好だった。うつ伏せで体重をあずけても、体にあたる部分は柔らかくて痛くはない。

正面には大きな鏡があって、台に乗った自分の姿はもちろん、となりに立つ俊光様の全身が見えた。

俊光様はまず台の両側についた細いベルトで私の両手首を縛り、つづけて足も大きく開くような格好で拘束された。

「ぅ……っ……」

鏡にうつる泣きそうな顔の自分と目が合う。ここまでがっちり拘束されるのは始めてだ。

ここで、今からパドルでお尻を叩かれて、それからお灸と浣腸……? 宣言されたお仕置きに、ぶるっと身体が震えても、もう両手足ともほぼ動かすことができない。

後ろに立つ俊光様の手が私のお尻にのびる。指の先で、おそらく腫れたところを、つぅっと撫でられて「ひぃぃっ……っ……!!!」と悲鳴が漏れる。ぎしぎしっと、両手足の拘束具が軋む音がしたがびくともしない。

俊光様は道具の吊り下げられた後ろの壁へ向かい鏡から一度見えなくなったが、すぐに一つのパドルを持って戻ってきた。

俊光様が手にしていたのは、丸い穴のあいた分厚い黒いパドルだ。

すごく痛いやつ……。

何回、叩かれるのだろう。聞いてもいいのか、聞かないほうがいいのか。

俊光様は、パドルを見てじわっと涙を浮かべた私の顔を鏡越しにちらりと見たあとまるで思考をよんだように「100回だ」と突然告げる。

「ひゃ、っかい……っ」

「100回終わったらパドルは許してやる」

もう私の運命は決まっている。100回、終わるまで私は絶対にここから逃れられないのだ。

ごくっと唾をのみこみ、「はぃぃっ……」と返事をしたらすぐに、ぺたぺたっとパドルがお尻に当てられた。こわいっ、と思わず両目をつむったら「ちゃんと鏡を見ていろ」と声が飛んでくる。

俊光様がパドルを握った腕を振り上げ、勢いよく振り下ろされた。

「ぃぃいいぃっっっ!!!」
パチチィィンッ!!!と、お尻でパドルが弾けたような音ともに痛み広がる。

「ぁぁぅっっ!!!ぅぅぅうっ!!!ぁぁんんっ!!!っぁぁんんっ!!!」

パドルが右に左に、そして真ん中に、ほとんど間隔をあけずに叩きつけられる。

「ぁああぁっ!!!ごめっんんなさぁぃっっ!!!あっぁぁ!!!ぅぅうっっ!!!」

無意識に回数を数えていたけれど、10回をこえてすぐにわけがわからなくなった。パドルでのお仕置きは、今まで何度もあったけれど、こんなに早い連打は初めてな気がする。

無理っ!!無理っ!!!

「ぅううううっっ!!!あぁぁぁっ!!!ぁぁあっっ!!!」

お尻に叩きつけられる痛みに頭がいっぱいになる。全身が痙攣するように震えて、ぎしぎしと両手足に拘束ベルトが食いこむ。

ただただ耐えるしかなく、パシィィインンンッッ!!!ともう何回目かもわからないパドルがお尻の下の方に叩きつけられ、体の緊張が限界に達して下半身に力が入りすぎた、そのときだった。

しゃぁっと音をたて、
熱いおしっこが漏れて私の股の間から足を流れ落ちていく。

「……っっ……」

漏らしてしまった。
確実に、まだ100回終わっていない。けれどパドルはぴたりとやんでいて、ぴちゃぴちゃと私の足から床に落ちる水音がひびく。

お仕置き中に泣くのはもう日常茶飯事で、みっともないのも情けないのももう全部俊光様の前に曝け出すことに抵抗感もなにもなくなっていると思っていた。

けど違う。
これは、こんなのは、最悪だ。

「……っ……と、としみ、つ、さま……」

俊光様はなにかを言う代わりに両手足を拘束していたベルトを外し、うつ伏せになっている私の体を抱き抱えるようにして私を台からおろす。

その間、ずっと無言で私はどうしたらいいかわからない。

「あ、あの、わたし……、ここ、なにか拭くものとか、あれっば……っ」

うろたえて勢いよく濡れた床に膝をつく私の頭上から、俊光様の声がふりかかる。
「まだお仕置きの最中だ。しばらく壁にむかって立っていろ」

「ぇ……」

「壁にむかって立っていろと言ったんだ。早くしろ」

ぎゅっと耳を引っ張りあげられて、背中を壁にむかって押される。どたどたと足音をたてて私は壁の目の前に立った。
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