12 / 36
第12話 真夜中のピクニック
しおりを挟む
僕たちの夏は、気まぐれな神様がサイコロでも振っているかのように、天国と地獄の間を目まぐるしく、容赦なく行き来した。
三人で観覧車に乗った、奇跡のような一日からわずか一週間後。僕たちが再び取り戻したはずの日常は、あまりにもあっけなく、再び奪い去られた。
七海の容態が安定しなくなったのだ。
僕と柚希は学校の帰りに、いつものように七海の病室を訪れるた。ドアには、僕たちの無力さを嘲笑うかのように、絶望的な響きを持つ一枚のプレートが、無機質に掛けられていた。
『面会謝絶』
そのたった四文字が、僕たちの間に、決して越えることのできない、分厚い壁を築いた。僕たちはただ、その大きな壁の前で、為すすべもなく立ち尽くすことしかできなかった。あの日、神社の星空の下で立てた誓い。「僕が、君の生きていた証を物語にする」という言葉。それがなんと空虚で、なんと無力に響いたことか。彼女が今まさに、その命の瀬戸際で、たった一人で戦っているというのに、僕は物語を一行も書き進めることができずにいた。
無力感。
それは、じっとりとした、重たい梅雨時の湿気のように、僕たちの心を蝕んでいった。夏の日差しが強ければ強いほど、僕たちの心の中の影は濃くなるばかりだった。
そんな、出口のない暗闇の中に、あまりにも無謀な光を灯したのは、やはり月村柚希だった。
ある日の夜、僕の家の電話がけたたましく鳴り響いた。受話器を取ると、潜めた、しかし、抑えきれない興奮で震えている柚希の声が、僕の鼓膜に飛び込んできた。
「ハル! 寝てた!?」
「いや……まだ起きてたけど」
「よし! なら、今から緊急作戦会議を始めよう!」
「作戦会議って……何の」
「決まってんじゃん! 七海ちゃんの、お楽しみノートを増やす作戦だよ!」
受話器の向こうで、柚希は、革命を決意したように声を弾ませていた。
「夜に外でお菓子パーティーって最高に青春してると思わない? やろう!」
「やろうって……七海は面会謝絶なんだぞ。忘れたのか」
「だからだよ!」と、柚希は言った。その声には、彼女らしい不屈の、そして少しだけヤケクソになったような闘志が燃え盛っていた。
「外に出られないなら、中でやればいいじゃん! ルールを破るのはよくないけど……でも、そんなこと言ってる時間はないの! 面会がダメなら、こっそり忍び込めばいい! あたしたちが、七海ちゃんのところにお菓子パーティーを届けに行くの!」
それは、あまりにも無謀で、あまりにも子供じみた、突拍子もない計画だった。
でも、その馬鹿げているとしか思えない計画が、僕の、無力感に苛まれていた心に、熱いを炎を灯したのだ。
そうだ。僕たちは、ただ待っているだけじゃだめだ。祈っているだけじゃだめだ。僕たちに、できることを探さないと。僕たちの手で、この理不尽な運命に一矢報いることができるかもしれない。
作戦決行は、三日後の金曜日。深夜十二時。
僕と柚希は、秘密結社のメンバーにでもなったかのように、家の電話で何度も、何度も、綿密な打ち合わせを重ねた。持ち寄るお菓子、ジュースの種類、そして、最大の難関である、深夜の病院への潜入ルートと夜勤の看護師の交代時間の確認。
運命の夜が来た。
僕は、親が寝静まるのを待ち、音を立てずに自分の部屋の窓から抜け出した。背中のリュックには、ポテトチップスとチョコレート。そして、この作戦の生命線である、一本の少しだけ心もとない懐中電灯が入っている。
待ち合わせ場所の公園に着くと、そこには僕と同じように、黒いパーカーのフードを目深に被った柚希が、ブランコに座って、すでに待っていた。
「……遅いよ、ハル。五分も遅刻。あたしの時計では、もうすでに地球が滅亡してる時間」
「ごめん。猫が、道を通してくれなくて……」
「言い訳しない! さあ、行くよ! 革命の始まりだ!」
僕たちは息を殺し、闇に紛れて、潮見ヶ丘総合病院へと向かった。
夜の病院は、昼間とは全く違う。静まり返った白い迷宮のように、僕たちの前に不気味にそびえ立っていた。僕たちは、通用口に鍵がかかっていないことを事前に確認しておいた。小さな清掃員用の扉から、音を立てずに病院の中へと潜入した。
ひんやりとした消毒液と、床のワックスが混じり合った独特の匂い。長くどこまでも続く薄暗い廊下。遠くで自動販売機が、ううんと低い唸り声を上げている。緑の非常口の明かりだけが、おぞましく不気味に光っている。僕の心臓が破裂しそうなくらい、大きく、速く、内側から叩いていた。
唯一の道しるべは、柚希に渡した懐中電灯の、頼りない一本の光だけだった。その光が、壁を、床を、怯える小動物のようにせわしなく行き来する。
最大の難関はナースステーション。この前をどうやって通り抜けるか。僕たちは壁に張り付くようにして息を殺し、中の様子を窺った。夜勤の看護師さんが一人、こくりこくりと、穏やかに船を漕いでいる。
――今だ。
柚希が、僕の手を強く握った。その手は、僕と同じように、冷たく汗で湿っていた。そして、二人で猫のように、スニーカーのつま先で床を蹴るようにして、その前を一気に駆け抜けた。心臓が、喉から飛び出しそうだった。
七海の病室は、一番奥の個室。
ドアノブに手をかける。冷たい、金属の感触。ゆっくりと、1ミリずつ、音を立てないようにドアを開ける。
そこに、彼女はいた。
月の光が、窓から優しく差し込んでいる。まるで舞台照明のような光の中で、七海はベッドの上で、小さな身体を丸めて眠っていた。その寝顔は驚くほど穏やかで、今にもこの月の光に溶けて、消えてしまいそうなくらい儚かった。
柚希が、そっと彼女の肩を揺する。
「……七海ちゃん。……七海ちゃん、起きて。あたしたちだよ。迎えに来たよ」
七海は、ううん、と小さく身じろぎをすると、ゆっくりと長いまつ毛に縁取られた瞳を開いた。
そして僕たちの姿を認めると、一瞬、夢でも見ているかのようにきょとんとした顔をした。
やがてその瞳が、驚きと信じられないという喜びで、みるみるうちに潤んでいく。声にならない小さな嗚咽が、彼女の唇から漏れた。それは、僕たちが、自分を忘れていなかったことへの、感謝の涙だったのだろう。
「……春樹くん? ……柚希ちゃん? どうして? ……夢?」
「しーっ」
柚希は自分の唇に人差し指を当てると、悪戯が成功した子供のように、最高の笑顔で笑った。
「ピクニックに来たんだよ。真夜中の、世界で一番楽しいピクニックにね」
僕たちは、七海のベッドの横の冷たいリノリウムの床に、持ってきたレジャーシートをそっと広げた。
その上に、リュックから取り出したお菓子とジュースを、一つひとつ、丁寧に、並べていく。
ポテトチップス、チョコレート、クッキー。そして、少しだけ贅沢な炭酸のジュース。
懐中電灯を上向きに、床の真ん中に置く。一本の光が白い天井に反射して、僕たち三人の周りに柔らかく、温かいドーム状の、秘密基地のような空間を作り出した。
冷たくて、無機質で、消毒液の匂いがしたはずの病室が、世界で一番、特別で温かい、僕たちだけの居場所に変わった。
レジャーシートの上に、輪になって座る。
聞こえるのは、七海に繋がれた心電図モニターの、ピッ、ピッ、ピッという、彼女の命のリズムを刻む、規則正しい電子音だけ。
僕たちは声を潜め、秘密の呪文でも唱えるかのように囁き合った。
「……このポテチ、新しいコンソメ味だって」
「……柚希、これ炭酸だろ? ジュース、開ける時、音、マジで大丈夫かな」
「……大丈夫だよ。ちょっとくらいね」
ぷしゅという小さな音を立てて、ジュースの缶を開ける。
僕たちは、他愛もない話を七海にした。村井先生の新しい髪型のこと、昨日のテレビでやっていたお笑い芸人のこと、クラスメイトが好きな子のこと。本当に、どうでもいい話をした。
でも、そのどうでもいい話が、僕たちにとっては何よりも大切だった。
それは、この異常で理不尽な状況の中で、日常という失われた宝物を取り戻すための、どうしようもなく愛おしい儀式だったのだ。
懐中電灯の頼りない光に照らされた七海の笑顔は、僕が今まで見たどんな笑顔よりも、幸せそうに、そして美しく輝いていた。
やがて七海は、「ちょっと待ってて」と言うと、枕元からお楽しみノートを取り出した。
懐中電灯の光を頼りに、新しいページに何かを一文字一文字、確かめるように書き込み始めた。その横顔は、とても真剣で、そしてどこか誇らしげだった。
「……これも、私の大事なリストだね」
彼女は書き終えたページを、僕たちに卒業証書でも見せるかのように広げて見せてくれた。
そこには、彼女の確かな喜びと、深い愛情が込められた文字でこう書かれていた。
『⑨ 夜にみんなでお菓子パーティーをする』
その文字の下に、また一つ新しい文字を書き加えた。
『真夜中のピクニックをする。世界で一番、最高の仲間と』
最高の仲間。
その言葉に、僕と柚希は顔を見合わせた。そして、どちらからともなく照れくさそうに、そして、どうしようもなく嬉しそうに笑った。それは、僕たちがこの夏初めて勝ち取った、小さな、かけがえのない勝利の証だった。
窓の外では月が、僕たちの小さな、生涯忘れることのない冒険を祝福するように、優しく、静かに照らしていた。
三人で観覧車に乗った、奇跡のような一日からわずか一週間後。僕たちが再び取り戻したはずの日常は、あまりにもあっけなく、再び奪い去られた。
七海の容態が安定しなくなったのだ。
僕と柚希は学校の帰りに、いつものように七海の病室を訪れるた。ドアには、僕たちの無力さを嘲笑うかのように、絶望的な響きを持つ一枚のプレートが、無機質に掛けられていた。
『面会謝絶』
そのたった四文字が、僕たちの間に、決して越えることのできない、分厚い壁を築いた。僕たちはただ、その大きな壁の前で、為すすべもなく立ち尽くすことしかできなかった。あの日、神社の星空の下で立てた誓い。「僕が、君の生きていた証を物語にする」という言葉。それがなんと空虚で、なんと無力に響いたことか。彼女が今まさに、その命の瀬戸際で、たった一人で戦っているというのに、僕は物語を一行も書き進めることができずにいた。
無力感。
それは、じっとりとした、重たい梅雨時の湿気のように、僕たちの心を蝕んでいった。夏の日差しが強ければ強いほど、僕たちの心の中の影は濃くなるばかりだった。
そんな、出口のない暗闇の中に、あまりにも無謀な光を灯したのは、やはり月村柚希だった。
ある日の夜、僕の家の電話がけたたましく鳴り響いた。受話器を取ると、潜めた、しかし、抑えきれない興奮で震えている柚希の声が、僕の鼓膜に飛び込んできた。
「ハル! 寝てた!?」
「いや……まだ起きてたけど」
「よし! なら、今から緊急作戦会議を始めよう!」
「作戦会議って……何の」
「決まってんじゃん! 七海ちゃんの、お楽しみノートを増やす作戦だよ!」
受話器の向こうで、柚希は、革命を決意したように声を弾ませていた。
「夜に外でお菓子パーティーって最高に青春してると思わない? やろう!」
「やろうって……七海は面会謝絶なんだぞ。忘れたのか」
「だからだよ!」と、柚希は言った。その声には、彼女らしい不屈の、そして少しだけヤケクソになったような闘志が燃え盛っていた。
「外に出られないなら、中でやればいいじゃん! ルールを破るのはよくないけど……でも、そんなこと言ってる時間はないの! 面会がダメなら、こっそり忍び込めばいい! あたしたちが、七海ちゃんのところにお菓子パーティーを届けに行くの!」
それは、あまりにも無謀で、あまりにも子供じみた、突拍子もない計画だった。
でも、その馬鹿げているとしか思えない計画が、僕の、無力感に苛まれていた心に、熱いを炎を灯したのだ。
そうだ。僕たちは、ただ待っているだけじゃだめだ。祈っているだけじゃだめだ。僕たちに、できることを探さないと。僕たちの手で、この理不尽な運命に一矢報いることができるかもしれない。
作戦決行は、三日後の金曜日。深夜十二時。
僕と柚希は、秘密結社のメンバーにでもなったかのように、家の電話で何度も、何度も、綿密な打ち合わせを重ねた。持ち寄るお菓子、ジュースの種類、そして、最大の難関である、深夜の病院への潜入ルートと夜勤の看護師の交代時間の確認。
運命の夜が来た。
僕は、親が寝静まるのを待ち、音を立てずに自分の部屋の窓から抜け出した。背中のリュックには、ポテトチップスとチョコレート。そして、この作戦の生命線である、一本の少しだけ心もとない懐中電灯が入っている。
待ち合わせ場所の公園に着くと、そこには僕と同じように、黒いパーカーのフードを目深に被った柚希が、ブランコに座って、すでに待っていた。
「……遅いよ、ハル。五分も遅刻。あたしの時計では、もうすでに地球が滅亡してる時間」
「ごめん。猫が、道を通してくれなくて……」
「言い訳しない! さあ、行くよ! 革命の始まりだ!」
僕たちは息を殺し、闇に紛れて、潮見ヶ丘総合病院へと向かった。
夜の病院は、昼間とは全く違う。静まり返った白い迷宮のように、僕たちの前に不気味にそびえ立っていた。僕たちは、通用口に鍵がかかっていないことを事前に確認しておいた。小さな清掃員用の扉から、音を立てずに病院の中へと潜入した。
ひんやりとした消毒液と、床のワックスが混じり合った独特の匂い。長くどこまでも続く薄暗い廊下。遠くで自動販売機が、ううんと低い唸り声を上げている。緑の非常口の明かりだけが、おぞましく不気味に光っている。僕の心臓が破裂しそうなくらい、大きく、速く、内側から叩いていた。
唯一の道しるべは、柚希に渡した懐中電灯の、頼りない一本の光だけだった。その光が、壁を、床を、怯える小動物のようにせわしなく行き来する。
最大の難関はナースステーション。この前をどうやって通り抜けるか。僕たちは壁に張り付くようにして息を殺し、中の様子を窺った。夜勤の看護師さんが一人、こくりこくりと、穏やかに船を漕いでいる。
――今だ。
柚希が、僕の手を強く握った。その手は、僕と同じように、冷たく汗で湿っていた。そして、二人で猫のように、スニーカーのつま先で床を蹴るようにして、その前を一気に駆け抜けた。心臓が、喉から飛び出しそうだった。
七海の病室は、一番奥の個室。
ドアノブに手をかける。冷たい、金属の感触。ゆっくりと、1ミリずつ、音を立てないようにドアを開ける。
そこに、彼女はいた。
月の光が、窓から優しく差し込んでいる。まるで舞台照明のような光の中で、七海はベッドの上で、小さな身体を丸めて眠っていた。その寝顔は驚くほど穏やかで、今にもこの月の光に溶けて、消えてしまいそうなくらい儚かった。
柚希が、そっと彼女の肩を揺する。
「……七海ちゃん。……七海ちゃん、起きて。あたしたちだよ。迎えに来たよ」
七海は、ううん、と小さく身じろぎをすると、ゆっくりと長いまつ毛に縁取られた瞳を開いた。
そして僕たちの姿を認めると、一瞬、夢でも見ているかのようにきょとんとした顔をした。
やがてその瞳が、驚きと信じられないという喜びで、みるみるうちに潤んでいく。声にならない小さな嗚咽が、彼女の唇から漏れた。それは、僕たちが、自分を忘れていなかったことへの、感謝の涙だったのだろう。
「……春樹くん? ……柚希ちゃん? どうして? ……夢?」
「しーっ」
柚希は自分の唇に人差し指を当てると、悪戯が成功した子供のように、最高の笑顔で笑った。
「ピクニックに来たんだよ。真夜中の、世界で一番楽しいピクニックにね」
僕たちは、七海のベッドの横の冷たいリノリウムの床に、持ってきたレジャーシートをそっと広げた。
その上に、リュックから取り出したお菓子とジュースを、一つひとつ、丁寧に、並べていく。
ポテトチップス、チョコレート、クッキー。そして、少しだけ贅沢な炭酸のジュース。
懐中電灯を上向きに、床の真ん中に置く。一本の光が白い天井に反射して、僕たち三人の周りに柔らかく、温かいドーム状の、秘密基地のような空間を作り出した。
冷たくて、無機質で、消毒液の匂いがしたはずの病室が、世界で一番、特別で温かい、僕たちだけの居場所に変わった。
レジャーシートの上に、輪になって座る。
聞こえるのは、七海に繋がれた心電図モニターの、ピッ、ピッ、ピッという、彼女の命のリズムを刻む、規則正しい電子音だけ。
僕たちは声を潜め、秘密の呪文でも唱えるかのように囁き合った。
「……このポテチ、新しいコンソメ味だって」
「……柚希、これ炭酸だろ? ジュース、開ける時、音、マジで大丈夫かな」
「……大丈夫だよ。ちょっとくらいね」
ぷしゅという小さな音を立てて、ジュースの缶を開ける。
僕たちは、他愛もない話を七海にした。村井先生の新しい髪型のこと、昨日のテレビでやっていたお笑い芸人のこと、クラスメイトが好きな子のこと。本当に、どうでもいい話をした。
でも、そのどうでもいい話が、僕たちにとっては何よりも大切だった。
それは、この異常で理不尽な状況の中で、日常という失われた宝物を取り戻すための、どうしようもなく愛おしい儀式だったのだ。
懐中電灯の頼りない光に照らされた七海の笑顔は、僕が今まで見たどんな笑顔よりも、幸せそうに、そして美しく輝いていた。
やがて七海は、「ちょっと待ってて」と言うと、枕元からお楽しみノートを取り出した。
懐中電灯の光を頼りに、新しいページに何かを一文字一文字、確かめるように書き込み始めた。その横顔は、とても真剣で、そしてどこか誇らしげだった。
「……これも、私の大事なリストだね」
彼女は書き終えたページを、僕たちに卒業証書でも見せるかのように広げて見せてくれた。
そこには、彼女の確かな喜びと、深い愛情が込められた文字でこう書かれていた。
『⑨ 夜にみんなでお菓子パーティーをする』
その文字の下に、また一つ新しい文字を書き加えた。
『真夜中のピクニックをする。世界で一番、最高の仲間と』
最高の仲間。
その言葉に、僕と柚希は顔を見合わせた。そして、どちらからともなく照れくさそうに、そして、どうしようもなく嬉しそうに笑った。それは、僕たちがこの夏初めて勝ち取った、小さな、かけがえのない勝利の証だった。
窓の外では月が、僕たちの小さな、生涯忘れることのない冒険を祝福するように、優しく、静かに照らしていた。
3
あなたにおすすめの小説
モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
待鳥園子
児童書・童話
ある日。教室の中で、自分の理想の男の子について語った澪。
けど、その篤実に同じクラスの主役級男子鷹羽日向くんが、自分が希望した理想通りにイメチェンをして来た!
……え? どうして。私の話を聞いていた訳ではなくて、偶然だよね?
何もかも、私の勘違いだよね?
信じられないことに鷹羽くんが私に告白してきたんだけど、私たちはすんなり付き合う……なんてこともなく、なんだか良くわからないことになってきて?!
【第2回きずな児童書大賞】で奨励賞受賞出来ました♡ありがとうございます!
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
魔法少女はまだ翔べない
東 里胡
児童書・童話
第15回絵本・児童書大賞、奨励賞をいただきました、応援下さった皆様、ありがとうございます!
中学一年生のキラリが転校先で出会ったのは、キラという男の子。
キラキラコンビと名付けられた二人とクラスの仲間たちは、ケンカしたり和解をして絆を深め合うが、キラリはとある事情で一時的に転校してきただけ。
駄菓子屋を営む、おばあちゃんや仲間たちと過ごす海辺の町、ひと夏の思い出。
そこで知った自分の家にまつわる秘密にキラリも覚醒して……。
果たしてキラリの夏は、キラキラになるのか、それとも?
表紙はpixivてんぱる様にお借りしております。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
【完結】またたく星空の下
mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】
※こちらはweb版(改稿前)です※
※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※
◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇
主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。
クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。
そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。
シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
ハピネコは、ニャアと笑う
東 里胡
児童書・童話
第3回きずな児童書大賞 奨励賞受賞
目が覚めたら昨日だった。知ってる会話、見覚えのあるニュース。
二度目の今日を迎えた小学五年生のメイのもとに、空から黒ネコが落ちてきた。
人間の言葉を話し魔法を使える自称ハッピーネコのチロル。
彼は西暦2200年の未来から、逃げ出した友達ハピネコのアイルの後を追って、現代にやってきたという。
ハピネコとは、人間を幸せにするために存在する半分AIのネコ。
そのため、幸せの押し付けをするチロルに、メイは疑問を投げかける。
「幸せって、みんなそれぞれ違うでしょ? それに、誰かにしてもらうものじゃない」
「じゃあ、ボクはどうしたらいいの? メイのことを幸せにできないの?」
だけど、チロルにはどうしても人間を幸せにしなければいけないハピネコとしての使命があって……。
幼なじみのヒューガ、メイのことを嫌うミサキちゃんを巻き込みながら、チロルの友達アイルを探す日々の中で、メイ自身も幸せについて、友達について考えていく。
表紙はイラストAC様よりお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる