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最終章 緋色の魔法遣い
第四十一話 メテオリート
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レティシアとユスティナは、はじめて見るその中年の男の姿にたじろいだ。学園の教師や研究者をしている魔法遣いが持つ、どこか子供のような無邪気さとは異なる雰囲気。苦悩を抱えてきた大人がそこにいた。
「カシウス、魔法遣いではない君を《OA》が拒絶してきた、これまでの数々の非礼を詫びる。その上で、どうか協力して欲しい」
「《身喰らう蛇》か?まさか討伐できる目処があったのか」
「ああ。彼女達と、その友人がだよ」
パトロナは、二人の少女とぬいぐるみに手を指し示した。
「アルヴィナのところへ連れて行ってください」
「彼女とは一度話したことがある。理性を保った《狂い火》の少女だな」
うすよごれた白衣を着た男は言った。
「それはいつの話ですか?」
「星綾祭《せいりょうさい》があった日だ。このテントの前を彼女が通りかかってな」
「……あの頃からアルの様子がおかしかった。あなたに《狂い火》と決めつけられたからだ」
ユスティナの言葉にカシウスを責める色が混ざる。
「そう睨むな。実際のところアルヴィナは非常に危うい立場だった。あのまま無邪気に過ごしていれば、何も知らないまま始末されるのが確実だった」
『カシウスの言ってることは本当だよ』
『過去の〈OA〉の通信を傍受すると、アルに《狂い火》の容疑がかかっていたのはほぼ入学初期からみたい』
ユスティナは黙り込んだ後、カシウスに頭を下げる。
カシウスは自分を庇うエリちゃんズに、「君たちを作った生徒と話がしたかったものだ」と苦笑いする。
「カシウスさんが純粋な善意でアルのことを心配してくれていたのは感謝するわ。それで、あなたの持っている移動手段ってなんなの?」
「これさ」
カシウスが忙しく歩き回って機材の上から引き剥がしていた、大きなシートの中身の全貌が姿を表した。
「空を飛ぶ《魔法器》、〈飛行器〉だ」
左右に大きな羽が着いた、鉄と木でできた鳥。側面には『メテオリート』と文字が書かれている。
「飛行、ってこれが飛ぶんですか?」
「まだ試験はしていないがな。飛ぶ。私は魔法遣いではないから使えないし、危険だからと引き受けてくれる魔法遣いもいなかったが。君たち優秀な生徒なら問題ないだろう」
不安になる事実をさらっと告げる。
「エリス、構造がわかるか?」
『うーん、エリちゃん達は視覚情報を取得できないからなんとも……』
『カッシー、これが飛ぶ理論を口頭で教えて』
『てみじかに』
カシウスは、「実に奇妙な体験だな」と困惑しながら、『エリちゃ』と二台の〈ステラソナ〉に向かって説明をし始めた。
カシウスの講義をユスティナは隣で聞いていたが、自分の役に立つ出番はないとレティシアは一人離れて〈飛行器〉を見上げる。その目には思い詰めた涙で潤んでいる。
(どうやったらアルと並び立てるか、ずっと考えてきた。そのためには、あの子と同じ目線で世界を見なければだめ。今のあたしなら、あんたの心の奥底にあったものを、やっとわかってあげられるかもしれない)
持たざる者の渇望。レティシアの心に欠けていたもの。彼女の瞳の奥で、炎がちらついた。
「カシウス、魔法遣いではない君を《OA》が拒絶してきた、これまでの数々の非礼を詫びる。その上で、どうか協力して欲しい」
「《身喰らう蛇》か?まさか討伐できる目処があったのか」
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パトロナは、二人の少女とぬいぐるみに手を指し示した。
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うすよごれた白衣を着た男は言った。
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「星綾祭《せいりょうさい》があった日だ。このテントの前を彼女が通りかかってな」
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ユスティナの言葉にカシウスを責める色が混ざる。
「そう睨むな。実際のところアルヴィナは非常に危うい立場だった。あのまま無邪気に過ごしていれば、何も知らないまま始末されるのが確実だった」
『カシウスの言ってることは本当だよ』
『過去の〈OA〉の通信を傍受すると、アルに《狂い火》の容疑がかかっていたのはほぼ入学初期からみたい』
ユスティナは黙り込んだ後、カシウスに頭を下げる。
カシウスは自分を庇うエリちゃんズに、「君たちを作った生徒と話がしたかったものだ」と苦笑いする。
「カシウスさんが純粋な善意でアルのことを心配してくれていたのは感謝するわ。それで、あなたの持っている移動手段ってなんなの?」
「これさ」
カシウスが忙しく歩き回って機材の上から引き剥がしていた、大きなシートの中身の全貌が姿を表した。
「空を飛ぶ《魔法器》、〈飛行器〉だ」
左右に大きな羽が着いた、鉄と木でできた鳥。側面には『メテオリート』と文字が書かれている。
「飛行、ってこれが飛ぶんですか?」
「まだ試験はしていないがな。飛ぶ。私は魔法遣いではないから使えないし、危険だからと引き受けてくれる魔法遣いもいなかったが。君たち優秀な生徒なら問題ないだろう」
不安になる事実をさらっと告げる。
「エリス、構造がわかるか?」
『うーん、エリちゃん達は視覚情報を取得できないからなんとも……』
『カッシー、これが飛ぶ理論を口頭で教えて』
『てみじかに』
カシウスは、「実に奇妙な体験だな」と困惑しながら、『エリちゃ』と二台の〈ステラソナ〉に向かって説明をし始めた。
カシウスの講義をユスティナは隣で聞いていたが、自分の役に立つ出番はないとレティシアは一人離れて〈飛行器〉を見上げる。その目には思い詰めた涙で潤んでいる。
(どうやったらアルと並び立てるか、ずっと考えてきた。そのためには、あの子と同じ目線で世界を見なければだめ。今のあたしなら、あんたの心の奥底にあったものを、やっとわかってあげられるかもしれない)
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