20 / 28
ビギナーズラック
しおりを挟む
こいつ完全に性欲に支配されてやがる……!
最早撫でているようなやり方のせいだろう、店員の肩がビクンと軽く跳ねた。その様子に当の菅原も驚き、一瞬振り向いてから早歩きで向こうの棚の方へと消えた。
「えっ?「あっ!小物類忘れてました!どこにありますか?」あ、ええと……こちらです……」
よかった。どうやら職務を優先してくれたようだ。俺は今度こそ店員の目を盗んで菅原にメールを送り、このフロアを出るように促した。
すると、奴は再び俺の予想を超えてきた。
菅原は何故かさっき消えた方角から、やや足をもつれさせながら歩いてきて、店員の尻を凝視していた。俺のことなど視界に入っていないかのようだ。さっきよりも目はどんよりしている。おいおい、変態を隠しきれてねえぞ。
尻に注がれている熱い視線に気づいたのか、店員が振り返った。
また近づいてくるとは思ってなかったのか、一瞬怯えた表情を見せたものの、菅原をしっかりと睨み返した。
その様子に恐れをなしたのか、菅原は立ち止った。最早ただの不審者であることは疑いようがない。だが俺なら何とかしてやれる。
「あの、どうかされましたか?」
「あ、い、いえ、何も……」
「えっと、ハンカチとかはあっちに置いてあるんですよね?」
「は、はいっ、そうですね。ご案内いたします……」
店員は菅原をちらりと見て俺を別の棚へと案内した。
俺は去り際に菅原を軽く睨み、視線でこの場を離れるよう促した。さすがにもうわかるだろ。
そして俺はスーツを一着とハンカチを購入し、やや疲れ気味の笑顔で見送られ、菅原と連絡を取りながらその場を離れた。
・・・
店内で合流するわけにはいかないので、建物の外にあるベンチで待ち合わせすると、菅原は座ってボーっと自分の手の甲を見つめていた。まだ感触が残っているのだろう。ぶっちゃけ羨ましい。俺もあと一回くらいやっときゃよかった。
おっと、それより先に教師として言うべきことを言わねば。
「さっきのはやばかったな」
「……すいません」
「深追いしすぎだああいう時こそ頭の中をクールにしなきゃな。俺もたまにやらかすけどな」
「そうなんですね」
「で、どうだった?楽しかったか?」
「……はい、最高でした。ここ数年で」
それはそれでこいつの人生が心配になってくるな。大丈夫か?まじで。本当に。
まあいい。そっちの方は機会があれば学校で聞いてやろう。
「菅原、もしよかったら「やります」……いや、まだ何も言ってないんだが……」
「先生、僕もっとうまくなるよ!初めてやりたいことが見つかったんだ!」
「…………」
ダメだ、こいつ。もう手遅れだ。
最早撫でているようなやり方のせいだろう、店員の肩がビクンと軽く跳ねた。その様子に当の菅原も驚き、一瞬振り向いてから早歩きで向こうの棚の方へと消えた。
「えっ?「あっ!小物類忘れてました!どこにありますか?」あ、ええと……こちらです……」
よかった。どうやら職務を優先してくれたようだ。俺は今度こそ店員の目を盗んで菅原にメールを送り、このフロアを出るように促した。
すると、奴は再び俺の予想を超えてきた。
菅原は何故かさっき消えた方角から、やや足をもつれさせながら歩いてきて、店員の尻を凝視していた。俺のことなど視界に入っていないかのようだ。さっきよりも目はどんよりしている。おいおい、変態を隠しきれてねえぞ。
尻に注がれている熱い視線に気づいたのか、店員が振り返った。
また近づいてくるとは思ってなかったのか、一瞬怯えた表情を見せたものの、菅原をしっかりと睨み返した。
その様子に恐れをなしたのか、菅原は立ち止った。最早ただの不審者であることは疑いようがない。だが俺なら何とかしてやれる。
「あの、どうかされましたか?」
「あ、い、いえ、何も……」
「えっと、ハンカチとかはあっちに置いてあるんですよね?」
「は、はいっ、そうですね。ご案内いたします……」
店員は菅原をちらりと見て俺を別の棚へと案内した。
俺は去り際に菅原を軽く睨み、視線でこの場を離れるよう促した。さすがにもうわかるだろ。
そして俺はスーツを一着とハンカチを購入し、やや疲れ気味の笑顔で見送られ、菅原と連絡を取りながらその場を離れた。
・・・
店内で合流するわけにはいかないので、建物の外にあるベンチで待ち合わせすると、菅原は座ってボーっと自分の手の甲を見つめていた。まだ感触が残っているのだろう。ぶっちゃけ羨ましい。俺もあと一回くらいやっときゃよかった。
おっと、それより先に教師として言うべきことを言わねば。
「さっきのはやばかったな」
「……すいません」
「深追いしすぎだああいう時こそ頭の中をクールにしなきゃな。俺もたまにやらかすけどな」
「そうなんですね」
「で、どうだった?楽しかったか?」
「……はい、最高でした。ここ数年で」
それはそれでこいつの人生が心配になってくるな。大丈夫か?まじで。本当に。
まあいい。そっちの方は機会があれば学校で聞いてやろう。
「菅原、もしよかったら「やります」……いや、まだ何も言ってないんだが……」
「先生、僕もっとうまくなるよ!初めてやりたいことが見つかったんだ!」
「…………」
ダメだ、こいつ。もう手遅れだ。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる