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第一部 四章
第五十話 降臨天唱
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初手は『骸』だった。
ジェノサイドは弱そうな者から襲う習性がある。
真っ先に向かったのは、やはりアヤメであった。
爪をアヤメに向かって突き出す。
「させっか!」
その爪を刀ではじき返すミーミル。
恐るべきスピードではあるが、見切れない程ではない。
「魔人惨刀」
ミーミルの刀が黒いオーラを纏う。
今回はちゃんと単体用の魔人刀スキルだ。
魔人惨刀。
闇の魔力を刀に纏わせ、斬撃を放つ。
威力6455。
壁を破壊した時より威力は遥かに高い。
しかもアヤメの歌バフもかかっている。
これで倒せるかどうか――当たって砕けろだ。
ミーミルは骸に向かって刀を振り下ろす。
刀を振り下ろされた骸は右爪で、その一撃を弾く。
そして左爪をミーミルに突き入れる。
そうしようと思っていた。
だが実際には右爪はミーミルの魔人惨刀で、音もなく斬り飛ばされていた。
「!」
意思があるのか無いのか、不気味な現神触であったが、ここで初めて意思のようなモノが確認できた。
アヤメには骸が驚いた、と思えた。
骸はミーミルから大きく距離を離す。
左右に微妙に揺れるのは変わらないが、警戒しているような雰囲気だ。
「これで逃げてくれりゃいいが」
骸の背中がいきなり、ばくりと広がった。
そこから無数のカギ爪がついた触手が伸び出る。
「そんな甘くねーわな!」
触手はミーミルに殺到する。
ざっと見ただけで数十本。
とても人間が対応できる量ではない。
だがエーギル達と剣の修練をしたミーミルには触手の動きが見えていた。
フェイントも何もなく、無節操に伸ばしてきているだけだ。
ただ近いのから順番に斬り飛ばせばいい。
こんなモン、エーギルのフェイント斬撃に比べれば大した事はない!
ギギギギッ!
草原に金属が擦れ合うような、耳障りな音が連続で響く。
ミーミルは超速の剣で、迫りくる触手を片っ端から斬り飛ばしていた。
それを遠くから見ていた兵士達は総毛立つ。
あんな物量を捌ける人間がいるのか。
あり得ない。
「っ、おっ、ぐっ、ってこれキリないぞ!」
だが捌いている本人に余裕は割と無かった。
捌けるのは確かだが、目の前で触手が次から次へと再生しているのを見ているからだ。
さっき斬り飛ばした爪も、すでに完全再生している。
何とか懐に入って高火力で一気に吹っ飛ばすしかない。
ミーミルがそう思った時には、アヤメはすでに動いていた。
『miwa sokoe miwa tokohe ima tudoeyo yaaaaaaa』
アーディライトの夜想曲から、シュヴァリエの風へ。
天唱スキルである。
降臨唱を使いながら、天唱を扱う。
二次職の間は戦闘中のんびりだったのが、三次転職した途端に忙しくなる。
それがレボリューショナリーという職であった。
移動速度増加の歌を受け、ミーミルはその場から全力で横に飛ぶ。
その速度は骸ですら、見失う程であった。
「魔人 闇刀!」
横に飛び、触手の範囲から逃れながら、ミーミルは突撃スキルを発動させる。
射程500・威力3857。
鈍い音がして、骸の左腕が斬り飛ばされていた。
空中で突然、軌道変更して真っ直ぐ突っ込んで来たミーミルに、反応ができなかったのだ。
触手を戻そうにも、余りに近すぎる。
「魔人絶掌!」
肉薄できたチャンスは逃さない。
ここで使うのは初歩の魔人刀スキル。
だが、このスキルはスキルコンボの始点となっているのだ。
骸が右の爪をミーミルに振り下ろす。
ミーミルは体を捻りながら、黒の拳を骸のわき腹に放つ。
放ったタイミングはほぼ同時。
だったが届いたのはミーミルの方が遥かに早かった。
『sin yumewo utu asu negaiwo utani noseteeee』
シュヴァリエの風から、死霊都市の鎮魂歌。
攻撃速度とクリティカル・ダメージを大幅に引き上げる歌がミーミルを包んでいた。
拳から炸裂した黒の波動が骸の身体を突きぬける。
びくり、と骸が体を硬直させた。
「魔人連脚!」
さらに骸の顔面を蹴り飛ばす。
口から血をまきちらしながら、空高く浮かぶ骸。
その空にミーミルは、すでに跳んでいた。
骸より高く。
魔人刀を思い切り、振りかぶり。
宙に浮かんでいる骸を地面に叩きつけるように。
「魔人天翔斬!」
振り下ろされたその刃は、骸を一撃で真っ二つにした。
「おっし!」
着地したミーミルはアヤメにガッツポーズを取る。
さすがアヤメだった。
実はミーミルがアヤメをリ・バースに誘ったのは友達だから、という理由の他に、もうひとつ理由があった。
アヤメはいざという時の判断力がミーミルより遥かに高いのだ。
妙に冷静というか、合理的に全体を見て動く。
それでいて、型に囚われない大胆なスキル回しをしたりする。
その大胆さと判断力が、ミーミルはパーティに欲しかった。
「はー。何とかなるもんだね……」
アヤメはほっと、息を吐く。
「最初はびっくりしたが、大した事なかったな」
「いやいや、結構ヤバい相手だったと思うよ」
降臨唱が上手く発動していなければ、かなり厳しい戦いになっていただろう。
天唱だけでは、間に合わない場面が多かった。
「とりあえず、倒したしオルデミアと合流するか」
ミーミルはそう言って納刀する。
ぐじゅる。
その時、背後から粘着質な音がミーミルの耳に届いた。
「ミ――!」
アヤメがそれに気づき、声をかける前に。
ミーミルの後頭部に、飛来した硬質の鱗が突き刺さっていた。
ジェノサイドは弱そうな者から襲う習性がある。
真っ先に向かったのは、やはりアヤメであった。
爪をアヤメに向かって突き出す。
「させっか!」
その爪を刀ではじき返すミーミル。
恐るべきスピードではあるが、見切れない程ではない。
「魔人惨刀」
ミーミルの刀が黒いオーラを纏う。
今回はちゃんと単体用の魔人刀スキルだ。
魔人惨刀。
闇の魔力を刀に纏わせ、斬撃を放つ。
威力6455。
壁を破壊した時より威力は遥かに高い。
しかもアヤメの歌バフもかかっている。
これで倒せるかどうか――当たって砕けろだ。
ミーミルは骸に向かって刀を振り下ろす。
刀を振り下ろされた骸は右爪で、その一撃を弾く。
そして左爪をミーミルに突き入れる。
そうしようと思っていた。
だが実際には右爪はミーミルの魔人惨刀で、音もなく斬り飛ばされていた。
「!」
意思があるのか無いのか、不気味な現神触であったが、ここで初めて意思のようなモノが確認できた。
アヤメには骸が驚いた、と思えた。
骸はミーミルから大きく距離を離す。
左右に微妙に揺れるのは変わらないが、警戒しているような雰囲気だ。
「これで逃げてくれりゃいいが」
骸の背中がいきなり、ばくりと広がった。
そこから無数のカギ爪がついた触手が伸び出る。
「そんな甘くねーわな!」
触手はミーミルに殺到する。
ざっと見ただけで数十本。
とても人間が対応できる量ではない。
だがエーギル達と剣の修練をしたミーミルには触手の動きが見えていた。
フェイントも何もなく、無節操に伸ばしてきているだけだ。
ただ近いのから順番に斬り飛ばせばいい。
こんなモン、エーギルのフェイント斬撃に比べれば大した事はない!
ギギギギッ!
草原に金属が擦れ合うような、耳障りな音が連続で響く。
ミーミルは超速の剣で、迫りくる触手を片っ端から斬り飛ばしていた。
それを遠くから見ていた兵士達は総毛立つ。
あんな物量を捌ける人間がいるのか。
あり得ない。
「っ、おっ、ぐっ、ってこれキリないぞ!」
だが捌いている本人に余裕は割と無かった。
捌けるのは確かだが、目の前で触手が次から次へと再生しているのを見ているからだ。
さっき斬り飛ばした爪も、すでに完全再生している。
何とか懐に入って高火力で一気に吹っ飛ばすしかない。
ミーミルがそう思った時には、アヤメはすでに動いていた。
『miwa sokoe miwa tokohe ima tudoeyo yaaaaaaa』
アーディライトの夜想曲から、シュヴァリエの風へ。
天唱スキルである。
降臨唱を使いながら、天唱を扱う。
二次職の間は戦闘中のんびりだったのが、三次転職した途端に忙しくなる。
それがレボリューショナリーという職であった。
移動速度増加の歌を受け、ミーミルはその場から全力で横に飛ぶ。
その速度は骸ですら、見失う程であった。
「魔人 闇刀!」
横に飛び、触手の範囲から逃れながら、ミーミルは突撃スキルを発動させる。
射程500・威力3857。
鈍い音がして、骸の左腕が斬り飛ばされていた。
空中で突然、軌道変更して真っ直ぐ突っ込んで来たミーミルに、反応ができなかったのだ。
触手を戻そうにも、余りに近すぎる。
「魔人絶掌!」
肉薄できたチャンスは逃さない。
ここで使うのは初歩の魔人刀スキル。
だが、このスキルはスキルコンボの始点となっているのだ。
骸が右の爪をミーミルに振り下ろす。
ミーミルは体を捻りながら、黒の拳を骸のわき腹に放つ。
放ったタイミングはほぼ同時。
だったが届いたのはミーミルの方が遥かに早かった。
『sin yumewo utu asu negaiwo utani noseteeee』
シュヴァリエの風から、死霊都市の鎮魂歌。
攻撃速度とクリティカル・ダメージを大幅に引き上げる歌がミーミルを包んでいた。
拳から炸裂した黒の波動が骸の身体を突きぬける。
びくり、と骸が体を硬直させた。
「魔人連脚!」
さらに骸の顔面を蹴り飛ばす。
口から血をまきちらしながら、空高く浮かぶ骸。
その空にミーミルは、すでに跳んでいた。
骸より高く。
魔人刀を思い切り、振りかぶり。
宙に浮かんでいる骸を地面に叩きつけるように。
「魔人天翔斬!」
振り下ろされたその刃は、骸を一撃で真っ二つにした。
「おっし!」
着地したミーミルはアヤメにガッツポーズを取る。
さすがアヤメだった。
実はミーミルがアヤメをリ・バースに誘ったのは友達だから、という理由の他に、もうひとつ理由があった。
アヤメはいざという時の判断力がミーミルより遥かに高いのだ。
妙に冷静というか、合理的に全体を見て動く。
それでいて、型に囚われない大胆なスキル回しをしたりする。
その大胆さと判断力が、ミーミルはパーティに欲しかった。
「はー。何とかなるもんだね……」
アヤメはほっと、息を吐く。
「最初はびっくりしたが、大した事なかったな」
「いやいや、結構ヤバい相手だったと思うよ」
降臨唱が上手く発動していなければ、かなり厳しい戦いになっていただろう。
天唱だけでは、間に合わない場面が多かった。
「とりあえず、倒したしオルデミアと合流するか」
ミーミルはそう言って納刀する。
ぐじゅる。
その時、背後から粘着質な音がミーミルの耳に届いた。
「ミ――!」
アヤメがそれに気づき、声をかける前に。
ミーミルの後頭部に、飛来した硬質の鱗が突き刺さっていた。
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