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第12話 幼き操言士と解かれた波動
3.ンディフ墓地(下)
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かつてここに埋められた、王家に歯向かった操言士鳳山。罪人として罰せられた彼は、自分と一緒に『空白の物語Ⅱ』をここへ埋めさせた。そして弟子のムクトルに言いつけたのだ。この本をしかるべき人物に託すようにと。
いったい誰に託すべきなのか、ムクトルは考えただろう。そしてその答えは「特別な操言士」だった。自分が死んだら火葬してここに遺灰を埋めるように家族に言い残すことで、特別な操言士――紀更に託そうとしたのだ。
「紀更、読んでごらん」
王黎に言われて、紀更はひとつ深呼吸をする。そして王黎から本を受け取り、そこに書かれた文字を目で追った。
空白の物語Ⅱ
わたしが死んだら、わたしの身体は燃やして土に還してね。
ぼくが死んだら、ぼくの身体は燃やして土に還してくれ。
わたしが死んだら、わたしの魂は次のあなたを探しに行くわ。
ぼくが死んだら、ぼくの魂も次の君を必ず探し出す。
わたしの心はわたしだけのもの。そしてあなただけを愛するの。
ぼくの心は何度でも君を愛する。君が嫌だと拒まないかぎり。
わたしが死んでも――。
ぼくが死んでも――。
Ⅰと同じく、挿絵のない文字だけの本。しかし『空白の物語Ⅰ』と違って、今度は愛し合う男女の会話のようだ。そしてやはり、本のうしろには空白のページが不自然に用意されている。
(私が死んだら……)
自分が死ぬ時、そして死んだあと。作者のロゴイエマレスは、そのことを考えながらこの本を書いたのだろうか。
「おじいちゃん、さようなら」
エレノアが、ムクトルの遺灰の入った壺を厳かに穴に埋める。それはとても小さな壺だった。生きていた頃のムクトルの身体が老いてとても小柄だったのと同じように。
「どうか、安らかに」
壺の上に、騎士たちによって土がかけられていく。
カルディッシュで多くの人々に慕われた長老ムクトル。先々代の国王エドワードに舌を切られてからは操言の力を使うことが能わなかった、声のない操言士。しかしその最期に、カルディッシュの民を怪魔から守って死んだ。人々を守るという、操言士としての役目をまっとうして眠りについたのだ。
紀更たちもエレノアたちカルディッシュの一行も、しばしの黙祷を捧げた。
これで本当に、ムクトルとはお別れだ。
たった一度しか顔を合わせて言葉を交わすことができなかった。あのわずかな時間の会話が、紀更とムクトルの最初で最後の関わりであり、そしてすべてとなってしまった。
(ムクトルさん……)
頬に涙が一筋流れる。紀更はその涙を指先で拭うと、帰り支度を始めたエレノアたちの肩越しの遠くに誰かがいることにふと気が付いた。
(あれ……)
だいぶ離れたところだ。墓地の一番端の方にいて、しかもなぜか輪郭がぼんやりとしているのではっきりとは見えない。だが、それはユルゲンよりも大きな背。背中からのぞく大きな羽。前髪の生え際から生えている二本の螺旋状の角。
(あ……ああっ!)
無音のまま、紀更の瞳孔が勢いよく開いた。
――残念やけど、ヒューマともメヒュラともちゃうんよ。
――プレカ、や。不思議やなぁ言われて、不思議やなぁ思うたら、言うてみ。
修了試験、合格発表の次の日。
ペレス家でのパーティーの準備のために操言院へ行く、その前。
王都の共同墓地に眠る弟、俊の墓前に合格を報告したあの時。
――それは、不思議な本。とても、不思議。君みたい。
――あのね、のあとに、何が続く?
――あつっ!
――紀更っ!?
――あ、す、すみません。平気です。本が急に熱くなって。
王都中央図書館。リカルドに見せられた『空白の物語Ⅰ』。
リカルドいわく、不思議な本。そして、紀更も不思議な操言士。
不思議だなと言われて、紀更も本のことを不思議だなと思った。
そして、口にしたのだ。
「プレカ……っ」
紀更の手の中で、『空白の物語Ⅱ』が一瞬だけ熱くなる。今度は落としてしまいそうなほどの熱さではなかったが、その熱はよりいっそう、紀更に鮮明な記憶をリフレインさせた。
――さっき、文字が出てきた。何か、言った?
「私、忘れてた」
「紀更様?」
ぽつりと呟いた紀更を不思議に思い、紅雷は紀更の横顔をのぞき込んだ。
(忘れてた……墓地で会った不思議な人……あの人に言われた言葉を言ったら本が……。でも、王都の中央図書館でも今の今までも、そのことを忘れてた……どうして……どうして!?)
紀更は手に持った本をちらっと見やる。それからもう一度エレノアたちの向こうに視線をやったが、角と羽の生えた不思議な人物の姿はすでになかった。
「紀更様、どうかしましたか」
ぼうっとしているかと思ったら挙動不審になった紀更を心配し、紅雷は紀更に声をかける。しかしその紅雷に返事をすることもなく、紀更はふと気付いて慌てて『空白の物語Ⅱ』のページをめくった。
初代操言士は闇の神様ヤオディミスから力を授かった。
初代言従士は光の神様カオディリヒスから力を授かった。
二人は愛し合い、やがて反転が起きた。
闇の力は言従士に、光の力は操言士に。
それぞれの魂に宿った力は二人の死後、魂ごと天に昇る。
そしていつかまた、地に降りてくる。
もう一度出逢うために。もう一度愛し合うために。
(やっぱり!)
王都中央図書館の時と同じだ。王都の共同墓地にいた謎の人物から教えられた不思議な言葉――「プレカ」という言葉に反応して、『空白の物語』のうしろのページに書かれていなかったはずの文字が浮かび上がっていた。
(この本は何!? プレカってなんなの!? あの人は誰!? ロゴイエマレスさんはいったい何者なの……それに……っ)
初代操言士が闇の神様ヤオディミスから力を授かった?
初代言従士が光の神様カオディリヒスから力を授かった?
二人は愛し合い、反転が起きた?
それは事実なのだろうか。実際に過去に起きた出来事なのだろうか。
(そんな話、知らない……聞いたことがない)
初代操言士と初代言従士、そして神様の間にかつていったい何が起きたというのか。
(これは……この本は誰に……私に何を伝えたいの!?)
「ギィィイイイ!」
「カルーテの群れだ!」
その時、カルディッシュの騎士の一人が大声を上げた。全員に緊張が走り、騎士が指差す方向に目を向ける。ンディフ墓地の奥、森を背にした木々の間からカルーテが一匹、二匹、三匹と次々にこちらへ向かってくるのが見えた。
「戦闘態勢! エレノアさんたちはカルーテ殲滅に専念! もっと来るはずです!」
王黎がいち早く叫び、全員に指示を出す。紀更は『空白の物語Ⅱ』を急いでショルダーバッグにしまい込んだ。
エレノアたちのパーティはエレノアを含めて操言士が三人、そして騎士は六人だ。騎士は前衛四人、後衛二人に分かれて、襲ってくる怪魔を迎え撃つ態勢に入った。
「ピァァァ!」
しかし、別方向からカルーテとは別の唸り声が消えてくる。怪魔クフヴェとドサバトが、紀更たちを左右から挟み撃ちするように出現していた。
「どうして怪魔が!」
「油断するな、ピラーオルドだ! 怪魔を操るピラーオルドがどこかにいるはずだ!」
エレノアが叫び、ユルゲンが声を張り上げた。
こちらの動揺などお構いなしに、クフヴェが複数の蔓で攻撃してくる。ドサバトも、大量の泥水を噴射して紀更たちの動きをにぶらせようとしてくる。それらを避けながらルーカス、紅雷、ユルゲンは左右に散った。
「王黎殿、守りは任せて、あなたは自身の防御を!」
エリックが王黎の前に立つ。王黎は頷くとあとのことはすべて周りに任せて、一気に集中した。小さな声で、だがはっきりと一言一言正確に言葉を紡ぎ、練り始める。
中衛に立つ紀更も、師匠と同じく操言の力を使った。
【地を蹴る足、己が身体を支える足、敵を屠る腕、己が身を守る腕、そのすべての筋力を強化し、縦にも横にも、より素早く正確に動き得る!】
紀更から操言の加護を受けた紅雷が、いち早く飛び出す。戦闘開始時点ですぐにミズイヌ型になっていた紅雷は、地面を蹴ってドサバトの頭上に飛び、ひょうたん型のその身体に鋭い歯を突き立てた。斃すにはいたらなかったが、ダメージを受けて苦しくなったドサバトが自分の身体の上に乗る紅雷を振り落とそうと暴れ回る。しかし紅雷は華麗に飛び上がると、ドサバトから離れて距離をとった。
「ハァッ!」
ルーカスは樹木のように動けないクフヴェに素早く近付き、攻撃してくる蔓を長剣で切り落としていく。だが紅雷と同じく致命傷にはいたらない。怪魔を屠るには、やはり操言の力の加護が必要だ。
【清らかなる純白の輝きよ、邪なる悪を滅し屠る神気となりて、ルーカスさん、紅雷、ユルゲンさんの三人に聖なる力を授け給え!】
紀更は三人に、怪魔を滅するための操言の力を付与した。
(だめ、もっと具体的に!)
しかし自分のその言葉と操言の力に満足することなく、もっと強く戦えるように自身を叱咤する。
樹木を模したクフヴェは、攻撃した瞬間にその傷口が燃え広がればいい。蜘蛛のようなドサバトは、切断されたらその全身を巡る血管と神経もすべて切れて、生命機能を失えばいい。ルーカスは長剣でたたき切る。紅雷なら歯や爪で突き刺す。ユルゲンの両刀も相手を真っ二つに斬る。彼らの持つ武器にもっと具体的で効果のある操言の加護を与えなければ。紀更は休むことなく、言葉を紡いで操言の力を使い続けた。
「ハッ!」
「シャーッ」
「てぃやああっ」
「うらぁっ!」
「ピァッ」
紀更から追加の加護を受けたルーカスの攻撃でクフヴェが、同じく紅雷とユルゲンの攻撃でドサバトが、あっという間に斃される。
「見つけたぜ、黒髪ぃ!」
その時、霧散していくクフヴェとドサバトの黒い靄の向こうから黒く大きな塊が飛び出してきて、ユルゲンに襲い掛かった。
いったい誰に託すべきなのか、ムクトルは考えただろう。そしてその答えは「特別な操言士」だった。自分が死んだら火葬してここに遺灰を埋めるように家族に言い残すことで、特別な操言士――紀更に託そうとしたのだ。
「紀更、読んでごらん」
王黎に言われて、紀更はひとつ深呼吸をする。そして王黎から本を受け取り、そこに書かれた文字を目で追った。
空白の物語Ⅱ
わたしが死んだら、わたしの身体は燃やして土に還してね。
ぼくが死んだら、ぼくの身体は燃やして土に還してくれ。
わたしが死んだら、わたしの魂は次のあなたを探しに行くわ。
ぼくが死んだら、ぼくの魂も次の君を必ず探し出す。
わたしの心はわたしだけのもの。そしてあなただけを愛するの。
ぼくの心は何度でも君を愛する。君が嫌だと拒まないかぎり。
わたしが死んでも――。
ぼくが死んでも――。
Ⅰと同じく、挿絵のない文字だけの本。しかし『空白の物語Ⅰ』と違って、今度は愛し合う男女の会話のようだ。そしてやはり、本のうしろには空白のページが不自然に用意されている。
(私が死んだら……)
自分が死ぬ時、そして死んだあと。作者のロゴイエマレスは、そのことを考えながらこの本を書いたのだろうか。
「おじいちゃん、さようなら」
エレノアが、ムクトルの遺灰の入った壺を厳かに穴に埋める。それはとても小さな壺だった。生きていた頃のムクトルの身体が老いてとても小柄だったのと同じように。
「どうか、安らかに」
壺の上に、騎士たちによって土がかけられていく。
カルディッシュで多くの人々に慕われた長老ムクトル。先々代の国王エドワードに舌を切られてからは操言の力を使うことが能わなかった、声のない操言士。しかしその最期に、カルディッシュの民を怪魔から守って死んだ。人々を守るという、操言士としての役目をまっとうして眠りについたのだ。
紀更たちもエレノアたちカルディッシュの一行も、しばしの黙祷を捧げた。
これで本当に、ムクトルとはお別れだ。
たった一度しか顔を合わせて言葉を交わすことができなかった。あのわずかな時間の会話が、紀更とムクトルの最初で最後の関わりであり、そしてすべてとなってしまった。
(ムクトルさん……)
頬に涙が一筋流れる。紀更はその涙を指先で拭うと、帰り支度を始めたエレノアたちの肩越しの遠くに誰かがいることにふと気が付いた。
(あれ……)
だいぶ離れたところだ。墓地の一番端の方にいて、しかもなぜか輪郭がぼんやりとしているのではっきりとは見えない。だが、それはユルゲンよりも大きな背。背中からのぞく大きな羽。前髪の生え際から生えている二本の螺旋状の角。
(あ……ああっ!)
無音のまま、紀更の瞳孔が勢いよく開いた。
――残念やけど、ヒューマともメヒュラともちゃうんよ。
――プレカ、や。不思議やなぁ言われて、不思議やなぁ思うたら、言うてみ。
修了試験、合格発表の次の日。
ペレス家でのパーティーの準備のために操言院へ行く、その前。
王都の共同墓地に眠る弟、俊の墓前に合格を報告したあの時。
――それは、不思議な本。とても、不思議。君みたい。
――あのね、のあとに、何が続く?
――あつっ!
――紀更っ!?
――あ、す、すみません。平気です。本が急に熱くなって。
王都中央図書館。リカルドに見せられた『空白の物語Ⅰ』。
リカルドいわく、不思議な本。そして、紀更も不思議な操言士。
不思議だなと言われて、紀更も本のことを不思議だなと思った。
そして、口にしたのだ。
「プレカ……っ」
紀更の手の中で、『空白の物語Ⅱ』が一瞬だけ熱くなる。今度は落としてしまいそうなほどの熱さではなかったが、その熱はよりいっそう、紀更に鮮明な記憶をリフレインさせた。
――さっき、文字が出てきた。何か、言った?
「私、忘れてた」
「紀更様?」
ぽつりと呟いた紀更を不思議に思い、紅雷は紀更の横顔をのぞき込んだ。
(忘れてた……墓地で会った不思議な人……あの人に言われた言葉を言ったら本が……。でも、王都の中央図書館でも今の今までも、そのことを忘れてた……どうして……どうして!?)
紀更は手に持った本をちらっと見やる。それからもう一度エレノアたちの向こうに視線をやったが、角と羽の生えた不思議な人物の姿はすでになかった。
「紀更様、どうかしましたか」
ぼうっとしているかと思ったら挙動不審になった紀更を心配し、紅雷は紀更に声をかける。しかしその紅雷に返事をすることもなく、紀更はふと気付いて慌てて『空白の物語Ⅱ』のページをめくった。
初代操言士は闇の神様ヤオディミスから力を授かった。
初代言従士は光の神様カオディリヒスから力を授かった。
二人は愛し合い、やがて反転が起きた。
闇の力は言従士に、光の力は操言士に。
それぞれの魂に宿った力は二人の死後、魂ごと天に昇る。
そしていつかまた、地に降りてくる。
もう一度出逢うために。もう一度愛し合うために。
(やっぱり!)
王都中央図書館の時と同じだ。王都の共同墓地にいた謎の人物から教えられた不思議な言葉――「プレカ」という言葉に反応して、『空白の物語』のうしろのページに書かれていなかったはずの文字が浮かび上がっていた。
(この本は何!? プレカってなんなの!? あの人は誰!? ロゴイエマレスさんはいったい何者なの……それに……っ)
初代操言士が闇の神様ヤオディミスから力を授かった?
初代言従士が光の神様カオディリヒスから力を授かった?
二人は愛し合い、反転が起きた?
それは事実なのだろうか。実際に過去に起きた出来事なのだろうか。
(そんな話、知らない……聞いたことがない)
初代操言士と初代言従士、そして神様の間にかつていったい何が起きたというのか。
(これは……この本は誰に……私に何を伝えたいの!?)
「ギィィイイイ!」
「カルーテの群れだ!」
その時、カルディッシュの騎士の一人が大声を上げた。全員に緊張が走り、騎士が指差す方向に目を向ける。ンディフ墓地の奥、森を背にした木々の間からカルーテが一匹、二匹、三匹と次々にこちらへ向かってくるのが見えた。
「戦闘態勢! エレノアさんたちはカルーテ殲滅に専念! もっと来るはずです!」
王黎がいち早く叫び、全員に指示を出す。紀更は『空白の物語Ⅱ』を急いでショルダーバッグにしまい込んだ。
エレノアたちのパーティはエレノアを含めて操言士が三人、そして騎士は六人だ。騎士は前衛四人、後衛二人に分かれて、襲ってくる怪魔を迎え撃つ態勢に入った。
「ピァァァ!」
しかし、別方向からカルーテとは別の唸り声が消えてくる。怪魔クフヴェとドサバトが、紀更たちを左右から挟み撃ちするように出現していた。
「どうして怪魔が!」
「油断するな、ピラーオルドだ! 怪魔を操るピラーオルドがどこかにいるはずだ!」
エレノアが叫び、ユルゲンが声を張り上げた。
こちらの動揺などお構いなしに、クフヴェが複数の蔓で攻撃してくる。ドサバトも、大量の泥水を噴射して紀更たちの動きをにぶらせようとしてくる。それらを避けながらルーカス、紅雷、ユルゲンは左右に散った。
「王黎殿、守りは任せて、あなたは自身の防御を!」
エリックが王黎の前に立つ。王黎は頷くとあとのことはすべて周りに任せて、一気に集中した。小さな声で、だがはっきりと一言一言正確に言葉を紡ぎ、練り始める。
中衛に立つ紀更も、師匠と同じく操言の力を使った。
【地を蹴る足、己が身体を支える足、敵を屠る腕、己が身を守る腕、そのすべての筋力を強化し、縦にも横にも、より素早く正確に動き得る!】
紀更から操言の加護を受けた紅雷が、いち早く飛び出す。戦闘開始時点ですぐにミズイヌ型になっていた紅雷は、地面を蹴ってドサバトの頭上に飛び、ひょうたん型のその身体に鋭い歯を突き立てた。斃すにはいたらなかったが、ダメージを受けて苦しくなったドサバトが自分の身体の上に乗る紅雷を振り落とそうと暴れ回る。しかし紅雷は華麗に飛び上がると、ドサバトから離れて距離をとった。
「ハァッ!」
ルーカスは樹木のように動けないクフヴェに素早く近付き、攻撃してくる蔓を長剣で切り落としていく。だが紅雷と同じく致命傷にはいたらない。怪魔を屠るには、やはり操言の力の加護が必要だ。
【清らかなる純白の輝きよ、邪なる悪を滅し屠る神気となりて、ルーカスさん、紅雷、ユルゲンさんの三人に聖なる力を授け給え!】
紀更は三人に、怪魔を滅するための操言の力を付与した。
(だめ、もっと具体的に!)
しかし自分のその言葉と操言の力に満足することなく、もっと強く戦えるように自身を叱咤する。
樹木を模したクフヴェは、攻撃した瞬間にその傷口が燃え広がればいい。蜘蛛のようなドサバトは、切断されたらその全身を巡る血管と神経もすべて切れて、生命機能を失えばいい。ルーカスは長剣でたたき切る。紅雷なら歯や爪で突き刺す。ユルゲンの両刀も相手を真っ二つに斬る。彼らの持つ武器にもっと具体的で効果のある操言の加護を与えなければ。紀更は休むことなく、言葉を紡いで操言の力を使い続けた。
「ハッ!」
「シャーッ」
「てぃやああっ」
「うらぁっ!」
「ピァッ」
紀更から追加の加護を受けたルーカスの攻撃でクフヴェが、同じく紅雷とユルゲンの攻撃でドサバトが、あっという間に斃される。
「見つけたぜ、黒髪ぃ!」
その時、霧散していくクフヴェとドサバトの黒い靄の向こうから黒く大きな塊が飛び出してきて、ユルゲンに襲い掛かった。
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