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第2章~学園動乱編~
ゴブリン達の思惑と困るおっさん
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「エリス・・・!」
「うわ!本当にでてきた。」
岩陰の裏口からでてくるゴブリンたち。
ぞろぞろとでてくるゴブリンの数は俺が予想していた以上に多くその数18体。
こん棒や弓矢装備はもちろん、小隊のリーダー格であろう片手剣と兜をかぶった個体も何体かいる。
ゲギャゲギャと不快な声をあげながら行列を作り歩く様子は、本能的な忌避感を見る者に与え戦闘の心得のない人間ならすぐに逃げ出したくなるだろう。
粗末な木製の籠を神輿のように4体で持っているゴブリンたちもおり、籠の中には荒縄のようなものも見える。
そして、18体の最後尾に陣取るのは周りのゴブリンたちよりもひとまわり大きく、装備も片手剣に兜、さらには鎖かたびらのようなものを着こんでいる個体。
名前はゴブリンリーダー。レベルは6。
俺とエリスなら問題にならない強さだろうがいかんせん周りの数が多い。
まぁそれでも俺1人ならユリダ武具店で買ったレベル11の装備に着替えれば何の問題も無く殲滅することはできそうだ。
「あんなにたくさん中にいたんだ・・・。でもナツヒ君なんでゴブリンたちがでてくるってわかったの?」
「それは・・・」
俺は今までのゴブリンたちの行動や、まさに今目の当たりにしている行列の様子からひとつの仮説を導き出しているがエリスにどう説明するか言葉に詰まってしまう。
俺が考えている事はこうだ――
まずやつらが動物型のモンスターたちと違い、俺たちを単なる敵や獲物とみてむやみやたらには襲ってこない。
それどころか3体1組などの小隊を作って行動しており、そこには指揮系統のようなものが存在している。
今日はやつらと2回遭遇したが、2回とも真っ先に襲ってくるのは俺だった。
これは何かしらの意図があって俺に襲い掛かってきたとみていいだろう。
偶然とは考えにくい。
更に先ほど交戦した群れのリーダー格であるゴブリンがエリスに向けていた目。
あれは、敵として倒す対象ではなく明らかに好色そうな目つきで見ていた。
そして、目の前の18体の集団が持っている籠と荒縄。
生け捕りにしようとする意図がありありと見える。
今日遭遇したゴブリンたちは俺を殺しにきていた。
となると、生け捕りの対象はエリスの他には考えられない。
繁殖の為なのか、快楽の為なのかまではわからないが捕まった女性がその尊厳を踏みにじられ、悲惨な想いをするだろうということは想像に難くない。
しかし、18体もの兵隊を投入してまで女を捕まえに行くとは想像以上ではある。
やつらが人間の女性に対して性的な優劣を判断する感性があるかはわからないが、エリスがゴブリンからも魅力的に映っており捕獲に本気であることは伺える。
確かにエリスは人間の中でもかなりハイスペックなレベルだろう。
冒険者ギルドしかり、今朝の待ち合わせの時もしかり男性から向けられる目は様々な欲が混じり合っている。
とにかく、ゴブリンたちは人間女性を性の対象として見ている可能性が高く、エリスを本気で捕獲しようとしている。
これらの女性にとって不快極まりない話をエリスにどうやって説明したものか――
「ナツヒ君・・・?」
不思議そうな顔でこちらをまっすぐにのぞきこんでくるエリス。
およそ穢れとは無縁な生活を送ってきたであろう大きなエメラルドグリーンの目で真っすぐにこちらを見つめてくる。
やはりエリスに俺の考え全てをありのまま伝えるのは憚れる。
とは言えやつらの狙いを伝えないままだと今後の戦闘に支障をきたす可能性が高い。
「うんーー・・・っと。簡単に言うと、ゴブリンは人間の女が好きでエリスの事を生け捕りにしようとしているかもしれないって事だ。だから一度巣に戻って体勢を立て直してまた出てくるんじゃないかなと思ったんだよ。」
俺は逡巡の後、ゴブリンの狙いを端的にエリスに伝えた。
「生け捕り!?なんの為に?」
まぁその疑問はもっともだよな。性的な可能性しか思い浮かばないが、もう少しソフトな言い方でごまかすしかない。
「いや、俺にもゴブリンの考えはよくわからないが、ペットにしたり動物園のように観賞用にしたり召使いのように使うのかもな。人間だって犬や猫を飼ったりするだろ?そういう感覚に近いのかもしれないな・・。」
ペットや召使いをとても悪い方向で広義的に解釈すればエリスに嘘をついている訳ではないと自分自身を納得させる。
「・・・。うーーん。あんなやつらにペットにされるのも嫌だし鑑賞されるのも嫌だし召使いになるのも嫌だ!生け捕りは無しな方向で!」
「お、おう!だからエリスはやつらがエリスを生け捕りにしようとしている事を念頭にこれからの戦闘に臨んでくれ。」
図らずも俺がエリスに伝えたかった事を伝える事ができた。
殺しにこようとしてくる相手と生け捕りにしようとくる相手の動きは必ず変わってくる。
それを念頭に入れて戦う事ができれば有利に戦闘を進める事ができるはずだ。
さて・・・。
総勢18体のゴブリンがでていった巣は恐らくもぬけの殻に近いだろう。
しかもゴブリンたちがでていた、裏口なら罠がある可能性も少ない。
冒険者ギルドで無印ランクの俺でも受けることができた、“しゃるる”という恐らく子供からの依頼であろう、報酬不明のクエスト【小鬼たちのお宝】
クエストも目的であるブローチを手に入れクエストクリアするには今が絶好のチャンスだ。
「よし!それじゃゴブリン供からブローチを奪い返しに行くか!」
巣からでていった18匹のゴブリンが充分遠くに行ったのを見計らって、俺とエリスはゴブリンの巣に突入するのだった。
---------------------------------------------------------
リアルがバタついて更新が滞ってしまいすみません。
これからは週1ペースを目安にのんびりと更新していきますので、これからも
おっさんの冒険を見守ってもらえると嬉しいです!
梧桐 将臣
「うわ!本当にでてきた。」
岩陰の裏口からでてくるゴブリンたち。
ぞろぞろとでてくるゴブリンの数は俺が予想していた以上に多くその数18体。
こん棒や弓矢装備はもちろん、小隊のリーダー格であろう片手剣と兜をかぶった個体も何体かいる。
ゲギャゲギャと不快な声をあげながら行列を作り歩く様子は、本能的な忌避感を見る者に与え戦闘の心得のない人間ならすぐに逃げ出したくなるだろう。
粗末な木製の籠を神輿のように4体で持っているゴブリンたちもおり、籠の中には荒縄のようなものも見える。
そして、18体の最後尾に陣取るのは周りのゴブリンたちよりもひとまわり大きく、装備も片手剣に兜、さらには鎖かたびらのようなものを着こんでいる個体。
名前はゴブリンリーダー。レベルは6。
俺とエリスなら問題にならない強さだろうがいかんせん周りの数が多い。
まぁそれでも俺1人ならユリダ武具店で買ったレベル11の装備に着替えれば何の問題も無く殲滅することはできそうだ。
「あんなにたくさん中にいたんだ・・・。でもナツヒ君なんでゴブリンたちがでてくるってわかったの?」
「それは・・・」
俺は今までのゴブリンたちの行動や、まさに今目の当たりにしている行列の様子からひとつの仮説を導き出しているがエリスにどう説明するか言葉に詰まってしまう。
俺が考えている事はこうだ――
まずやつらが動物型のモンスターたちと違い、俺たちを単なる敵や獲物とみてむやみやたらには襲ってこない。
それどころか3体1組などの小隊を作って行動しており、そこには指揮系統のようなものが存在している。
今日はやつらと2回遭遇したが、2回とも真っ先に襲ってくるのは俺だった。
これは何かしらの意図があって俺に襲い掛かってきたとみていいだろう。
偶然とは考えにくい。
更に先ほど交戦した群れのリーダー格であるゴブリンがエリスに向けていた目。
あれは、敵として倒す対象ではなく明らかに好色そうな目つきで見ていた。
そして、目の前の18体の集団が持っている籠と荒縄。
生け捕りにしようとする意図がありありと見える。
今日遭遇したゴブリンたちは俺を殺しにきていた。
となると、生け捕りの対象はエリスの他には考えられない。
繁殖の為なのか、快楽の為なのかまではわからないが捕まった女性がその尊厳を踏みにじられ、悲惨な想いをするだろうということは想像に難くない。
しかし、18体もの兵隊を投入してまで女を捕まえに行くとは想像以上ではある。
やつらが人間の女性に対して性的な優劣を判断する感性があるかはわからないが、エリスがゴブリンからも魅力的に映っており捕獲に本気であることは伺える。
確かにエリスは人間の中でもかなりハイスペックなレベルだろう。
冒険者ギルドしかり、今朝の待ち合わせの時もしかり男性から向けられる目は様々な欲が混じり合っている。
とにかく、ゴブリンたちは人間女性を性の対象として見ている可能性が高く、エリスを本気で捕獲しようとしている。
これらの女性にとって不快極まりない話をエリスにどうやって説明したものか――
「ナツヒ君・・・?」
不思議そうな顔でこちらをまっすぐにのぞきこんでくるエリス。
およそ穢れとは無縁な生活を送ってきたであろう大きなエメラルドグリーンの目で真っすぐにこちらを見つめてくる。
やはりエリスに俺の考え全てをありのまま伝えるのは憚れる。
とは言えやつらの狙いを伝えないままだと今後の戦闘に支障をきたす可能性が高い。
「うんーー・・・っと。簡単に言うと、ゴブリンは人間の女が好きでエリスの事を生け捕りにしようとしているかもしれないって事だ。だから一度巣に戻って体勢を立て直してまた出てくるんじゃないかなと思ったんだよ。」
俺は逡巡の後、ゴブリンの狙いを端的にエリスに伝えた。
「生け捕り!?なんの為に?」
まぁその疑問はもっともだよな。性的な可能性しか思い浮かばないが、もう少しソフトな言い方でごまかすしかない。
「いや、俺にもゴブリンの考えはよくわからないが、ペットにしたり動物園のように観賞用にしたり召使いのように使うのかもな。人間だって犬や猫を飼ったりするだろ?そういう感覚に近いのかもしれないな・・。」
ペットや召使いをとても悪い方向で広義的に解釈すればエリスに嘘をついている訳ではないと自分自身を納得させる。
「・・・。うーーん。あんなやつらにペットにされるのも嫌だし鑑賞されるのも嫌だし召使いになるのも嫌だ!生け捕りは無しな方向で!」
「お、おう!だからエリスはやつらがエリスを生け捕りにしようとしている事を念頭にこれからの戦闘に臨んでくれ。」
図らずも俺がエリスに伝えたかった事を伝える事ができた。
殺しにこようとしてくる相手と生け捕りにしようとくる相手の動きは必ず変わってくる。
それを念頭に入れて戦う事ができれば有利に戦闘を進める事ができるはずだ。
さて・・・。
総勢18体のゴブリンがでていった巣は恐らくもぬけの殻に近いだろう。
しかもゴブリンたちがでていた、裏口なら罠がある可能性も少ない。
冒険者ギルドで無印ランクの俺でも受けることができた、“しゃるる”という恐らく子供からの依頼であろう、報酬不明のクエスト【小鬼たちのお宝】
クエストも目的であるブローチを手に入れクエストクリアするには今が絶好のチャンスだ。
「よし!それじゃゴブリン供からブローチを奪い返しに行くか!」
巣からでていった18匹のゴブリンが充分遠くに行ったのを見計らって、俺とエリスはゴブリンの巣に突入するのだった。
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リアルがバタついて更新が滞ってしまいすみません。
これからは週1ペースを目安にのんびりと更新していきますので、これからも
おっさんの冒険を見守ってもらえると嬉しいです!
梧桐 将臣
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