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猿も木から落ちる
そのいち
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前途多難な旅の始まりではあったが、その後はなんとか犬斗の発情期も収まり二人は国境の四つ辻までたどり着いた。
「もうきびだんご、ぜったい食べないからっ」
どうやら意識を失ってからも犯され続けたことに怒っているらしい犬斗は顔を赤くして怒っていた。その割にはちらちらと腰袋を気にする姿は可愛いと思うがこれが運命という確信を桃太郎は持てなかった。
行き先は犬斗の鼻次第である。母親である洋右の匂いがうっすらと残る先を目指すという無謀のような旅路でこの四つ辻である。犬斗は三方向へと鼻先を向け、二方向にまで絞り込んだが決め手がなかった。
「多分、こっち……だとは思うんだけど。間違ったらどうしよう」
「まぁそれならそれでここまで戻ってくればいいだけじゃない?」
「桃ちゃんはママが心配じゃないのっ?」
慰めようと掛けた言葉に怒られるという理不尽さ。どちらか迷っている犬斗を置いて、桃太郎は少し離れた木の根元に寄りかかり眺めていた。明るい日差しを遮る木陰の下は心地よく、桃太郎は目を閉じると寝息を立てはじめた。
そんなに長い間ではなかったはずだ。陰の長さからいってもせいぜい四半時。にもかかわらず、桃太郎の周りには人集りが出来ていた。それは身体の小さい猿の獣人たちだった。まだ子供なのだろう、見知らぬ人間を見てキャッキャと騒いでは遠巻きに見ていた。
「あ、こらっ! ぼくの桃ちゃんに何してるんだっ!」
気付いた犬斗が子供たちを追い払うが小さい犬斗ではあまり効果はなかった。猿たちは長い尻尾を振り回しては逃げ回り、それを追いかける、新な遊びが始まっていた。
そんな騒ぎの中で目を覚ました桃太郎が大きく伸びをすると、どさっという音とともに桃太郎の膝の上には少年とも青年ともとれる男が落ちてきた。
「いてて」
「おま、え、何をした? オレの、身体が……」
少しやんちゃに遊ばせた髪は根本だけが黒い金髪で、袖をまくった着物は継ぎ接ぎだらけだがそれがかえって洒落た派手さとなっていた。首に下げた大小の珠で出来た数珠もまた、色とりどりである。背中でピンと立てて警戒心をあらわにしている細く長い尻尾は白と黒の縞模様だからさらに派手だ。
「何したって別に俺は何も……君、オメガ?」
「だったらなんだよっ! 木から落ちるなんて子供のころにもなかったのにっ」
「もうきびだんご、ぜったい食べないからっ」
どうやら意識を失ってからも犯され続けたことに怒っているらしい犬斗は顔を赤くして怒っていた。その割にはちらちらと腰袋を気にする姿は可愛いと思うがこれが運命という確信を桃太郎は持てなかった。
行き先は犬斗の鼻次第である。母親である洋右の匂いがうっすらと残る先を目指すという無謀のような旅路でこの四つ辻である。犬斗は三方向へと鼻先を向け、二方向にまで絞り込んだが決め手がなかった。
「多分、こっち……だとは思うんだけど。間違ったらどうしよう」
「まぁそれならそれでここまで戻ってくればいいだけじゃない?」
「桃ちゃんはママが心配じゃないのっ?」
慰めようと掛けた言葉に怒られるという理不尽さ。どちらか迷っている犬斗を置いて、桃太郎は少し離れた木の根元に寄りかかり眺めていた。明るい日差しを遮る木陰の下は心地よく、桃太郎は目を閉じると寝息を立てはじめた。
そんなに長い間ではなかったはずだ。陰の長さからいってもせいぜい四半時。にもかかわらず、桃太郎の周りには人集りが出来ていた。それは身体の小さい猿の獣人たちだった。まだ子供なのだろう、見知らぬ人間を見てキャッキャと騒いでは遠巻きに見ていた。
「あ、こらっ! ぼくの桃ちゃんに何してるんだっ!」
気付いた犬斗が子供たちを追い払うが小さい犬斗ではあまり効果はなかった。猿たちは長い尻尾を振り回しては逃げ回り、それを追いかける、新な遊びが始まっていた。
そんな騒ぎの中で目を覚ました桃太郎が大きく伸びをすると、どさっという音とともに桃太郎の膝の上には少年とも青年ともとれる男が落ちてきた。
「いてて」
「おま、え、何をした? オレの、身体が……」
少しやんちゃに遊ばせた髪は根本だけが黒い金髪で、袖をまくった着物は継ぎ接ぎだらけだがそれがかえって洒落た派手さとなっていた。首に下げた大小の珠で出来た数珠もまた、色とりどりである。背中でピンと立てて警戒心をあらわにしている細く長い尻尾は白と黒の縞模様だからさらに派手だ。
「何したって別に俺は何も……君、オメガ?」
「だったらなんだよっ! 木から落ちるなんて子供のころにもなかったのにっ」
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