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しおりを挟む(まあ……!なんて可愛らしいのかしら……!……でも、何故かしら?どこかで見た事がある気が……あっ)
シーツの皺を一生懸命伸ばしている鷹の姿に既視感を覚えて首を傾げた時。アンネロッタの脳裏に一年前有耶無耶になってしまった初夜の席でシルバレットがやたらシーツの皺を伸ばしていた光景が思い浮かんだ。その事を思い出したアンネロッタは第六感とも言える直感でハッとある一つの可能性に気付き、半信半疑ながら恐る恐る鷹に問い掛けた。
「あ、あの……もしかして貴方は……シルバレット、様……?」
「ピィ!?」
アンネロッタの問い掛けに反応して鷹は吃驚した様な鳴き声を上げる。まるで人間の言葉を理解しているかの様な鷹の反応にますます疑念を強めたアンネロッタがジーッと鷹を凝視すると鷹は金の瞳を瞬かせジーッとアンネロッタを見つめ返す。
「……」
「……」
一人と一匹の間に奇妙な空気が数秒間流れるが、その空気はアンネロッタの笑い声と共にかき消された。
「……ふっ!ふふふふ!流石に貴方が陛下なわけありませんよね。うふふ、私ったら変な勘違いをしてしまって恥ずかしいですわ……」
『王家の人間には鷹に姿を変えられる者がいる』という言い伝えを聞いた事があるアンネロッタはてっきり目の前にいる鷹がシルバレットが鷹に化けた姿だと思っていた。が、冷静になって考えてみれば人が鷹になるなんて有り得ない話だろう。一瞬でも本気でシルバレットが鷹になってしまったと考えてしまったアンネロッタは自分で自分が恥ずかしくなったが、キョトンとした顔で自分を見上げて来る鷹のつぶらな瞳が可愛くて、可愛くて、ついつい既婚者にあるまじき台詞を口にしてしまった。
「……ねえ、鷹さん。もしよかったら今晩……私と一緒に寝てくれないかしら?」
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