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ダリアの少女改
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明るさに慣れない目で白いものを見るときは目が痛くなる。私はそのような学説をいつかに読んだことがある。
そう遠い昔に違いない、おぼろげに映る記憶からは私の幼い頃の姿が想像された。
そう美しくなく、みすぼらしい格好をしていた幼年時代の私こそ隠す必要がある黒い歴史のように思えた。
しかし、私のそのみすぼらしい幼年時代を説明すべく人、証人は一切おらず私が口さえ開かなければそれの説が立証されることは無かった。
落ち着くと、人形の生き写しのような少女が目の前に座っていた。
安直な例えではあるが赤い野に咲く、まだ瑞々しい、新しい葉をちぎって柔らかい水が垂れたような、しかしそこで生命は永遠のものとなり消えてしまう。そんな印象を少女から感じた。
澄明に磨かれた美しい白銀の、飴細工のような髪の毛。
真っ赤な蝦夷菊を垂らしたような口から覗くのはミロのヴィーナスのように白い美しい歯だった。美しく全体の彩りに対しピンポイントに冷たさを感じられた。
美しさを感じたまま息を飲むと、少女がが手に持つ手紙が目に入った。
ことにそれは、周りの美しさを害するのような、私の幼年時代を彷彿とさせるものだった。
しかしその手紙とは打って変わって少女の手はうす桃いろに燃えていて、はたと一瞬ダリアを抱えているようにも見えた。
否、ようにではなくダリアが少女から生えていたのだった。
一瞬慄いたもののすぐさま姿勢を直し、少女の正面にうち入った。
まっ白い肌から見えるダリアは、少女のまるで生気のない肌に彩りを加えているようで、よく西洋がで描かれる頬の血色のように見えた。それは美しい生命の尾っぽだった。
人形のような昇叙は片目をゆっくりと開く、想像してた青色のめのとは違く、日本人らしいまっ黒の闇めいた目がひっそりと鎮座していた。
いつものように目を見ているはずなのだが、現とはうって変わって、どこか空白を通り越したような倦怠感、虚無感つまり無。
命があるように見えなかった。
彼女は「死」では無いだろうか?
いや、これはシュレディンガーの猫のようなものだ。
はて、手紙はどうだろうか?
手紙だけは少女とどうも違うらしい。静かに波打っていた。不整脈だろうか、その波打ちは緩んだり引き攣ったりする。
どこか遠い、記憶の中に潜む.....。
そう、並べる言葉が正しいのならば幼年の頃に母の、母に書いた気味の悪い。
牘。箋。緘。柬。牋。翰。鯉。
風が肌に昇ってくる。
脳内の並は潮騒を立てて唸り出す。
少女は手紙を当て付ける。
僕はそれを受け取る。
さて、ここはどこでしょうか。
気づいたら丘の上で寝ていました。
足の下ではカタンカタンと列車が走っていました。
そう遠い昔に違いない、おぼろげに映る記憶からは私の幼い頃の姿が想像された。
そう美しくなく、みすぼらしい格好をしていた幼年時代の私こそ隠す必要がある黒い歴史のように思えた。
しかし、私のそのみすぼらしい幼年時代を説明すべく人、証人は一切おらず私が口さえ開かなければそれの説が立証されることは無かった。
落ち着くと、人形の生き写しのような少女が目の前に座っていた。
安直な例えではあるが赤い野に咲く、まだ瑞々しい、新しい葉をちぎって柔らかい水が垂れたような、しかしそこで生命は永遠のものとなり消えてしまう。そんな印象を少女から感じた。
澄明に磨かれた美しい白銀の、飴細工のような髪の毛。
真っ赤な蝦夷菊を垂らしたような口から覗くのはミロのヴィーナスのように白い美しい歯だった。美しく全体の彩りに対しピンポイントに冷たさを感じられた。
美しさを感じたまま息を飲むと、少女がが手に持つ手紙が目に入った。
ことにそれは、周りの美しさを害するのような、私の幼年時代を彷彿とさせるものだった。
しかしその手紙とは打って変わって少女の手はうす桃いろに燃えていて、はたと一瞬ダリアを抱えているようにも見えた。
否、ようにではなくダリアが少女から生えていたのだった。
一瞬慄いたもののすぐさま姿勢を直し、少女の正面にうち入った。
まっ白い肌から見えるダリアは、少女のまるで生気のない肌に彩りを加えているようで、よく西洋がで描かれる頬の血色のように見えた。それは美しい生命の尾っぽだった。
人形のような昇叙は片目をゆっくりと開く、想像してた青色のめのとは違く、日本人らしいまっ黒の闇めいた目がひっそりと鎮座していた。
いつものように目を見ているはずなのだが、現とはうって変わって、どこか空白を通り越したような倦怠感、虚無感つまり無。
命があるように見えなかった。
彼女は「死」では無いだろうか?
いや、これはシュレディンガーの猫のようなものだ。
はて、手紙はどうだろうか?
手紙だけは少女とどうも違うらしい。静かに波打っていた。不整脈だろうか、その波打ちは緩んだり引き攣ったりする。
どこか遠い、記憶の中に潜む.....。
そう、並べる言葉が正しいのならば幼年の頃に母の、母に書いた気味の悪い。
牘。箋。緘。柬。牋。翰。鯉。
風が肌に昇ってくる。
脳内の並は潮騒を立てて唸り出す。
少女は手紙を当て付ける。
僕はそれを受け取る。
さて、ここはどこでしょうか。
気づいたら丘の上で寝ていました。
足の下ではカタンカタンと列車が走っていました。
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