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第一部 勇者パーティ追放編
21 ロウ視点。式典にてギルド副長との会話
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……失敗した。
式典の招待客の席に座るロザリーを見つけた瞬間にそう思った。
式典の招待チケットの抽選に外れたと残念がっていたロザリー。彼女のそんな姿を見ていられなくなって渡した、来賓枠のチケット。
来賓客一人につき、一枚のチケットが招待できるものだ。親や家族を招待する者もいたが、そんな親しい人もなく持て余していた。
ロザリーは最前列で、目を輝かして憧れの大魔法使いこと、俺を見ている! クッ……視線が痛い。
正装姿になって眼鏡を外しただけなのに、どうして俺の正体に気付かない! 昨日まで魔道具屋で面と向かっていたというのに!
「どうしてあの子はロウの正体を気付かないんでしょうね」
来賓席の横に座るアルマが、俺に小声で話しかけてきた。彼女は俺の正体をよく知っている。大魔法使いであった過去と、魔道具屋の店主の現在を。
「それは俺も聞きたいぐらいだが……『大魔法使い』が好きすぎるだからだと思う。『大魔法使い』に幻想を持っているからじゃないか?」
俺の返答を聞いて、アルマはクスリと笑った。
「ふうん。だったら、ロウの正体を知ったら、あの子は幻滅しちゃうんじゃないの?」
「それを心配して言い出せなくなった。ロザリーが自分で悟ってくれるんじゃないかと期待して、来賓枠のチケットを渡したが……全然気づきやしない」
「そうよねえ……」
何気なく観客席を見たら、ロザリーと目が合ってしまった。その瞬間、ロザリーの瞳がハートになる。
好意を持たれるのは嬉しいが、なんとも複雑な気分だ……。
式典の招待客の席に座るロザリーを見つけた瞬間にそう思った。
式典の招待チケットの抽選に外れたと残念がっていたロザリー。彼女のそんな姿を見ていられなくなって渡した、来賓枠のチケット。
来賓客一人につき、一枚のチケットが招待できるものだ。親や家族を招待する者もいたが、そんな親しい人もなく持て余していた。
ロザリーは最前列で、目を輝かして憧れの大魔法使いこと、俺を見ている! クッ……視線が痛い。
正装姿になって眼鏡を外しただけなのに、どうして俺の正体に気付かない! 昨日まで魔道具屋で面と向かっていたというのに!
「どうしてあの子はロウの正体を気付かないんでしょうね」
来賓席の横に座るアルマが、俺に小声で話しかけてきた。彼女は俺の正体をよく知っている。大魔法使いであった過去と、魔道具屋の店主の現在を。
「それは俺も聞きたいぐらいだが……『大魔法使い』が好きすぎるだからだと思う。『大魔法使い』に幻想を持っているからじゃないか?」
俺の返答を聞いて、アルマはクスリと笑った。
「ふうん。だったら、ロウの正体を知ったら、あの子は幻滅しちゃうんじゃないの?」
「それを心配して言い出せなくなった。ロザリーが自分で悟ってくれるんじゃないかと期待して、来賓枠のチケットを渡したが……全然気づきやしない」
「そうよねえ……」
何気なく観客席を見たら、ロザリーと目が合ってしまった。その瞬間、ロザリーの瞳がハートになる。
好意を持たれるのは嬉しいが、なんとも複雑な気分だ……。
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