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疑問
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もう一度確認してみると、さっきと同様に何事もなかったかのようにビラ配りをしている。
……ほう、こりゃあいい獲物を見つけた。
俺は周囲の視線を確認し、誰もこちらに興味を持ってないことを確かめてから、また手の甲を当てにいった。
今度は今までのとは違い、しっかり這わせるようにいった。
うっすらと尻の割れ目がわかるくらいに触れ、自分でも少し焦ったが、そのまま通り過ぎる。
振り向くと、今度は首を傾げていた。
……このリアクションはいいな。そそられる。もう少し楽しもう。
つい舌なめずりをしたところで、オッサンがやってきた。
いいタイミングじゃないか。
「井ノ口さん、ちょっといい?」
「はい」
淡々と返事をした女は、一瞬だけちらりとこちらを見た。その目は嫌悪とは違う。疑いといったところか。まだ確信を持てないでいるようだ。
二人はちょうどいい狭さの空きスペースで話し始めた。何を話しているかはわからないが、雇い主なら適当な用事くらいいくらでも作れるだろう。しかも周りに適度に客がいるので、俺が行っても怪しまれない。
俺は狭いスペースだから仕方がないみたいな空気を出しながら、手の甲をぐいぐい押しつけて通り過ぎるのを繰り返した。
かれこれ五回やったあたりで、女はチラシを入れている肩掛けのカバンを尻の辺りに移動させた。
……これはもうこの女はゲームセットだな。こうされちゃもう何もできない。名残惜しいが、もうここからは離れよう。ガードを固めたということは、俺を不審な人物と認識しているということだからな。
去り際にちらりと女を見やったが、女はこちらを見ることは一度もなかった。
・・・
何かしら、あの人……気持ちが悪い。
詩織は、臀部に残る不快な感触に眉を顰めたい気持ちになったが、何とかこらえて接客を続けた。
友人から痴漢という存在の気持ち悪さは聞いていたが、手の甲をぶつけられるだけでここまでとは……。
社長に報告しておこうかと思ったが、何故かできなかった。自信がなかったのだ。
「ただぶつかっただけじゃない?」と言われたら、何と返せばいいかわからない。
……卑怯な人。
心の中で精一杯罵倒してから、詩織は仕事に戻った。
・・・
「さて、次は……」
次のターゲットを携帯を確認すると、視界に見慣れた人物を……いや、尻を発見した。
「高木……」
思わず名前を呟く。
まさかこんな場所で遭遇するとは……他人の為に動くと何かいいことがあるもんだ。
しかもショートパンツを履いてくれている。
俺は一人で頷いて、高木の後をついて歩き始めた。
……ほう、こりゃあいい獲物を見つけた。
俺は周囲の視線を確認し、誰もこちらに興味を持ってないことを確かめてから、また手の甲を当てにいった。
今度は今までのとは違い、しっかり這わせるようにいった。
うっすらと尻の割れ目がわかるくらいに触れ、自分でも少し焦ったが、そのまま通り過ぎる。
振り向くと、今度は首を傾げていた。
……このリアクションはいいな。そそられる。もう少し楽しもう。
つい舌なめずりをしたところで、オッサンがやってきた。
いいタイミングじゃないか。
「井ノ口さん、ちょっといい?」
「はい」
淡々と返事をした女は、一瞬だけちらりとこちらを見た。その目は嫌悪とは違う。疑いといったところか。まだ確信を持てないでいるようだ。
二人はちょうどいい狭さの空きスペースで話し始めた。何を話しているかはわからないが、雇い主なら適当な用事くらいいくらでも作れるだろう。しかも周りに適度に客がいるので、俺が行っても怪しまれない。
俺は狭いスペースだから仕方がないみたいな空気を出しながら、手の甲をぐいぐい押しつけて通り過ぎるのを繰り返した。
かれこれ五回やったあたりで、女はチラシを入れている肩掛けのカバンを尻の辺りに移動させた。
……これはもうこの女はゲームセットだな。こうされちゃもう何もできない。名残惜しいが、もうここからは離れよう。ガードを固めたということは、俺を不審な人物と認識しているということだからな。
去り際にちらりと女を見やったが、女はこちらを見ることは一度もなかった。
・・・
何かしら、あの人……気持ちが悪い。
詩織は、臀部に残る不快な感触に眉を顰めたい気持ちになったが、何とかこらえて接客を続けた。
友人から痴漢という存在の気持ち悪さは聞いていたが、手の甲をぶつけられるだけでここまでとは……。
社長に報告しておこうかと思ったが、何故かできなかった。自信がなかったのだ。
「ただぶつかっただけじゃない?」と言われたら、何と返せばいいかわからない。
……卑怯な人。
心の中で精一杯罵倒してから、詩織は仕事に戻った。
・・・
「さて、次は……」
次のターゲットを携帯を確認すると、視界に見慣れた人物を……いや、尻を発見した。
「高木……」
思わず名前を呟く。
まさかこんな場所で遭遇するとは……他人の為に動くと何かいいことがあるもんだ。
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