36 / 48
第六章 消えた焔と黙示の頁
第三十六話 プラエトリス・レポート
しおりを挟む
図書塔の最深部。錆びた鎖の錠を解錠すると、扉の内から出た冷気が絡みついた。ユスティナは震える指で〈ライト〉を点す。
禁書庫。外界からの光、月光すらも届かない学園奥深くにある書庫。地中にある割には、湿気もカビの匂いもない。まるで何百年も時間が停止したようだ。
「思ったより……広いな」
「怖がってる場合じゃない。時間がないわ」
中に入ると、石造りの暗い通路にずらっと書棚が並べられていた。それが見えない先まで、迷宮の闇が底なしに広がっていた。
しかし目的のものはすぐに見つかった。壁面に彫られた浮き彫り、例の〈杖に蛇が絡まる〉《OA》のシンボルと同じものが描かれた、羊皮紙の束がそこにはあった。ここに訪れる者がまず最初に閲覧するのだろう。他の書物と異なり、何度も触れられて年季が入っていた。
《プラエトリス・レポート》。一番上に乗っている紙には確かにそう書かれていた。
「学園長が言っていたものはこれだな」
「プラエトリス、初代学園長の名前だわ」
束を開いた。墨色のインクは褪せながらも、読む者の理性を試すように艶めく。
「全部で十二枚。欠落はなさそうね」
「重要そうな情報は私が複写する」
禁書など知ったことではない。一枚目の扉絵に添えられた警句をレティシアは読み上げた。
〝汝等この先を読むもの、人としての望みを一切棄てよ。
我々の世界は、四つの超越的存在による力の均衡によって支配されている〟
四黯の災禍
▽ 第一《黒猫》…魔法力源/欺瞞者
▽ 第二《狂い火》…破壊の化身/自滅因子
▽ 第三《悪意の均衡》…争いの抑制者
▽ 第四《身喰らう蛇》…精神侵蝕連鎖/世界の終焉
魔法体系
▽ 魔法とは《黒猫》が持つ運命を操る能力の一部を〝貸与〟された力である。
▽ 魔法の行使者は、《黒猫》の奇跡の権能を世界にもたらす仲介をしている
だけに過ぎない。すなわち魔法の使い手は「魔法使い」ではない。
「魔法〝遣い〟」である。
《OA》創設理由
▽ 目的:四黯の災禍の封印。および超越者の支配からの人類の開放。
レティシアは、文字を追うほど心臓が締め付けられる思いだった。紙を強く握り過ぎた指が、白くなるのを感じた。
「魔法は……元から私たちのものじゃなかった……?」
声が震えた。瞳が揺れ、誇り高い肩がわずかに落ちる。これまでアンティクア家の名に恥じぬよう鍛錬してきた日々は、全て偽りだったというのだろうか?
「アルの炎も借り物の力? それにしてはあまりにも私達とは異質だ」
《黒猫》の頁の隅、走り書きされた赤インクが目に刺さる。
――《黒猫》は選ばせる。いずれかの超越者の足元に屈するか、戦うか。
彼らの力の均衡が崩れた時、世界は大きく変えられるだろう。
レティシアの脳裏に、緋色に燃えるアルヴィナの髪が揺れた。ドラゴンに執着する彼女が操る炎とは、つまり《狂い火》だ。それも《黒猫》の誘導によって選ばされた。
「あたし達は与えられた偽物の力で、別の化け物との力比べのために戦わさせられてる。こんなの井の中の蛙――」
否、それよりもひどい。涙に歪むレティシアの視界に、一枚のレポートの文字が目に留まる。
〝私の生涯を賭けても、奴らから人類の開放…直接的脅威である《身喰らう蛇》の討伐にすらも至れなかった。これを読む未来の同志たちよ、どうかこの意志を継いで欲しい。狭い箱庭の中で、超越者の意のままになるしかない人類を開放してくれ〟
無念の末だったらしい、プラエトリス・アズライトの深く抉られた文字が綴られている。そしてその下に、このレポートと意志を伝えてきたのであろう、数々の魔法遣いたちの名前が書き加えられていた。
レティシアの胸を掻きむしるようなこの気持ちを、先人達も同じように抱いて、そして去っていったのだ。
「アルを《OA》が恐れる理由は《狂い火》だ。破壊衝動が押さえられている今、アルの力に利用する価値があると示せれば道はある」
ユスティナが冷静に結論を導く。
「あんたそれ……結局アルに自由なんかないじゃない」
「後で何とでも考える。とにかく筋は通った。他にいい案があったら是非聞かせてくれ」
「……ないわ。アルが生き残ることをまずは優先するのね」
ユスティナは頷き、拳をレティシアの方にそっと向けた。
「なにそれ?」
「気持ちを合わせる時、仲間はこうするんだろ?」」
いつもなら自分が主導するような所作に、レティシアは目を瞬かせ──すぐに笑う。
「うん!やってやるわよ」
二つの拳が触れ、ぱちりと赤い火花が弾けた。温かい痛みが掌に残り、二人の覚悟が同じ熱量で並んだ。
執行猶予の残り十六時間。焦げ付いた想いを払い、二人は地上へと戻る。
◆用語説明
四黯の災禍
この星に直接的脅威をもたらす超越種の四体をプラエトリス・アズライトが名付けた名称。後に、超越的存在は他にもいることが判明し、彼らの名称をまとめて《RSS》と呼ぶようになった。
《黒猫》
魔法遣いになる人間を選別し、その力を貸与する《RSS》。「魔法」と称されている運命への介入とは本来は彼の能力であり、魔法遣いは間接的にその権能を間借りしているに過ぎません。このことから、《黒猫》は神羅万象の運命を支配している、運命の神といっても過言ではないでしょう。黒い猫の姿で現れる実体が、彼の本体なのか、人と接触するための仲立ちなのかは判明していません。人類が観測可能なのが黒猫のみであるため、本来の神格も含めて「《黒猫》」とここでは呼びます。
《黒猫》が魔法遣いを作り出しているのは誰の目にも明らかですが、その理由や意図――そもそも彼に意図があるのか――は何一つわかっていません。しかしながら、人類が生存競争を勝ち残り生存圏を広げてこられた背景には「魔法」無しには成しえなかった以上、現状を受け入れるしか選択肢はありません。願わくば、《黒猫》が世界に害意を抱いていないことを祈るばかりです。
《狂い火》
魔法遣いが憤怒と破壊衝動によって制御を失った状態を指します。その身も含めすべてを焼き尽くさんとし、もとの人格や理性は完全に失われています。《狂い火》となった魔法遣いを治療できた事例は存在しません。制御不能となった魔法がもたらす被害は大災害級になると予想され、発覚次第直ちに《OAG》によって殺処分する必要があります。
《OA》から発見されず「学園」に収容できなかった魔法遣いが《狂い火》となる確率は7割を超えると統計が出ており、早急な発見こそが《狂い火》による被害抑止に有効といえます。
《悪意の均衡(アクイリブリウム・ネファス)》
人類の歴史研究者の共通見解として、まだ原始的な生活をしていた人間の祖先においては人間同士の殺し合いやコミュニティ同士での戦闘が絶えなかったといわれています。その証拠として、遺跡から発掘された人骨の中には明らかに武器で殺傷された傷跡のある個体が確認されています。当時は人間同士で憎しみあうのが自然な行為だったと考えられます。
変化があったのは「魔物」が歴史に登場してからで、《狩人》と思わしき怪物が描かれた壁画が登場する時代以降、人類同士の戦争が起こった痕跡は確認されていません。
このことから《OA》は、人類をはじめとする知的生命体から悪意(恨み、妬み)を吸収し、魔物へと変換する《RSS》の存在が関与しているという説を、最も有力な仮説としています。皮肉なことにも人類は魔物の脅威に怯えながらも、その魔物によって均衡が守られているのかもしれません。
禁書庫。外界からの光、月光すらも届かない学園奥深くにある書庫。地中にある割には、湿気もカビの匂いもない。まるで何百年も時間が停止したようだ。
「思ったより……広いな」
「怖がってる場合じゃない。時間がないわ」
中に入ると、石造りの暗い通路にずらっと書棚が並べられていた。それが見えない先まで、迷宮の闇が底なしに広がっていた。
しかし目的のものはすぐに見つかった。壁面に彫られた浮き彫り、例の〈杖に蛇が絡まる〉《OA》のシンボルと同じものが描かれた、羊皮紙の束がそこにはあった。ここに訪れる者がまず最初に閲覧するのだろう。他の書物と異なり、何度も触れられて年季が入っていた。
《プラエトリス・レポート》。一番上に乗っている紙には確かにそう書かれていた。
「学園長が言っていたものはこれだな」
「プラエトリス、初代学園長の名前だわ」
束を開いた。墨色のインクは褪せながらも、読む者の理性を試すように艶めく。
「全部で十二枚。欠落はなさそうね」
「重要そうな情報は私が複写する」
禁書など知ったことではない。一枚目の扉絵に添えられた警句をレティシアは読み上げた。
〝汝等この先を読むもの、人としての望みを一切棄てよ。
我々の世界は、四つの超越的存在による力の均衡によって支配されている〟
四黯の災禍
▽ 第一《黒猫》…魔法力源/欺瞞者
▽ 第二《狂い火》…破壊の化身/自滅因子
▽ 第三《悪意の均衡》…争いの抑制者
▽ 第四《身喰らう蛇》…精神侵蝕連鎖/世界の終焉
魔法体系
▽ 魔法とは《黒猫》が持つ運命を操る能力の一部を〝貸与〟された力である。
▽ 魔法の行使者は、《黒猫》の奇跡の権能を世界にもたらす仲介をしている
だけに過ぎない。すなわち魔法の使い手は「魔法使い」ではない。
「魔法〝遣い〟」である。
《OA》創設理由
▽ 目的:四黯の災禍の封印。および超越者の支配からの人類の開放。
レティシアは、文字を追うほど心臓が締め付けられる思いだった。紙を強く握り過ぎた指が、白くなるのを感じた。
「魔法は……元から私たちのものじゃなかった……?」
声が震えた。瞳が揺れ、誇り高い肩がわずかに落ちる。これまでアンティクア家の名に恥じぬよう鍛錬してきた日々は、全て偽りだったというのだろうか?
「アルの炎も借り物の力? それにしてはあまりにも私達とは異質だ」
《黒猫》の頁の隅、走り書きされた赤インクが目に刺さる。
――《黒猫》は選ばせる。いずれかの超越者の足元に屈するか、戦うか。
彼らの力の均衡が崩れた時、世界は大きく変えられるだろう。
レティシアの脳裏に、緋色に燃えるアルヴィナの髪が揺れた。ドラゴンに執着する彼女が操る炎とは、つまり《狂い火》だ。それも《黒猫》の誘導によって選ばされた。
「あたし達は与えられた偽物の力で、別の化け物との力比べのために戦わさせられてる。こんなの井の中の蛙――」
否、それよりもひどい。涙に歪むレティシアの視界に、一枚のレポートの文字が目に留まる。
〝私の生涯を賭けても、奴らから人類の開放…直接的脅威である《身喰らう蛇》の討伐にすらも至れなかった。これを読む未来の同志たちよ、どうかこの意志を継いで欲しい。狭い箱庭の中で、超越者の意のままになるしかない人類を開放してくれ〟
無念の末だったらしい、プラエトリス・アズライトの深く抉られた文字が綴られている。そしてその下に、このレポートと意志を伝えてきたのであろう、数々の魔法遣いたちの名前が書き加えられていた。
レティシアの胸を掻きむしるようなこの気持ちを、先人達も同じように抱いて、そして去っていったのだ。
「アルを《OA》が恐れる理由は《狂い火》だ。破壊衝動が押さえられている今、アルの力に利用する価値があると示せれば道はある」
ユスティナが冷静に結論を導く。
「あんたそれ……結局アルに自由なんかないじゃない」
「後で何とでも考える。とにかく筋は通った。他にいい案があったら是非聞かせてくれ」
「……ないわ。アルが生き残ることをまずは優先するのね」
ユスティナは頷き、拳をレティシアの方にそっと向けた。
「なにそれ?」
「気持ちを合わせる時、仲間はこうするんだろ?」」
いつもなら自分が主導するような所作に、レティシアは目を瞬かせ──すぐに笑う。
「うん!やってやるわよ」
二つの拳が触れ、ぱちりと赤い火花が弾けた。温かい痛みが掌に残り、二人の覚悟が同じ熱量で並んだ。
執行猶予の残り十六時間。焦げ付いた想いを払い、二人は地上へと戻る。
◆用語説明
四黯の災禍
この星に直接的脅威をもたらす超越種の四体をプラエトリス・アズライトが名付けた名称。後に、超越的存在は他にもいることが判明し、彼らの名称をまとめて《RSS》と呼ぶようになった。
《黒猫》
魔法遣いになる人間を選別し、その力を貸与する《RSS》。「魔法」と称されている運命への介入とは本来は彼の能力であり、魔法遣いは間接的にその権能を間借りしているに過ぎません。このことから、《黒猫》は神羅万象の運命を支配している、運命の神といっても過言ではないでしょう。黒い猫の姿で現れる実体が、彼の本体なのか、人と接触するための仲立ちなのかは判明していません。人類が観測可能なのが黒猫のみであるため、本来の神格も含めて「《黒猫》」とここでは呼びます。
《黒猫》が魔法遣いを作り出しているのは誰の目にも明らかですが、その理由や意図――そもそも彼に意図があるのか――は何一つわかっていません。しかしながら、人類が生存競争を勝ち残り生存圏を広げてこられた背景には「魔法」無しには成しえなかった以上、現状を受け入れるしか選択肢はありません。願わくば、《黒猫》が世界に害意を抱いていないことを祈るばかりです。
《狂い火》
魔法遣いが憤怒と破壊衝動によって制御を失った状態を指します。その身も含めすべてを焼き尽くさんとし、もとの人格や理性は完全に失われています。《狂い火》となった魔法遣いを治療できた事例は存在しません。制御不能となった魔法がもたらす被害は大災害級になると予想され、発覚次第直ちに《OAG》によって殺処分する必要があります。
《OA》から発見されず「学園」に収容できなかった魔法遣いが《狂い火》となる確率は7割を超えると統計が出ており、早急な発見こそが《狂い火》による被害抑止に有効といえます。
《悪意の均衡(アクイリブリウム・ネファス)》
人類の歴史研究者の共通見解として、まだ原始的な生活をしていた人間の祖先においては人間同士の殺し合いやコミュニティ同士での戦闘が絶えなかったといわれています。その証拠として、遺跡から発掘された人骨の中には明らかに武器で殺傷された傷跡のある個体が確認されています。当時は人間同士で憎しみあうのが自然な行為だったと考えられます。
変化があったのは「魔物」が歴史に登場してからで、《狩人》と思わしき怪物が描かれた壁画が登場する時代以降、人類同士の戦争が起こった痕跡は確認されていません。
このことから《OA》は、人類をはじめとする知的生命体から悪意(恨み、妬み)を吸収し、魔物へと変換する《RSS》の存在が関与しているという説を、最も有力な仮説としています。皮肉なことにも人類は魔物の脅威に怯えながらも、その魔物によって均衡が守られているのかもしれません。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる