19 / 28
ビギナー
しおりを挟む
菅原が思いの外すんなり首を縦に振ったので、さっそく近くのベンチで作戦の打ち合わせをすることにした。
俺の言うことにいちいち素直にうなづく姿は、本当に弟子みたいで少し気分がいい。はたから見ればおぞましい関係性だろうが。
作戦といってもそこまで難しいものはないので、さっそく実践にうつることにした。
まず俺がスーツ店のフロアに足を踏み入れ、店員に話しかけた。どうやらさっきの客は帰ったらしい。
「あの、スーツを一着購入したいのですが……」
店員はさっきのことなどまるで気にしてないような爽やかな笑顔を見せた。やっぱり美人だな。さっき触っといてよかったぜ。できればあと十回くらい触りたい。おっと今は俺のターンじゃなかった。
俺は目で菅原に合図を送った。
奴は若干おろおろしながらスーツ店に足を踏み入れた。学生ならスーツ店はまだ慣れてないだろうな。これも社会勉強だと思ってほしい。
菅原は打ち合わせ通りにさりげなく店員の背後へと移動した。
店員はちらりと菅原に目を向け「いらっしゃいませ」と声をかけ再びこちらを向いた。
俺は適当な会話をしながら、店員の体がなるべくこちらを向くようにして、さらに下に置いてある商品について尋ね、尻を突き出す体勢へと誘導した。よし、さすが俺だ。
そのままさりげなく目で菅原に指示を出すと、菅原はゆっくり移動しながら、店員の尻に手の甲を当てた。だがあれは浅いな。
「あっ、申し訳ございません」
店員は菅原に頭を下げる。これは失敗の中でも特に嫌なものの一つだ。大した成果がなく警戒だけされてしまう。
だが今日は俺がいる。軌道修正は楽だ。
店員に見えないようにハンドサインを出し、菅原をさっきの位置に戻しもう一度店員に話しかける。
そしてもう一度菅原にGOサインを出した。
すると菅原は大きく頷き(やめろ)、もう一度手の甲を店員の尻に滑らせた。今度はちょっと行き過ぎたな。
「あっ……「そういえばベルトなんですけど」あっ、はい。こちらです……」
後ろを振り返りそうな店員にすかさず声をかけ、なんとか誤魔化す。まあ初心者だし、加減ができないのは仕方ないか。
菅原に目をやると、さっきよりも鋭い目つきで店員の尻を見ている。傍から見たら危険人物にしか見えないだろう。俺がいなければどうなっていたことか。いなけりゃそもそもやってないか。
とりあえず一旦別の場所に……おいおい、サイン見てねえのかよ。勝手な真似は……。
そう考えたところで、菅原は手の甲を店員の尻にさっきより明らかに強く擦り付けた。
俺の言うことにいちいち素直にうなづく姿は、本当に弟子みたいで少し気分がいい。はたから見ればおぞましい関係性だろうが。
作戦といってもそこまで難しいものはないので、さっそく実践にうつることにした。
まず俺がスーツ店のフロアに足を踏み入れ、店員に話しかけた。どうやらさっきの客は帰ったらしい。
「あの、スーツを一着購入したいのですが……」
店員はさっきのことなどまるで気にしてないような爽やかな笑顔を見せた。やっぱり美人だな。さっき触っといてよかったぜ。できればあと十回くらい触りたい。おっと今は俺のターンじゃなかった。
俺は目で菅原に合図を送った。
奴は若干おろおろしながらスーツ店に足を踏み入れた。学生ならスーツ店はまだ慣れてないだろうな。これも社会勉強だと思ってほしい。
菅原は打ち合わせ通りにさりげなく店員の背後へと移動した。
店員はちらりと菅原に目を向け「いらっしゃいませ」と声をかけ再びこちらを向いた。
俺は適当な会話をしながら、店員の体がなるべくこちらを向くようにして、さらに下に置いてある商品について尋ね、尻を突き出す体勢へと誘導した。よし、さすが俺だ。
そのままさりげなく目で菅原に指示を出すと、菅原はゆっくり移動しながら、店員の尻に手の甲を当てた。だがあれは浅いな。
「あっ、申し訳ございません」
店員は菅原に頭を下げる。これは失敗の中でも特に嫌なものの一つだ。大した成果がなく警戒だけされてしまう。
だが今日は俺がいる。軌道修正は楽だ。
店員に見えないようにハンドサインを出し、菅原をさっきの位置に戻しもう一度店員に話しかける。
そしてもう一度菅原にGOサインを出した。
すると菅原は大きく頷き(やめろ)、もう一度手の甲を店員の尻に滑らせた。今度はちょっと行き過ぎたな。
「あっ……「そういえばベルトなんですけど」あっ、はい。こちらです……」
後ろを振り返りそうな店員にすかさず声をかけ、なんとか誤魔化す。まあ初心者だし、加減ができないのは仕方ないか。
菅原に目をやると、さっきよりも鋭い目つきで店員の尻を見ている。傍から見たら危険人物にしか見えないだろう。俺がいなければどうなっていたことか。いなけりゃそもそもやってないか。
とりあえず一旦別の場所に……おいおい、サイン見てねえのかよ。勝手な真似は……。
そう考えたところで、菅原は手の甲を店員の尻にさっきより明らかに強く擦り付けた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる