落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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二章

番外編 出会い(レオン視点)

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「次は、こちらの書類の確認をお願いします」

「げっ!?」

書類の山を片付けたと思ったら、新しい書類の山を出されて、うんざりしてくる。

「レグリウス家の令息を呼びますか?」

俺の様子を見ていた補佐官が、言った言葉に、思わず頷きそうになる。だが、最近、公爵家の仕事もやり始めたと言っていた。そんな大変な時に、さすがに俺の仕事まで手伝ってくれとは頼みづらい。

「オルフェも、公爵家の仕事で忙しいのに、呼べるわけないだろう」

少し不貞腐れるように言えば、不快な言葉を言ってきた。

「側近なら、殿下の仕事を手伝うのは、当たり前ではないですか?」

「オルフェは、側近じゃない…。今度、その言葉を言ったら、此処で仕事出来なくなると思え…」

俺の本気を感じたのか、補佐官は慌てて謝罪すると、逃げるように部屋を出て行った。前までだったら、忠告するよりも先に、手が出ていたなと、昔を思い出していた。

俺がまだ学院に通っていた頃、学院の廊下を歩いていたら、知らない奴からいきなり声を掛けられた。

「レオン殿下!少しお時間よろしいでしょうか!?」

嫌な予感に、俺は不快感を隠すこともせずに、視線を向ける。すると、いかにも勉強が出来る優等生、みたいな格好をしていた連中が立っていた。体格を見ても、鍛えている様子はなく、俺の剣術の相手をするのは無理そうだ。

「レオン殿下!オルフェ様の殿下に対する態度は、あまりにも目にあまります!オルフェ様ではなく、私達を側に置いて下さるのなら、あのような蛮行から、必ず守ってみせます!」

特に発言を許可した覚えはないのに、意味の分からない事を煩く騒ぎ出した。オルフェの事を言う前に、自分の今の行動が、不敬である事を理解していない。

俺が王族で、普段から階級なんて気にもしていないから、こういう勘違い連中が、たまにやって来る事がある。

聞こえが良い事を言っていても、言葉の裏に悪意などが透けて見えるから、嘘を付いているようにしか聞こえない。

オルフェの場合、何か隠してたり、誤魔化そうとはしていても、そこには悪意はなく、むしろ罪悪感を感じているようだった。だから、何か言えない理由があるんだろうと思って、深くは聞かないし、その言葉を疑った事もない。

この場合、受け流せばいいだけだとは分かっている。父上なら、こいつ等を上手く誘導して、自分の利益になるように動かすのだろうが、俺は、こういう奴等とは、付き合いたくもない。それに、俺の感も、コイツとは関わらない方がいいと告げている。

「なあ?俺が誰かに、助けて欲しいなんて一度でも言った所を聞いた事があったか?そもそも、その細腕でどうやって俺を守るんだよ。そんな言葉は、一度でも俺に勝ってから言うんだな」

面倒だったが、はっきり言わないと、いつまでも諦めない奴が多い。王族に媚を売る事しか出来ない連中に、これ以上、時間を使ってやる気はない。

背を向けて歩き出せば、追いすがるように、俺の後を追い掛けて来た。

「お、お待ち下さい!オルフェ様のような側近ではなく…ひっ!!」

聞こえてきた不快の言葉に、俺は振り向きざまに拳を振っていた。

拳は、相手の顔かすめるように壁に当たると、大きな衝撃音が廊下に鳴り響く。拳が当たった所を見ると、拳が壁に少しめり込み、ひび割れていた。その場所からは、パラパラと破片が下へと落ちては、その衝撃の大きさを物語っていた。

「オルフェは…側近じゃねぇ…。二度と間違えるな…」

自分で思っていたより、低い声が出た。相手は、俺の殺意を正面から受けたせいか、顔面蒼白になって足元で震えていた。この程度の殺意で、怖気付くような奴に、オルフェを侮辱されたのかと不快になる。

「ふん!」

俺が背を向けて歩きだせば、今度は、追いかけて来る事はなかった。

昔から感が良かったせいか、嘘や人の悪意とかが何となく分かった。だから、嘘がない、父上達の関係に憧れていた。だけど、王族だからか、俺の周りには嘘や悪意が多かった。

そんなある日、宰相が息子を連れて城に来ると聞いた。オルフェの事は、前々から父上達に聞いて知っていた。だから、1度会ってみたいと思っていたし、父上達みたいな関係に成れるかもしれないと、期待していた。

「レオンだ!よろしくな!」

「レオン殿下。始めまして、オルフェ・レグリウスです。以後、よろしくお願いします」

始めて会った時は、無表情で大人みたいな話し方をするやつだなと思った。でも、悪い奴じゃない事は、何となく分かったけど、何処か壁のような物を感じていた。

「レオンでいいぞ!俺も、オルフェって呼ぶから!それに、話し方も普通でいいぞ!」

「そういうわけには…」

眉間にシワを寄せながら、父親の方へ視線を向けて、何か考え混んでいるようだった。

「オルフェの好きにしたらいいよ。それで、何か言って来るようなら、今度こそ辞職するからね」

視線に気付いたのか、笑顔を浮かべながら、オルフェにそう言っていた。だが、その言葉を聞いた父上は、反対に苦い顔をしていた。

「おい。お前は、よく私の前で、そんな言葉が言えたな…」

「ふん。お前たちが、何も言って来なければいいだけだろう」

「そういう所だけは、昔から何も変わらないな。もう少し、王族を敬え」

「断る」

俺には、何時もの光景だったけど、オルフェには初めて見る光景だったのか、少し驚いているようだった。しばらく、父上達の様子を見て、また何か考え混んでいるようだった。その後、俺の方に向き直ると、確認するように訪ねてきた。

「本当に、普通の話し方でいいのか?」

「おぅ!呼び方も、レオンでいいからな!」

「分かった」

頷くオルフェを見ながら、俺は、どうやって仲良くなろうかと考えていた。
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