どん底韋駄天這い上がれ! ー立教大学軌跡の四年間ー

七部(ななべ)

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第一章 産声

第十二話 万歳三笑

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紅葉の木々も枯れるほどに冬の景色になった12月下旬。そんな12月19、20日に埼玉県城峰山での合宿がある。
『合宿』といえばよっぽどいいだろう。だが狸の皮を剥がすや否や、実際は標高1000mする高地で登り下りする地獄。
なぜそんなに嫌っているかって?別に楽しいじゃないかって?
答えは簡単。高山に酔いやすいからだ。以前、清風高校でも同じように金剛山で高地トレーニングがあった。その時は何にも分かってなかった。今思えば恐ろしいよ。鳥肌が今にも立ちそうだ。
いざ走るとすぐにも吐き気がしてきてね。酸素濃度が薄いから酔うんだ。そこから動けなくなったからという訳で。
そんな合宿まであと1日の12月18日。
五限目、国語。
浜田「おーい。大丈夫?顔色悪いよ?」
「う、うんなんとか。明日が嫌すぎて。」
浜田「酔いやすいんだ。大丈夫かな?」
「まあ、明日がいろんな意味で楽しみだよ。」
浜田「頑張れよ。酔い止めとか買えよな。」

橋野教授「これで今回の授業は終わります。」
これから塾のバイトがあるためそそくさ帰る準備をする。
浜田「お前今日塾のバイトのシフト入ってるでしょ?俺もシフト入ってるから急ぐわ。」
「う、うん。は?え、浜田バイトやってんの?!」
浜田「先週始めたばっか。駅前の居酒屋のさ、『倉吉』ってとこ。」
「まじかよ。ま、まぁ頑張れよ。じゃぁなー」
浜田「お、おん。じゃぁなー。」
さっそうと学校を出て角を曲がる。
銀杏の木があった場所はもうすっかり枯れている。つい前は紅葉で賑わっていたのに。
リュック両手にがっしり握って、走っていく。
(浜田って居酒屋のバイト似合わなそー)
心の中で勝手に偏見を溢す。こういう偏見を溢すのが趣味かも知れない。最低な趣味だけど、最高な趣味。

「横浜、入りまーす。」
岡田塾頭「横浜くんこんばんは。」
「はい。こんばんは。」
小学3年生、小学6年生、中学2年生、そして高校1年生の代を持つ僕。今の時期は小6の中学受験で忙しい。
22時。
「では、お先に失礼しまーす。」
エレベーターに入り、急いでまた走る。
家に着くと晩御飯を食べてすぐ準備。今日は何もかもがもが急いでて疲れた日だったな。全く。
ベットの上で二口、ぽつり。

12月19日。
6時に目を覚ます。
また急いで池袋駅に着く。
6時45分。集合時刻が7時なので余裕もって到着。高谷が柱に乗り掛かっている。
「高谷、大丈夫?」
高谷「う、ううん。高地トレーニング嫌なんだよ。高校の時に痛い目あってさ。」
「全くもって同感。我が同志よ。共に戦うぞ。」
高谷「御意。」
軍事演習気取りをしながらも本当はすごい悪寒がする。心は全て分かっている。
7時。全員揃った。このまま電車を使って皆野駅へ行く。
8時45分。皆野駅到着。本当なら、バス使って城峰山へ向かうが、走って向かう。実に山頂まで3、4時間かかる。通行者にとっても邪魔だろ。
1歩、2歩と高くなっていく標高。顔色がどんどん悪くなっていく。まだ気持ち悪くはないが。
高谷「やばい。やばいよ横浜。」
「やばいね。高谷。」
語彙が失っているが反高地合宿連盟はやばいだけで分かる、意味が。
埼玉に腫れる1つの山。だんだんと山頂が御来光。
山頂到着。酔いそう、今にも酔いそう、嗚呼酔いそう。
浜田「お前ら大丈夫?これから昼飯ここで食べて走るよ?」
「やばいーーー」
浜田「やばいじゃ分からんって。」
仏のように客観的な御意見。
山頂の飯処でとろろうどんをゆっくり咀嚼していく。ゆっくりしていかないと、まじで吐いちゃうよ。
高谷「これ食べていいのかな?」
「食べないと逆に吐いちゃうよ。ここは食べるべし。」
高谷「ラジャー。」
昼食を食べ終え、さっそく山を下っていく。酸素濃度が上昇と降下を繰り返して、僕の肺を困惑させる。
でも、もう高校生のようなあんな苦痛で終えたくはない。どうせなら、笑って終わりたい。
高谷「ちょっときついかも。」
「僕もきついけどさ、笑って終わりたいなーどうせなら。笑えるなら、余裕があるということだし、克服できたということだ。やっぱり笑って終わりたい。」
高谷「そうか、笑うって確かに健康にいいともいうよな。笑うねぇ。」
「万歳三笑。ばんざーい!」
高谷「ばんざーい。」
本馬「うるさいー。」
「はーい。」
前方からぴしゃりと一声。でも不思議と何かがほぐれて、消えてった感じがする。
こうして冬の城峰山を攻略していく。道中には冬桜が一輪咲いていた気がした。あの桜も笑っているのだろうか。
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