65 / 67
終章
第24話 大家族(上)
しおりを挟む
――それから十二年後。キアンは三十八歳、ティルフィーユは二十九歳になった。
初夏のある晴れた日の夕方、馬車を降りた幼い少年たちが敷地内に止まっているもう一台の馬車を目敏く見つけると、喜びの声を上げた。
「母上、もう帰ってる!」
くたくたに疲れている父のキアンには構わず、息子たちは駆けていって玄関ドアを勢いよく開けた。
「母上! ただいま帰りました!」
「はーい、お帰りなさい」
息子たちの声が聞こえると、すぐに母のティルフィーユは玄関ホールに向かった。そして腰をかがめると、抱きついてくる三人の息子を順番に抱きしめて笑顔を見せる。
「楽しんできた?」
「はい!」
元気よく返事をしたのは長男エルマーだ。今年で十歳になる彼は、父と同じようにミリ族の一員になることを希望しており、武芸の稽古に余念がない。そのため、毎年グントバハロンと共同で開催される「武術交流会」の日はいつになく興奮しているのだ。
「今日は団体戦のトーナメントだったわよね」
「ははうえ、あのね! くまさん、つよかった! さいごまでたってた!」
「あら……マンダール家のバイロン様かしら。それとも御子息かしら」
七歳の次男フィンが言う「熊さん」は、間違いなくグントバハロンのマンダール家の者だろう。バイロンはもう五十歳近くの年齢だが、若者に負けず劣らず、武術交流会には毎年何かしらの種目でエントリーしている。その腕前は相変わらず一線級のようだが、フィンが見たのは彼の息子の可能性もある。
「だっこ……」
三歳の三男ルッツは、今にも寝てしまいそうな顔で短い両腕を差し出してくる。今年初めて兄たちと共に武術交流会の見学に行ったが、さすがに三歳ではまだ交流会が何なのかもわからず、ただ疲れて終わっただけなのかもしれない。
そんなルッツを両腕で抱き上げて、ティルフィーユは立ち上がった。するとちょうどキアンも玄関ドアを開けて帰宅した。
「キアン様、お帰りなさい」
「ああ……」
「子守り、お疲れ様でした」
武術交流会は、エヴァエロン共和国とグントバハロンが共同で開催している催しのことである。
十二年前、エヴァエロン共和国に聖女が来訪した際にグントバハロンから警備の支援団が来てくれたのだが、その際グントバハロンの若い兵士がエヴァエロン共和国の騎士団長――つまりキアンに勝負を挑んだ。ティルフィーユに横恋慕しているウェスライが嫉妬心からキアンに喧嘩を売ったというのが真相なのだが、その真相が広まることはなく、「武に秀でた異国の者同士が勝負をしたらしい」という噂話だけがうっすらと広まった。さらにロイックの妻ソイラが、ティルフィーユをはじめ女友達と集まって話している時に「グントバハロンの武人とミリ族ならどちらが強いのか」という話題になったと、夫のロイックに何気なく話した。すると、先の噂話を聞いていたロイックは、両国の交流を目的として武術交流会を開いたらどうだろうかと思い立った。グントバハロンの武人もエヴァエロン共和国にいるミリ族も、争い事ではなくあくまでも交流目的の祭典で互いの武を競い合うのは良い刺激になるのではないか。その催しを祭りのように仕立てれば市民の娯楽にもなるし、軍部への市民の理解が深まるきっかけにもなるかもしれないと。
ロイックはまず、キアンをせっついて交流会の内容を検討し、概要をまとめた。そしてその話をグントバハロンに持っていった。多少時間はかかったが了承が得られ、二年後には第一回武術交流会が開かれた。準備が間に合わず開催できない年もあったが、ここ数年は毎年、どちらかの国で交流会が開かれている。そして今年は、エヴァエロン共和国側で開催される年であった。
「三人もいると……すごいな」
楽な部屋着に着替えたキアンは居間のソファに座り、ぐったりとした表情で呟いた。
エヴァエロン共和国側で武術交流会が開催される場合、騎士団長であるキアンも開催のための仕事をしたり、個人トーナメントに出たりする。しかし一日ぐらいは休めるので、交流会の観戦に息子たちを連れていくのはキアンの役割になっていた。乳母として雇っているクローエももちろん付いていくが、基本的にはキアンが父として全面的に子供たちの面倒を見る日――つまり、父子交流の日でもあるのだ。
ちなみに、グントバハロン側で交流会が開催される場合、キアンは出場者として個人戦の種目にのみエントリーする。そして、ミリ族の族長を相手に腕試しをしたいと挑んでくるグントバハロンの血気盛んな若者たちを相手に手加減なしの勝負を繰り広げ、今のところ、交流会でのキアンは無敗だ。
「元気が有り余っているみたいです。さすがは男の子。ニーナとは違いますね」
三人の息子たちの乳母であるクローエは、フメ族の女性だ。フメ族としての仕事の一環で妊娠してしまったが、相手の男性はクローエと結婚することは望まなかった。堕胎する道もあったがクローエは堕胎を選ばず、出産することを選んだ。ちょうど同じ頃、ティルフィーユは長男を妊娠しており、キアンはティルフィーユのために乳母を探していた。そしてクローエのことを知り、彼女を雇うことにしたのである。
クローエは自身の娘であるニーナを育てながら、ティルフィーユとキアンの息子たちの面倒もよく見てくれた。ニーナはとてもおとなしい女の子で、ストーラー家に雇われている母の立場をよく理解しているのか、テスティ夫妻を手伝うように家の仕事を進んでしてくれている。ティルフィーユの子らと共に学問所で学ぶこともしているが、ニーナは家事をしている方が楽しいようだ。
一方でティルフィーユとキアンの息子たち三兄弟は、それはもう毎日元気でやんちゃだ。子供たちの遊び相手になるようにとティルフィーユたちは大型犬を飼い始めたが、その犬と遊び倒しても、夕飯を食べて一晩寝ればあっという間に体力を回復して、次の日も元気に走り回っている。交流会から帰ってきた今も、三男のルッツは疲れて寝てしまったようだが、エルマーとフィンは中庭で愛犬と遊んでいた。
「エルマーは、いつ正式にミリ族に加えるのですか?」
キアンの隣に座っているティルフィーユは尋ねた。バルボラが給仕してくれたミルクティーのカップを手に取り、ふう、と一息かけてから静かに口を付ける。
「急ぐことはない。成人と同時でいい……と思っているんだが、思いのほか、本人の希望が強いようだ。年齢も十歳になったし、今一度真剣に本人と話してみて、覚悟があるようなら加えようと思う。ミリ族に加われば、これまで以上に武芸に打ち込めるだろうしな」
様々な一族で成り立つダミアレア族。各一族の一員になるために、血縁関係は必須ではない。一族の一員になることも、一員を辞めることも、基本的には本人の自由意思でできる。
長男エルマーは物心がついてすぐの頃から、自分もミリ族になりたいとたびたび口にしていた。幼く未熟な心がいったいどれだけの覚悟をしているのかは不明なので、キアンはエルマーのその意思を受け取りつつも、まだ彼をミリ族に加えてはいなかった。しかし、毎年目を輝かせて武術交流会を観戦しているところを見るに、武の腕を磨きその業で生きていくという生き方を真剣に選ぼうとしているのだろう。ならば父としてミリ族の族長として、エルマーを一族に加えることに反対する理由はない。
「三歳のルッツはまだとして……七歳のフィンはどうですか?」
「フィンは、ミリ族やエヴァエロン共和国の騎士団よりも、グントバハロンの武人の方に興味があるようだな」
「まあっ……じゃあ、もしかしてグントバハロンに?」
「将来、そう希望するかもしれないな」
長男のエルマーはミリ族贔屓だが、次男のフィンの視線はどちらかというと、エヴァエロン共和国の騎士団よりもグントバハロンの武人たちに向いている。子供ながらに両者の違いがわかるようで、フィンはグントバハロンの流儀の方が好みのようだ。
「ただ、子供の興味は移ろいやすい。武芸以外で生きていく道も職業も、この国では十分選べる。それに、ダミアレア族になるということは、スフ族の占術結果次第では生きる場所が大きく変わる可能性もあるということだ。そのことも受け入れて生きていけるかは、まだまだ本人にもわからないだろう。これからも子供たちには親の期待や願いを押し付けず、自分で選択できるように本人の意思を尊重しよう」
キアンはそう言うと、ティルフィーユの肩を自分の方に抱き寄せた。結婚した時と変わらず、ティルフィーユの身体は細くて小さい。長男出産時は初めてのお産だったので、ずいぶんと難産だった。しかし次男と三男は信じられないほど楽に出産したから、女性の身体とは本当に不思議な強さを持っているものだ。
「はい。健やかに幸せに生きてくれれば……それだけで十分ですものね」
ティルフィーユは夫の腕にひたいをこすりつけて甘えた。
政略結婚でこの国に嫁いできてから十二年、様々なことがあった。それは自分たち夫婦や家族だけでなく、この国自体の成長や、グントバハロンの実家の家族の変化なども含めてだ。
「そういえば、リチェお姉様から久しぶりに手紙が届きました。近々、聖女様の他国訪問に初めて随行されるのですって」
「そうか。それはきっと、良い経験になるな」
ティルフィーユの二歳年上の姉、ベアトリーチェ。彼女はなんと、グントバハロンの宗家を出てレシクラオン神皇国の民となり、そこで神官になったのだ。
初夏のある晴れた日の夕方、馬車を降りた幼い少年たちが敷地内に止まっているもう一台の馬車を目敏く見つけると、喜びの声を上げた。
「母上、もう帰ってる!」
くたくたに疲れている父のキアンには構わず、息子たちは駆けていって玄関ドアを勢いよく開けた。
「母上! ただいま帰りました!」
「はーい、お帰りなさい」
息子たちの声が聞こえると、すぐに母のティルフィーユは玄関ホールに向かった。そして腰をかがめると、抱きついてくる三人の息子を順番に抱きしめて笑顔を見せる。
「楽しんできた?」
「はい!」
元気よく返事をしたのは長男エルマーだ。今年で十歳になる彼は、父と同じようにミリ族の一員になることを希望しており、武芸の稽古に余念がない。そのため、毎年グントバハロンと共同で開催される「武術交流会」の日はいつになく興奮しているのだ。
「今日は団体戦のトーナメントだったわよね」
「ははうえ、あのね! くまさん、つよかった! さいごまでたってた!」
「あら……マンダール家のバイロン様かしら。それとも御子息かしら」
七歳の次男フィンが言う「熊さん」は、間違いなくグントバハロンのマンダール家の者だろう。バイロンはもう五十歳近くの年齢だが、若者に負けず劣らず、武術交流会には毎年何かしらの種目でエントリーしている。その腕前は相変わらず一線級のようだが、フィンが見たのは彼の息子の可能性もある。
「だっこ……」
三歳の三男ルッツは、今にも寝てしまいそうな顔で短い両腕を差し出してくる。今年初めて兄たちと共に武術交流会の見学に行ったが、さすがに三歳ではまだ交流会が何なのかもわからず、ただ疲れて終わっただけなのかもしれない。
そんなルッツを両腕で抱き上げて、ティルフィーユは立ち上がった。するとちょうどキアンも玄関ドアを開けて帰宅した。
「キアン様、お帰りなさい」
「ああ……」
「子守り、お疲れ様でした」
武術交流会は、エヴァエロン共和国とグントバハロンが共同で開催している催しのことである。
十二年前、エヴァエロン共和国に聖女が来訪した際にグントバハロンから警備の支援団が来てくれたのだが、その際グントバハロンの若い兵士がエヴァエロン共和国の騎士団長――つまりキアンに勝負を挑んだ。ティルフィーユに横恋慕しているウェスライが嫉妬心からキアンに喧嘩を売ったというのが真相なのだが、その真相が広まることはなく、「武に秀でた異国の者同士が勝負をしたらしい」という噂話だけがうっすらと広まった。さらにロイックの妻ソイラが、ティルフィーユをはじめ女友達と集まって話している時に「グントバハロンの武人とミリ族ならどちらが強いのか」という話題になったと、夫のロイックに何気なく話した。すると、先の噂話を聞いていたロイックは、両国の交流を目的として武術交流会を開いたらどうだろうかと思い立った。グントバハロンの武人もエヴァエロン共和国にいるミリ族も、争い事ではなくあくまでも交流目的の祭典で互いの武を競い合うのは良い刺激になるのではないか。その催しを祭りのように仕立てれば市民の娯楽にもなるし、軍部への市民の理解が深まるきっかけにもなるかもしれないと。
ロイックはまず、キアンをせっついて交流会の内容を検討し、概要をまとめた。そしてその話をグントバハロンに持っていった。多少時間はかかったが了承が得られ、二年後には第一回武術交流会が開かれた。準備が間に合わず開催できない年もあったが、ここ数年は毎年、どちらかの国で交流会が開かれている。そして今年は、エヴァエロン共和国側で開催される年であった。
「三人もいると……すごいな」
楽な部屋着に着替えたキアンは居間のソファに座り、ぐったりとした表情で呟いた。
エヴァエロン共和国側で武術交流会が開催される場合、騎士団長であるキアンも開催のための仕事をしたり、個人トーナメントに出たりする。しかし一日ぐらいは休めるので、交流会の観戦に息子たちを連れていくのはキアンの役割になっていた。乳母として雇っているクローエももちろん付いていくが、基本的にはキアンが父として全面的に子供たちの面倒を見る日――つまり、父子交流の日でもあるのだ。
ちなみに、グントバハロン側で交流会が開催される場合、キアンは出場者として個人戦の種目にのみエントリーする。そして、ミリ族の族長を相手に腕試しをしたいと挑んでくるグントバハロンの血気盛んな若者たちを相手に手加減なしの勝負を繰り広げ、今のところ、交流会でのキアンは無敗だ。
「元気が有り余っているみたいです。さすがは男の子。ニーナとは違いますね」
三人の息子たちの乳母であるクローエは、フメ族の女性だ。フメ族としての仕事の一環で妊娠してしまったが、相手の男性はクローエと結婚することは望まなかった。堕胎する道もあったがクローエは堕胎を選ばず、出産することを選んだ。ちょうど同じ頃、ティルフィーユは長男を妊娠しており、キアンはティルフィーユのために乳母を探していた。そしてクローエのことを知り、彼女を雇うことにしたのである。
クローエは自身の娘であるニーナを育てながら、ティルフィーユとキアンの息子たちの面倒もよく見てくれた。ニーナはとてもおとなしい女の子で、ストーラー家に雇われている母の立場をよく理解しているのか、テスティ夫妻を手伝うように家の仕事を進んでしてくれている。ティルフィーユの子らと共に学問所で学ぶこともしているが、ニーナは家事をしている方が楽しいようだ。
一方でティルフィーユとキアンの息子たち三兄弟は、それはもう毎日元気でやんちゃだ。子供たちの遊び相手になるようにとティルフィーユたちは大型犬を飼い始めたが、その犬と遊び倒しても、夕飯を食べて一晩寝ればあっという間に体力を回復して、次の日も元気に走り回っている。交流会から帰ってきた今も、三男のルッツは疲れて寝てしまったようだが、エルマーとフィンは中庭で愛犬と遊んでいた。
「エルマーは、いつ正式にミリ族に加えるのですか?」
キアンの隣に座っているティルフィーユは尋ねた。バルボラが給仕してくれたミルクティーのカップを手に取り、ふう、と一息かけてから静かに口を付ける。
「急ぐことはない。成人と同時でいい……と思っているんだが、思いのほか、本人の希望が強いようだ。年齢も十歳になったし、今一度真剣に本人と話してみて、覚悟があるようなら加えようと思う。ミリ族に加われば、これまで以上に武芸に打ち込めるだろうしな」
様々な一族で成り立つダミアレア族。各一族の一員になるために、血縁関係は必須ではない。一族の一員になることも、一員を辞めることも、基本的には本人の自由意思でできる。
長男エルマーは物心がついてすぐの頃から、自分もミリ族になりたいとたびたび口にしていた。幼く未熟な心がいったいどれだけの覚悟をしているのかは不明なので、キアンはエルマーのその意思を受け取りつつも、まだ彼をミリ族に加えてはいなかった。しかし、毎年目を輝かせて武術交流会を観戦しているところを見るに、武の腕を磨きその業で生きていくという生き方を真剣に選ぼうとしているのだろう。ならば父としてミリ族の族長として、エルマーを一族に加えることに反対する理由はない。
「三歳のルッツはまだとして……七歳のフィンはどうですか?」
「フィンは、ミリ族やエヴァエロン共和国の騎士団よりも、グントバハロンの武人の方に興味があるようだな」
「まあっ……じゃあ、もしかしてグントバハロンに?」
「将来、そう希望するかもしれないな」
長男のエルマーはミリ族贔屓だが、次男のフィンの視線はどちらかというと、エヴァエロン共和国の騎士団よりもグントバハロンの武人たちに向いている。子供ながらに両者の違いがわかるようで、フィンはグントバハロンの流儀の方が好みのようだ。
「ただ、子供の興味は移ろいやすい。武芸以外で生きていく道も職業も、この国では十分選べる。それに、ダミアレア族になるということは、スフ族の占術結果次第では生きる場所が大きく変わる可能性もあるということだ。そのことも受け入れて生きていけるかは、まだまだ本人にもわからないだろう。これからも子供たちには親の期待や願いを押し付けず、自分で選択できるように本人の意思を尊重しよう」
キアンはそう言うと、ティルフィーユの肩を自分の方に抱き寄せた。結婚した時と変わらず、ティルフィーユの身体は細くて小さい。長男出産時は初めてのお産だったので、ずいぶんと難産だった。しかし次男と三男は信じられないほど楽に出産したから、女性の身体とは本当に不思議な強さを持っているものだ。
「はい。健やかに幸せに生きてくれれば……それだけで十分ですものね」
ティルフィーユは夫の腕にひたいをこすりつけて甘えた。
政略結婚でこの国に嫁いできてから十二年、様々なことがあった。それは自分たち夫婦や家族だけでなく、この国自体の成長や、グントバハロンの実家の家族の変化なども含めてだ。
「そういえば、リチェお姉様から久しぶりに手紙が届きました。近々、聖女様の他国訪問に初めて随行されるのですって」
「そうか。それはきっと、良い経験になるな」
ティルフィーユの二歳年上の姉、ベアトリーチェ。彼女はなんと、グントバハロンの宗家を出てレシクラオン神皇国の民となり、そこで神官になったのだ。
10
あなたにおすすめの小説
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
【完結】お嬢様だけがそれを知らない
春風由実
恋愛
公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者でもあるお嬢様には秘密があった。
しかしそれはあっという間に公然の秘密となっていて?
それを知らないお嬢様は、日々あれこれと悩んでいる模様。
「この子たちと離れるくらいなら。いっそこの子たちを連れて国外に逃げ──」
王太子殿下、サプライズとか言っている場合ではなくなりました!
今すぐ、対応してください!今すぐです!
※ゆるゆると不定期更新予定です。
※2022.2.22のスペシャルな猫の日にどうしても投稿したかっただけ。
※カクヨムにも投稿しています。
世界中の猫が幸せでありますように。
にゃん。にゃんにゃん。にゃん。にゃんにゃん。にゃ~。
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
男装令嬢はもう恋をしない
おしどり将軍
恋愛
ガーネット王国の王太子になったばかりのジョージ・ガーネットの訪問が実現し、ランバート公爵領内はわいていた。
煌びやかな歓迎パーティの裏側で、ひたすら剣の修行を重ねるナイアス・ランバート。彼女は傲慢な父パーシー・ランバートの都合で、女性であるにも関わらず、跡取り息子として育てられた女性だった。
次女のクレイア・ランバートをどうにかして王太子妃にしようと工作を重ねる父をよそに、王太子殿下は女性とは知らずにナイアスを気に入ってしまい、親友となる。
ジョージ殿下が王都へ帰る途中、敵国の襲撃を受けたという報を聞き、ナイアスは父の制止を振り切って、師匠のアーロン・タイラーとともに迷いの森へ彼の救出に向かった。
この物語は、男として育てられてしまった令嬢が、王太子殿下の危機を救って溺愛されてしまうお話です。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
優しすぎる王太子に妃は現れない
七宮叶歌
恋愛
『優しすぎる王太子』リュシアンは国民から慕われる一方、貴族からは優柔不断と見られていた。
没落しかけた伯爵家の令嬢エレナは、家を救うため王太子妃選定会に挑み、彼の心を射止めようと決意する。
だが、選定会の裏には思わぬ陰謀が渦巻いていた。翻弄されながらも、エレナは自分の想いを貫けるのか。
国が繁栄する時、青い鳥が現れる――そんな伝承のあるフェラデル国で、優しすぎる王太子と没落令嬢の行く末を、青い鳥は見守っている。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる