彼の愛に堕ちて溺れて

螢日ユタ

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episode1

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何だか、信じられない。出逢ったばかりの人と、あんなに理性を忘れるくらいのセックス、しちゃうなんて……。


ベッドへ戻り、服を手にしてお風呂場へ向かおうとしていると、


「――どこ行くの?」


目を覚ました夏輝が私の手首を掴み、声を掛けてきた。


「あ、ごめん、起こしちゃった? その、シャワー浴びて来ようかなって」

「ふーん? 俺も風呂入りたいから、一緒に入らない?」

「え!?」

「……駄目?」

「……だ、だって……恥ずかしいし……」

「そんなの、昨日の夜に比べたらどうってことなくない?」

「そ、そうかも、しれないけど……」

「お湯、張ってくるよ」

「あ、夏輝……」


身体を起こした彼は私が「いいよ」と答えていないにも関わらず、下着すら穿かず全裸のままでお風呂場へ向かって行く。


そして、浴槽にお湯を出して戻って来るとベッドに腰掛けた夏輝は「未來ちゃん、おいで?」と手招きをしながら私を呼んだ。
 

夏輝のその言動に私は戸惑う素振りを見せる。


だって、ただ傍に居るだけで済みそうにないから。


なんてことを口にしたりすれば「未來ちゃん、そんなこと考えてるの?」なんて茶化してくるかもしれないから言わないけど。


でも、私が傍に来ないから夏輝は既に何かを勘付いていて、


「もしかして、警戒してる?」

「え?」

「俺が何かしてくるんじゃないかって思ってるんでしょ?」


私の思っていることを言い当ててくる。


「別に、そんなことは……」

「嘘。顔に書いてあるよ? 絶対何かする気だろうって」

「…………」


まあ、否定したところでこんな風に狼狽えて見せればバレるのは当然だと思う。


「来ないなら俺の方から行くよ?」

「……わ、分かった……行く」


結局、断る理由が見つからなかった私は夏輝のすぐ横に腰を下ろしたのだけど、


「――未來、キスしよう?」

「…………、」


やっぱりと言うか何というか、夏輝は頬に手を掛けて来ると「キスしよう?」と聞いてきながら私が答えるよりも先に唇を塞いできた。


もう、全然人の意見聞く気、ないじゃん。


「……っん、……はぁ……」


初めはただ唇を重ね合わせるだけのキスだけど当然そんな軽いものでは済むこともなく、


「ッんん、……っあ、」


舌を割り入れ、更にはブラジャーの上から胸を揉んでくる夏輝。


「……も、う……ダメだって、……」

「いいじゃん。シャワー浴びる前だし、一度だけだから。ね?」

「――ッ」


だから、尋ねているくせに人の答えを聞かないのは何で? なんて思いつつも、私は夏輝に流されていく。


付けたブラジャーを外されて再び露わになった胸。


「っん、……ぁっ、」


首筋に口づけながら執拗に胸を揉んでくるとあっという間に膨らみの中心がプクリと反応して、今度はそこを執拗に指で弄られる。


「……やっ、……あぁっん、」

「気持良いんだ? 本当可愛いな未來は。胸触っただけで俺のもすっかり元気になった。ねぇ未來、口でして?」

「……っ、」


そんな風に言われただけで私の下腹部は疼いていく。


口でとか、正直苦手なんですけど……。


全くしないわけじゃ無いけど、苦手意識がある私は元カレにすらあまりしてあげたことはない。


「未來……駄目?」

「……ん、……」


顎を持ち上げてきて、もう一度キスをした夏輝は少し遠慮がちに同意を求めてくる。


何でだろう……夏輝だと、拒めない……。


コロコロと変わる表情の彼に翻弄されていく私はもう既に彼のことを気に入ってしまっているようで、多分夏輝にお願いされたら何でもしちゃうんだろうなと感じていた。


彼氏でも何でもない、ナンパみたいな出逢い方で会って、ただ一夜を共にしただけの相手なのに……。


「……いいよ、」


恥じらいながら消え入りそうな声で「いいよ」と伝えると、


「ありがとう、未來。本当可愛い。これまで出逢った中で、ダントツに――」

「――っんん、……はぁっ、ん……」


嬉しそうにはにかみ、髪を撫でてくれた夏輝は私を褒めながら再びキスを繰り返してきて、そのキスに酔いしれながらも私は彼のを優しく触っていく。


そして、ベッドから降りた私はそこへ膝立ちになり、浅く腰掛けている夏輝のモノに触れながらそれを口に咥え込んだ。


「――っん、」


気持ち良いのか小さく声を上げた夏輝に興奮した私はもっと彼を気持ち良くさせてあげたくなって、咥え込んだそれを舌で優しく刺激していく。


こんなこと普段なら頼まれたって拒むのに、自らそれをしてしまうなんてどうかしてる。


「……すげぇ、気持ち良い……」


吐息混じりでどこか余裕のない声で「気持ち良い」と口にする夏輝。


何だかすごく愛おしく感じてしまって、恥ずかしかったはずなのにどんどん大胆になっていく。


手を動かしながら少し速めに刺激してあげると、夏輝は更に反応を見せてくれる。


「……っ、未來ちゃんさ、……すげぇ上手くない?」

「……そう、かな?」


問い掛けられて一度咥えるのを止めた私は、聞かれたことを正直に答えていく。


「元カレにもやってあげてたとか?」

「……ううん、あんまり……口でするの、苦手だったから」

「ふーん? でも今はしてくれるんだ?」

「……夏輝だから、だよ」


恥ずかしいけど今更だと上目遣いでそう答えた私に夏輝は、


「――ったく、何でそんなに可愛いかな? 今そんなこと言われたら、歯止め効かなくなりそうなんだけど」

「――ッんん」


自身のモノを掴むともう片方の手で私の頭に触れてくると、それを強引に口の中へ捩じ込んできた。
 

「――っんん、……」


一気に喉奥まで届きそうなくらいに頭を押さえつけてくる夏輝。


苦しいはずなのに、おかしいのかな? それすらも快感に感じてしまう自分がいる。


こんな風に強引に、まるでモノみたいに扱われているような感覚。


これまでだったら絶対に嫌だって思ったはずなのに、今はもっとされたいなんて思ってしまう。


「――っ、やば……、未來の口の中、……気持良すぎ……っ」


初めこそ夏輝にされるがままだったけれど自分からしてあげたいという思いが込み上げてきて、


夏輝の手が頭から離れて押さえつけられなくなると、今度は私が自ら舐めては吸ってを繰り返していく。


「……っう、……っあ、」


私の動きが気持ち良かったのか夏輝は小さく声を漏らすと、その瞬間私の口内に熱いモノが放たれた。


これまでも口の中に出されたことはあるけれど、この何とも言えない独特の匂いや味が苦手で、行為自体を敬遠しているところがあった。


「……っ、ごめん、未來ちゃん……気持良過ぎて我慢出来なかった――」


あんなに強引にしてきたくせに、こうして謝ってくる辺り夏輝は優しいのだろう。


申し訳無さそうにティッシュを手に取ると、私の口内にあるそれを吐き出すよう促してきたのだけど、


「……、飲んじゃった……」


既にそれを飲み込んでしまった私が夏輝にそう申告すると、


「……マジか……、もうホント、何なの? そんな表情でそんなこと言われて、俺、おかしくなりそうなんだけど?」

「――っ」


持っていたティッシュで私の口元を拭って綺麗にしながら夏輝は言う。


私だって、まさか自分がここまでするなんて思わなかった。


あんなに苦手な行為だったのに、自分から積極的にしちゃうし、挙句飲み込んじゃうなんて。


「あ、やべぇ、風呂のお湯出しっぱなしだ。未來ちゃん、とりあえず風呂入ろ?」

「え……、あ、でも……」


この流れでお風呂なんか一緒に入ったら、間違いなくただでは済まなさそうだと渋ってみたものの、


「――未來、おいで?」


手を差し出され、そんな風に呼ばれてしまうと逆らえない。


結局私はその手を取って、共にお風呂場へ向かって行った。
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