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しおりを挟む「え、あ、本当だ。すみません……長々とお邪魔してしまって……」
「いやいいって!俺も楽しかったし!」
「は、はい……あの、僕も……アイザックさんには会えなかったですが、アイザックさんのお話を色々と聞けてとても楽しかったです!」
「そっか。ならよかったぜ!またいつでも遊びに来いよな!」
「は、はい!ありがとうございます!また絶対に遊びにきます!」
そう言って青年は俺に礼儀正しく頭を下げて家を出て行った。俺はその背中に手を振って見送り、青年の姿が完全に見えなくなってから玄関の扉を閉めて……だらしなく笑った。
「うへへへっ、そっか俺にもファンが……いや史上初の伝説級冒険者になったんだからファンがいても当然だが……ファンか、そっか。ふへへへっ……」
改めて自分にもファンがいた事をしみじみと噛み締めつつ、俺はテーブルの上に散らかった食器を片付けようとした。その時。
コンコン
「ン?なんだ?」
再び鳴ったノックの音に俺は首を傾げる。そして『もしかしてさっき帰ったアイツが戻ってきたのか?』と思った俺は玄関へとまた戻り、ゆっくりと扉を開いた。するとそこには……俺の予想通り、さっき帰っていったはずの青年が佇んでいた。
「おっ、どうした?もしかして忘れ物か?」
「……」
そう俺は尋ねるが、青年はなぜか俺の事をジッと見つめるだけで何も言わない。
(ん?なんだ?なんで何も言わないんだ?っていうかなんかさっきと様子が違うような……?)
先程とはどこか違う青年の雰囲気に俺は少しの違和感を感じた。そしてもう一度青年に声を掛けようとした瞬間。
「へっ、恨むなら父親を恨むんだな……」
青年のその言葉と同時に俺の体は宙に浮いた。いや、ただ浮いたのではない。青年に腹を蹴られた衝撃で体が跳ねたのである。
「ガハッ!?」
(いっ、痛ええええ!?な、なんだ!?なんで俺いま蹴られた!?)
重力に従い、床に転がった俺はズキズキと痛む腹を抑えながら突然の青年の暴挙に動揺する。しかしそんな俺の事など気にも留めず、我が物顔でずかずかと家の中へと入ってきた青年はそのまま痛みに呻く俺の体の上に跨り、そして俺の顎を掴んで下衆な笑いを浮かべて言った。
「へっ、あのクソ野郎に似ず可愛い顔しているじゃねえか。さっきまでお前の両目を抉り出し舌を切り落として嬲り殺しにしてやろうかと思ったが……気が変わった。お前をグチャグチャに犯してから殺してやるよ。きひひひっ!」
「お、犯す……?い、いやいや!なにを言っているんだ!?見て分かるだろう!?俺はれっきとした男だぞ!?いや、そもそもなんでこんなことをするんだ!?お前はアイザックの……俺のファンのはずだろうっ!?」
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