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第一部 勇者パーティ追放編
27 王女殿下からの話
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会場は混乱していた。
結果的に、このパーティは魔獣の封印を解放した犯人の炙り出しになった。きっと大魔法使いさまは原因究明に奔走されていただろうから、良いことなんだけどさ。
謁見が終わって両陛下の御前から離れると、大魔法使いさまからすまなそうに話しかけられた。
「ロザリー、申し訳ない。君を最後までエスコートしたかったが、急用ができた。代わりのエスコート役を呼んでくるから少し待っていてくれないか?」
「はい、わかりました」
私はこくんと頷く。大魔法使いさまと離れるのは寂しいけれど、こればかりは仕方がない。犯人がわかったことで、急にやることが増えたのだろう。
大魔法使いさま、頑張って!
彼の背中を見送って一人になると、それを見計らったように王女さまから話しかけられた。
「あなたはロザリーね」
「王女殿下」
大魔法使いさまを巡っては憎き王女さまだが、この公式な場だ。体裁を繕うことにして頭を下げる。
「先日は助けてくれてありがとう」
「当然のことをしたまでです。ご無事でよかったわ」
「その……あなたのこと、ただの冒険者扱いして悪かったわ」
王女さまはモジモジしながらお礼を言ってきた。
まあ、感謝されるのは悪い気がしないわね。暇だから話し相手にでもなりますか。
「そうね。一つアドバイスしてさしあげたいのは、見た目で決めつけるのは良くないことだわ。大いに反省なさって?」
あっ、つい嫌味な言い方になってしまった。前回の王女さまからの言葉を根に持っていたから。
彼女はぷくうと片頬を膨らませた。
「……その言い方、腹が立つわね!」
借りてきた猫みたいに大人しかったのに、化けの皮が剥がれて王女さま節が出てきた。反応が面白くて、つい揶揄ってしまう。
「以前に喧嘩を売ってきたのはそちらなので、喧嘩を買っただけのことです」
冷静に言うと、火に油を注いだようだ。
王女さまは両頬をぷくうと膨らませた。餌を口にため込んだリスの完成。
「もう! そもそも、大魔法使いさまと張り合えるくらいの実力があるのに、どうしてBランクなのよ!」
「それは冒険者になったばかりなので、実績が足りないだけです」
「はあああ!? こんなに力のある新人っている!?」
「お褒めの言葉をありがとうございます。実力のある新人とは私のことです」
「アイリスを揶揄うのはこのくらいにしてくれないか」
アイリス――王女さまをこう呼んだのは、第三王子のセドリックさまだった。王家特有のサラサラ金髪で、顔が良い。
「お兄さま!」
と、王女さまは嬉しそうな声を上げる。
「暇そうにしてたら、グロウに捕まってね。ロザリーのエスコートを頼まれたんだ」
大魔法使いさまとセドリックさまは魔法学校の先輩と後輩で、今でも気の置けない仲のようだ。
「そうだったんですね。わざわざすみません」
「いいんだよ。グロウから認められた娘に会ってみたかったからさ」
セドリックさまはあっけらかんと言い放った。
私が大魔法使いさまから認められてる!? そんな、そんな、嬉しい極みー!
「大魔法使いさまがそう言ってくださったんですね。光栄です!」
「ああ。ヒーラーにはもったいないって。勇者パーティでは弟が面倒かけたね」
アホ王子……もとい、アーサー王子は彼の弟の第四王子だ。家族の中でも問題児だったらしい。
「私はパーティを辞めたので、それ以降は関わりがありませんわ」
「……そうだったね」
王女さまが「あなた、勇者パーティにいたの!?」と驚いて詰め寄ってくる。
「今はただの冒険者のロザリーですわ」
私はキッパリと言い切った。
その後は、なぜか王女さまと一緒に魔法学校時代の大魔法使いさまの質問大会になって、その場を楽しんでしまった。
結果的に、このパーティは魔獣の封印を解放した犯人の炙り出しになった。きっと大魔法使いさまは原因究明に奔走されていただろうから、良いことなんだけどさ。
謁見が終わって両陛下の御前から離れると、大魔法使いさまからすまなそうに話しかけられた。
「ロザリー、申し訳ない。君を最後までエスコートしたかったが、急用ができた。代わりのエスコート役を呼んでくるから少し待っていてくれないか?」
「はい、わかりました」
私はこくんと頷く。大魔法使いさまと離れるのは寂しいけれど、こればかりは仕方がない。犯人がわかったことで、急にやることが増えたのだろう。
大魔法使いさま、頑張って!
彼の背中を見送って一人になると、それを見計らったように王女さまから話しかけられた。
「あなたはロザリーね」
「王女殿下」
大魔法使いさまを巡っては憎き王女さまだが、この公式な場だ。体裁を繕うことにして頭を下げる。
「先日は助けてくれてありがとう」
「当然のことをしたまでです。ご無事でよかったわ」
「その……あなたのこと、ただの冒険者扱いして悪かったわ」
王女さまはモジモジしながらお礼を言ってきた。
まあ、感謝されるのは悪い気がしないわね。暇だから話し相手にでもなりますか。
「そうね。一つアドバイスしてさしあげたいのは、見た目で決めつけるのは良くないことだわ。大いに反省なさって?」
あっ、つい嫌味な言い方になってしまった。前回の王女さまからの言葉を根に持っていたから。
彼女はぷくうと片頬を膨らませた。
「……その言い方、腹が立つわね!」
借りてきた猫みたいに大人しかったのに、化けの皮が剥がれて王女さま節が出てきた。反応が面白くて、つい揶揄ってしまう。
「以前に喧嘩を売ってきたのはそちらなので、喧嘩を買っただけのことです」
冷静に言うと、火に油を注いだようだ。
王女さまは両頬をぷくうと膨らませた。餌を口にため込んだリスの完成。
「もう! そもそも、大魔法使いさまと張り合えるくらいの実力があるのに、どうしてBランクなのよ!」
「それは冒険者になったばかりなので、実績が足りないだけです」
「はあああ!? こんなに力のある新人っている!?」
「お褒めの言葉をありがとうございます。実力のある新人とは私のことです」
「アイリスを揶揄うのはこのくらいにしてくれないか」
アイリス――王女さまをこう呼んだのは、第三王子のセドリックさまだった。王家特有のサラサラ金髪で、顔が良い。
「お兄さま!」
と、王女さまは嬉しそうな声を上げる。
「暇そうにしてたら、グロウに捕まってね。ロザリーのエスコートを頼まれたんだ」
大魔法使いさまとセドリックさまは魔法学校の先輩と後輩で、今でも気の置けない仲のようだ。
「そうだったんですね。わざわざすみません」
「いいんだよ。グロウから認められた娘に会ってみたかったからさ」
セドリックさまはあっけらかんと言い放った。
私が大魔法使いさまから認められてる!? そんな、そんな、嬉しい極みー!
「大魔法使いさまがそう言ってくださったんですね。光栄です!」
「ああ。ヒーラーにはもったいないって。勇者パーティでは弟が面倒かけたね」
アホ王子……もとい、アーサー王子は彼の弟の第四王子だ。家族の中でも問題児だったらしい。
「私はパーティを辞めたので、それ以降は関わりがありませんわ」
「……そうだったね」
王女さまが「あなた、勇者パーティにいたの!?」と驚いて詰め寄ってくる。
「今はただの冒険者のロザリーですわ」
私はキッパリと言い切った。
その後は、なぜか王女さまと一緒に魔法学校時代の大魔法使いさまの質問大会になって、その場を楽しんでしまった。
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