彼の愛に堕ちて溺れて

螢日ユタ

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episode3

1

あの運命的な出逢いから約二週間が経った金曜日の夜、私はいつも通り仕事を終えて帰宅の途に着いた。


今日も、連絡無かったな……。


あの翌日の昼間、家まで送ってくれた夏輝は去り際に「俺から連絡するから、待っててね」と言っていた。


連絡するという言葉は嬉しかったけどそれって要は私からは連絡出来ないということ。


いつ頃連絡をくれるのかドキドキしつつも心の中は常にモヤモヤでいっぱいだし、こうしている間にも夏輝は誰かと一緒に過ごしているのかと思うと、辛く悲しくなった。


寝る支度を整えてベッドの上で寛いでいると、スマホの着信音が鳴り響く。


夏輝からかと思ってよく確認もしないで電話に出ると、


『――未來、今平気?』


電話の相手は別れた元カレだった。


「……何よ、何か用?」


一気にテンションが下がった私はこうしている間にも夏輝からの連絡が来るのではと気が気じゃなくて、一刻も早く電話を切りたいと思ってしまう。


『いやさ、この前は酷いことしたなって思って……』

「別に、もういいよ、気にしてないし。新しい彼女とお幸せに」

『いや、あのときは俺、どうかしてた……あのあとよく考えて、やっぱり俺は未來が良いって……思ったんだよ』

「はあ?」


何の話かと思いきや、自分から人のこと振っておいて、やっぱりヨリを戻したいとか……自分勝手にも程がある。


「悪いけど、私はもうアンタなんかとやり直すつもり無いから。もう二度と掛けてこないで」


頭に来た私は一方的に電話を切るとスマートフォンを放り投げた。


「何なのよ、本当」


また掛かってきても面倒だと着信拒否に設定しようと放り投げたスマートフォンを再度手に取った、そのとき――部屋にはインターホンが鳴り響く。


時刻は午後10時過ぎ。


こんな時間に訪ねて来る相手は一体? と思いながらも私は密かに期待した。


夏輝だったらいいのにと。


期待と不安が入り混じる中、ドアホンで訪問相手を確認すると――画面の向こうにはスーツ姿の夏輝が立っていた。

 
「夏輝!」


モニター越しで会話をするより、一秒でも早く夏輝と顔を合わせたい、触れたいと思った私は勢いよく玄関まで駆けていくとドアを開けながら夏輝の名前を呼んだ。


「未來ちゃん、駄目だよ、こんな時間に確認もしないで玄関開けちゃ」

「え? あ、ううん、モニター越しで確認はしたよ。そしたら夏輝が映ってたから……嬉しくて、つい……」


確認した上で玄関を開けたことを話すと、


「そっか。来訪者が俺だから、急いで来てくれたんだ?」


嬉しそうに笑顔を浮かべながら言葉を続ける夏輝。


「うん、そうだよ……。あれからずっと、毎日……夏輝からの連絡待ってたのに……全然来ないから……淋しかった……」

「ごめんね、ちょっと仕事が忙しくて」

「でも、来てくれたから、嬉しい」

「本当、未來ちゃんは可愛いね。未來ちゃんを前にしたら疲れも吹っ飛ぶや。上がっていい?」

「勿論、どうぞ」

「お邪魔します」


玄関先でのやり取りもそこそこに、夏輝を招き入れた私が先にリビングへ向かおうとすると、ドアと鍵を閉めて靴を脱いだ夏輝が私の腕を掴んできて――


「未來――」

「――っんん、」


夏輝に身体を引き寄せられた刹那、夏輝の手が私の頬に触れたと思ったらそのまま唇を塞がれた。


「……っん、……はぁ、……ッんん」


塞がれて何度か角度を変えながらの軽いキスが続くと、そのまま夏輝の舌が私の咥内へと侵入していき、探るように咥内ナカを舌で刺激され、そのまま私の舌を絡め取ってくる。


暫く舌で咥内を犯されたのち、一旦唇が開放された私は既に力が入らなくなってきていて、その場に崩れ落ちそうになるのを夏輝が支えてくれた。


「……っはぁ、……なつ、……きっ、」

「キスだけで腰抜かして、そんな蕩けた表情かおして、もう期待してんだ?」

「……そんな、こと……っ」

「無いって?」

「…………っ」

「俺はずっと触れたかったよ、未來に」

「!!」

「部屋、行こっか」

「うん」


このまま玄関先でこの行為を続ける訳にはいかないと思ったのか、夏輝が部屋に行こうと口にしたのでそれに頷くと、力の抜けていた私の身体を軽々と抱き上げた彼はそのままリビングへと入って行き、その先にある灯りの消えている寝室へ向かった夏輝は私の身体をベッドへ下ろすとそのまま迫ってきて、再び唇を塞いできた。


「……っん、……ふぁ、……ッんん、」


今度はすぐに舌が割り入れられて、先程よりも強引で激しい口づけになる。


夏輝に触れて、キスしてる。


それだけで私は嬉しくなる。


会えない間、気が気じゃなかった。


夏輝が誰かに触れて、キスをして、抱いているのかと思ったら。


この休みも誰かと、もしかしたら本命の子と過ごすのかと思った。


でも、他でもない私の元へ来てくれた。


今日は泊まっていくのかな? 明日も一日居られるのかな? 明後日は? ずっと、ずっと一緒に居られたらいいのに。


「未來ちゃん、良い匂いがする」

「――ッ、お風呂、入ったから……」

「まあ、こういう匂いも好きだけど、俺がもっと好きなのは――未來ちゃん自身の匂い、かな?」

「……っ!」

「俺もシャワー浴びたいけど、目の前に未來ちゃんが居るのに抱かないとか無理だから、抱いたあとに入らせてもらおうかな? いいよね?」

「……うん、いいよ。私も夏輝の匂い、好きだから……」


そう言ってギュッと夏輝に抱きつくと、抱きしめ返した夏輝が優しく髪を撫でてくれる。
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