サラリーマンのおっさんが英雄に憧れたっていいじゃないか~異世界ではずれジョブを引いたおっさんの英雄譚~

梧桐将臣

文字の大きさ
18 / 62
第2章~学園動乱編~

恋と学園長と冒険者の危険

しおりを挟む
女戦士ちゃんが英雄という言葉を発した時の違和感はスルーだ。初対面で踏み込む領域では無いと判断する。

「そういえば、まだ名前を聞いてなかった。僕はナツヒです。ナツヒ=ミナミです。」

「私はエリス。エリス=ヴァレンティア。ナツヒ=ミナミって変わった名前だね。どこ出身?」

エリスっていうのか!名前もかわいい。話しながら思ったが、顔は黙っていれば美人と言える顔だろうが表情が豊かでそれ以上に愛嬌を感じさせる。

髪色は春に咲き誇る桜のような淡いピンク色で、頭の真ん中より高い位置でツインテールに結んでいる。腰くらいまで伸びるその髪はシルクのように艶やかで講堂の魔工灯の光を反射し輝いている。

そして、入学試験の時には盛大にスカートをひるがえし丸見えだったパンツばかりに意識がいっていたが、胸も相当なボリュームを感じさせる。

女子生徒の制服も俺が着ているものとデザインに大差はない。下はグレーのスカートで少し短めの丈からのびる足が眩しい。上は白いブラウスで襟元に赤色のリボン、濃紺のブレザーだが制服に包まれたふたつの大きな果実は、白いブラウスを押し上げるに留まらずブレザーさえもはっきりと膨らませており大変窮屈そうだ。

そっか・・・。胸もでかいのか。人のために怒れる優しい性格、入学試験の際に見せた男を一瞬で虜にしてしまう天真爛漫な発言や行動、そしてかわいい顔に巨乳。

先ほど俺のなかで恋に落ちたとぽんというような音が、滝のような轟音に変わっていた。

異世界に来てよかった。入学できてよかった。エリスに出会えてよかった。

できれば同じクラスになりたい。そいえばクラス編成はこれから発表されるのだろうか。

例え同じクラスじゃなかったとしても、これで“自己紹介をして既知の仲になる”という最低限の目標はクリアだ。

しかし出身か。日本から来た事を隠すなら考えておかないとな・・。

「僕は誰も知らないような田舎から来ました。トーキョーってとこなんですけど知らないですよね?」

「トーキョー?聞いた事ないな。」

自己紹介あたりから少し打ち解けたのかエリスが敬語から少しくだけた口調に変わっている。俺はここを好機とみて、さらに踏み込んだ事を聞く。

「ははっ、かなり辺境の地だからね。それよりもエリスさんの入学試験の時の魔法すごかったよ!重そうな大剣を持って魔法人形のところまでひとっとびして強烈な一撃を加えていてかっこよかった!あれはどんな魔法なの?」

「本当!?ありがとう!あれは、自分自身の力を増幅する魔法。身体強化の魔法だよ。でも私はヴァレンティア家では落ちこぼれなんだ・・・。」

えっ!?あれで落ちこぼれ?疑問をエリスにぶつけようとしたその時、マイクのような魔工製品を通して気品高い女性の声が鳴り響く。

「静粛に!」

その一言で、大講堂内のざわめきが一瞬にしておさまった。

かくいう俺も戦う訳ではないのに、声の主と彼我の圧倒的な戦闘力の差を感じ思わず背筋を正してしまう。

「私がこのオルニア学園の学園長エルヴィアーヌだ。諸君らには今日からこの学園で3年間冒険者になる為の知識と経験を叩き込む。早速だが問おう!冒険者とそうでないものの決定的な差はなんだと思う?そこのお前、答えてみろ。」

開口早々に彼女が厳格であろうことが伺える発言から続き、前方に座る生徒を目線だけで射抜き回答を求める。

「はい!身分の差によらず実力があれば一攫千金を狙えるという事でしょうか!!」

きびきびと答える獣人の青年。

しかし、俺はその回答内容よりもエルヴィアーヌ学園長の容姿が気になってしまう。

ファンタジー映画などでみる木漏れ日の柔らかな日差しのような金髪にとんがった耳。

顔は壮絶なまでに整っていて、美人という言葉ではこと足りない。目つきは怜悧で、その美貌と相まってある種の迫力を見るものに感じさせる。

服装はパンツスーツスタイルだが、上下共に白で着る者を選ぶ色だ。

しかも上はジャケットを羽織るのみでブラウスや下着は着ていない。

豊満な胸の内側半分程は見えていて、ジャケットのボタンよ外れろ!と念じざるを得ない。

異世界のスーツスタイル最高か。

「それも冒険者とそうでない者の違いと言えなくは無いが、決定的な差ではない。」俺の桃色の思考を鋭利な刃物で切り裂くように学園長が言葉を発する。

次いで、1人の生徒が立ち上がる。

「戦闘力の差ではないでしょうか?冒険者というのは一般市民にはできないような偉業を成し遂げられます。強大なモンスターの討伐や、紛争の鎮圧、盗賊団の退治など。そのどれにも求められるのが戦闘力の高さだという事は明白!このクロード=アルヴェイユ!3年間の学園生活で正義の刃をより鋭く研ぎ、力なき民のためにその力を振るう事、ここに誓おう!」

はぁ・・・またクロードか。よくこの学園長相手に勝手に発言できるな。その丹力は見事だと素直に感心する。しかも、前半は学園長の問いの答えになっているが後半は自分の話になっている。なんか誓いだしているし。いちいち自己顕示をしないと死んでしまう呪いにでもかかっているのだろうか。

「・・・ある意味正解と言えなくもない。褒美に勝手に発言した事は免じてやるが次は無いと思え。」

怒られてやがる。後ろ姿なので、その表情は読み取れないが髪をかき上げながら座る様を見ると、反省している様は感じられない。

「いいか諸君!よく聞け。冒険者とそうでないものの決定的な違い。・・・それは死亡率だ。」

クロードの演説で若干浮ついた雰囲気のあった空間が、エルヴィアーヌ学園長の一言により静まり返る。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。 彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。 だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。 結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。 そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた! 主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。 ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。 「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。 だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに! サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!

処理中です...