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三章
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予定の時間になっても、僕達はまだ出発出来ずにいた。
「……遅いな」
「親父が約束の時間に遅れるなんて、今までなかったんだけどな…」
「そうですよね…。時間とかにも、正確な方ですからね…」
時間が経つにつれて、段々と不安になってきたのか、奥の通りから馬車が見えないか、何度も視線を向けては見返していた。
まだ、約束の時間からたった10分しか過ぎていないけど、今まで遅刻した事がない人が遅刻すると、どうしても不安になって来る。
「何かあったのかな…?」
「何かあったのだとしても、あの人なら直ぐにでも対処し終わるわ。でも、少し時間が掛かっているわね…」
「アル達も城にいるはずですし、大丈夫ですよね?」
僕等を見送った後、父様達も城に向かったはずだから、僕も不安になって来る。
「何かあったのであれば、城から知らせが届くと思います。それに、城には優秀な者が多くいますので、何か起こるはずもありません。しかし、もう少し待っても戻られないようなら、私が城まで様子を見に行って来ます」
少しだけ不安そうな表情を浮かべていた母様達を勇気付けるようにお兄さんは言ったけど、不安はなくならない。僕も、みんなと一緒になって城へと続く道を眺めていたら、遠くの方からこちらに来る馬車の姿が見えた。
「遅いよ!!」
馬車から下りてきたベルンハルト様に、さっきまでもの不安をぶつけるかのように、バルドは直ぐさま不満の言葉を言ったけれど、ベルンハルト様はそれに怒る様子もなく、謝罪の言葉を口にした。
「すまない。話しや支度が長引いてしまい、時間に遅れてしまった」
「ベルは悪くないわ。だって、遅れたのはお兄さまの話しとかが長かったせいだもの。だから、悪いのはお兄さま達よ」
ベルンハルト様の声の後に、知らない女性の声が聞こえたと思ったら、その後ろの馬車から誰かが下りて来た。その人は金髪緑眼で、陛下が髪を伸ばしたらこんな感じかな?というくらい顔はしていた。
だから、会った事がない僕でも、誰が下りてきたのか直ぐに分かったけど、身長は母様より少し高いくらいしかなくて小柄だ。それに、動きやすくするためなのか、身軽そうな薄い服装を着ていて、何だか想像と違う。
「全く、問題を起こすななんて、お兄さまは何時まで私を子供扱いするつもりなのかしら?ねぇ?ベルもそう思うでしょ?」
「……陛下は、カレン様を子供扱いしているわけではないと思いますよ」
「あれが子供扱いじゃないなら、何だって言うの?」
「………」
遠くまで通るような声で話すカレン様と違って、ベルンハルト様は黙りこんで視線をそらしていた。その姿は、さっきまで見ていた姿と似ていた。だけど、母様達の方は会えた事を喜ぶような笑顔を浮かべいた。
「カレン様。お久しぶりです。到着が遅かったので、何かあったのか心配しました。ですが、何事もなくお元気そうで良かったです」
「ふふっ、私がどうにかなるわけないでしょ。それにしても、ラザリアも元気そうで良かったわ。エレナも元気だった?」
「はい。こちらは変わりありませんでしたわ。カレン様もお変わりないようで安心しました」
「なんか、想像と違うな」
母様達の話しを聞きながら、内緒話をするようにバルドがこっそりと僕に耳打ちしてきた。
「俺も、もっと厳つい感じを想像してた」
「ちょっと!聞こえたらどうするんですか!?」
僕も小声で返したら、僕等の隣で話しを聞いていたコンラットが、僕等に小声で注意してきた。
「それにしても、バルドもリュカも大きくなったわね。最後に見た時はまだ小さかったのに、子供の成長って速いわ。私の事覚えてない?」
「お、覚えてないです…」
「俺も…」
突然話し掛けられたから、さっきまでしていた内緒話しを聞かれたかと思ったけど、違うようで安心した。
だけど、母様達も今日まで特に何も言っていなかったから、僕もバルドも初対面だと思っていた。
「カレン様。さすがに生まれたばかりの頃なんて、覚えていないと思いますよ」
「カレン様に会えるのを楽しみにしていたようだったので、驚かせる意味も込めて、エレナにも何も言わないように頼んでいたんです。それに、会った事あるなんて伝えて、前みたいな事が起きたら大変ですし」
ラザリア様がクリスさんの方へと視線を向けると、クリスさんは慌てたように何故か視線をそらした。
「あら?私はちっとも気にしないわよ。だって、2人の子供だと思うと、他人だとは思えないもの。だから、呼び名だって、名前呼びのカレンでもおばさんでもいいわよ」
ウインクをしながらおどけて言う様は、何処か殿下にノリが似ている気がした…。
前の僕みたいに、バルドもお兄さん達の方に助けを求めるような視線を向けていた。その視線の先では、クリスさんは小さく首を横に振っており、お兄さんは僕達にだけ見える角度で、とある方向を指さしていた。その先には、口元しか笑っていないラザリア様がいた。
「い、いえ!カレン様と呼ばせて欲しいです!」
「僕も!」
その顔を見て、僕達の選択肢は一つしかなかった。
「つれないわね。そっちの子達は、今回一緒に行くお友達?」
少しだけ残念そうな顔をしたけれど、カレン様の注意が僕達の側にいたコンラットの方へと移って、少しだけほっとした。
「コンラット・スクトールです。御二人とは、仲良くさせてもらっています」
「ネアです。家名はありません。よろしくお願いします」
「カレンよ。こちらこそ、旅行中よろしくね」
手間を取らせないためなのか、手短に挨拶をする2人に、カレン様も軽く挨拶を返しながら言った。
「初めて会う子もいるし、何か質問があったら答えるわよ?」
「どうやったら強くなれますか!?」
カレン様からの問い掛けに、バルドは目を輝かせながら、まるで挙手でもするかのような勢いで尋ねた。
「そうね。昔からお兄さまの剣術の稽古に混ざってベルに鍛えて貰っていたから、ベルから剣術を教わっていればきっと強くなれるわ」
「本当に!?」
「バルド!」
コンラットから叱責を受けて一瞬、キョトンとした顔をしていたけれど、その後に不味いという顔を浮かべた。
「ふふっ、別にタメ口でも気にしないから、普通に話して大丈夫よ。そっちのネア君も、かなり無理してるみたいだしね」
「……」
カレン様は、無言のネアへと視線を向けると、口元に笑みを浮かべた。
「そういうのは、見ただけで分かるものなんですか?」
「そうね。警戒されているかどうかも、筋肉の緊張ぐあいとかを見れば分かるものよ。それより、何時までもこうして話してたら、向こうで遊ぶ時間が減ってしまうけどいいの?」
「そうだった!遊ぶ時間が減る!ほら!速く乗るぞ!!」
「コンラット!俺達も馬車に乗るぞ!」
「ちょっと!引っ張らないで下さいよ!」
クリスさんの掛け声で、バルドは側にいたコンラットの手を掴むと、それぞれの乗る予定だった馬車へと走って行った。
「ゲンキンな奴ら…」
「これからも、弟達が何かと迷惑を掛ける事が多いかもしれないが、どうか見捨てないでやってくれると嬉しい」
ネアが呆れたような声で小さく言った言葉が聞こえたのか、僕達の側まで来たお兄さんが、少し困ったように笑みを浮かべながら、馬車へと乗り込むバルド達の背を見ながら言った。
そんなお兄さんの様子に気が付く事もなく、乗り込んだバルド達は馬車の窓から僕らに向かって手を振っていた。
「兄貴は何してんだよ!速く乗れって!父さんも!!」
「リュカやネアも!もう行くぞ!」
3人以外まだ誰も乗ってないのに、バルド達はもう出発する気満々だ。大声でこちらを呼ぶ様子を、母様やカレン様は楽しそうに笑って見ているけれど、ラザリア様の表情だけはちょっと怖い。後で叱られなきゃいいけど…。
「これは、我々も早々に乗った方が良さそうだな…」
2人の危険を察知したお兄さんが、母様達を馬車へとエスコートしている間に、僕等も自分達の馬車へと乗り込んだ。
「2人共遅いぞ!」
「……俺達の事を言うより、お前は自分の心配をした方がいいぞ」
「え?何で?」
やっぱり、ラザリア様の表情に気付いていなかったようで、バルドは頭に疑問符を浮かべていた。
「……遅いな」
「親父が約束の時間に遅れるなんて、今までなかったんだけどな…」
「そうですよね…。時間とかにも、正確な方ですからね…」
時間が経つにつれて、段々と不安になってきたのか、奥の通りから馬車が見えないか、何度も視線を向けては見返していた。
まだ、約束の時間からたった10分しか過ぎていないけど、今まで遅刻した事がない人が遅刻すると、どうしても不安になって来る。
「何かあったのかな…?」
「何かあったのだとしても、あの人なら直ぐにでも対処し終わるわ。でも、少し時間が掛かっているわね…」
「アル達も城にいるはずですし、大丈夫ですよね?」
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「何かあったのであれば、城から知らせが届くと思います。それに、城には優秀な者が多くいますので、何か起こるはずもありません。しかし、もう少し待っても戻られないようなら、私が城まで様子を見に行って来ます」
少しだけ不安そうな表情を浮かべていた母様達を勇気付けるようにお兄さんは言ったけど、不安はなくならない。僕も、みんなと一緒になって城へと続く道を眺めていたら、遠くの方からこちらに来る馬車の姿が見えた。
「遅いよ!!」
馬車から下りてきたベルンハルト様に、さっきまでもの不安をぶつけるかのように、バルドは直ぐさま不満の言葉を言ったけれど、ベルンハルト様はそれに怒る様子もなく、謝罪の言葉を口にした。
「すまない。話しや支度が長引いてしまい、時間に遅れてしまった」
「ベルは悪くないわ。だって、遅れたのはお兄さまの話しとかが長かったせいだもの。だから、悪いのはお兄さま達よ」
ベルンハルト様の声の後に、知らない女性の声が聞こえたと思ったら、その後ろの馬車から誰かが下りて来た。その人は金髪緑眼で、陛下が髪を伸ばしたらこんな感じかな?というくらい顔はしていた。
だから、会った事がない僕でも、誰が下りてきたのか直ぐに分かったけど、身長は母様より少し高いくらいしかなくて小柄だ。それに、動きやすくするためなのか、身軽そうな薄い服装を着ていて、何だか想像と違う。
「全く、問題を起こすななんて、お兄さまは何時まで私を子供扱いするつもりなのかしら?ねぇ?ベルもそう思うでしょ?」
「……陛下は、カレン様を子供扱いしているわけではないと思いますよ」
「あれが子供扱いじゃないなら、何だって言うの?」
「………」
遠くまで通るような声で話すカレン様と違って、ベルンハルト様は黙りこんで視線をそらしていた。その姿は、さっきまで見ていた姿と似ていた。だけど、母様達の方は会えた事を喜ぶような笑顔を浮かべいた。
「カレン様。お久しぶりです。到着が遅かったので、何かあったのか心配しました。ですが、何事もなくお元気そうで良かったです」
「ふふっ、私がどうにかなるわけないでしょ。それにしても、ラザリアも元気そうで良かったわ。エレナも元気だった?」
「はい。こちらは変わりありませんでしたわ。カレン様もお変わりないようで安心しました」
「なんか、想像と違うな」
母様達の話しを聞きながら、内緒話をするようにバルドがこっそりと僕に耳打ちしてきた。
「俺も、もっと厳つい感じを想像してた」
「ちょっと!聞こえたらどうするんですか!?」
僕も小声で返したら、僕等の隣で話しを聞いていたコンラットが、僕等に小声で注意してきた。
「それにしても、バルドもリュカも大きくなったわね。最後に見た時はまだ小さかったのに、子供の成長って速いわ。私の事覚えてない?」
「お、覚えてないです…」
「俺も…」
突然話し掛けられたから、さっきまでしていた内緒話しを聞かれたかと思ったけど、違うようで安心した。
だけど、母様達も今日まで特に何も言っていなかったから、僕もバルドも初対面だと思っていた。
「カレン様。さすがに生まれたばかりの頃なんて、覚えていないと思いますよ」
「カレン様に会えるのを楽しみにしていたようだったので、驚かせる意味も込めて、エレナにも何も言わないように頼んでいたんです。それに、会った事あるなんて伝えて、前みたいな事が起きたら大変ですし」
ラザリア様がクリスさんの方へと視線を向けると、クリスさんは慌てたように何故か視線をそらした。
「あら?私はちっとも気にしないわよ。だって、2人の子供だと思うと、他人だとは思えないもの。だから、呼び名だって、名前呼びのカレンでもおばさんでもいいわよ」
ウインクをしながらおどけて言う様は、何処か殿下にノリが似ている気がした…。
前の僕みたいに、バルドもお兄さん達の方に助けを求めるような視線を向けていた。その視線の先では、クリスさんは小さく首を横に振っており、お兄さんは僕達にだけ見える角度で、とある方向を指さしていた。その先には、口元しか笑っていないラザリア様がいた。
「い、いえ!カレン様と呼ばせて欲しいです!」
「僕も!」
その顔を見て、僕達の選択肢は一つしかなかった。
「つれないわね。そっちの子達は、今回一緒に行くお友達?」
少しだけ残念そうな顔をしたけれど、カレン様の注意が僕達の側にいたコンラットの方へと移って、少しだけほっとした。
「コンラット・スクトールです。御二人とは、仲良くさせてもらっています」
「ネアです。家名はありません。よろしくお願いします」
「カレンよ。こちらこそ、旅行中よろしくね」
手間を取らせないためなのか、手短に挨拶をする2人に、カレン様も軽く挨拶を返しながら言った。
「初めて会う子もいるし、何か質問があったら答えるわよ?」
「どうやったら強くなれますか!?」
カレン様からの問い掛けに、バルドは目を輝かせながら、まるで挙手でもするかのような勢いで尋ねた。
「そうね。昔からお兄さまの剣術の稽古に混ざってベルに鍛えて貰っていたから、ベルから剣術を教わっていればきっと強くなれるわ」
「本当に!?」
「バルド!」
コンラットから叱責を受けて一瞬、キョトンとした顔をしていたけれど、その後に不味いという顔を浮かべた。
「ふふっ、別にタメ口でも気にしないから、普通に話して大丈夫よ。そっちのネア君も、かなり無理してるみたいだしね」
「……」
カレン様は、無言のネアへと視線を向けると、口元に笑みを浮かべた。
「そういうのは、見ただけで分かるものなんですか?」
「そうね。警戒されているかどうかも、筋肉の緊張ぐあいとかを見れば分かるものよ。それより、何時までもこうして話してたら、向こうで遊ぶ時間が減ってしまうけどいいの?」
「そうだった!遊ぶ時間が減る!ほら!速く乗るぞ!!」
「コンラット!俺達も馬車に乗るぞ!」
「ちょっと!引っ張らないで下さいよ!」
クリスさんの掛け声で、バルドは側にいたコンラットの手を掴むと、それぞれの乗る予定だった馬車へと走って行った。
「ゲンキンな奴ら…」
「これからも、弟達が何かと迷惑を掛ける事が多いかもしれないが、どうか見捨てないでやってくれると嬉しい」
ネアが呆れたような声で小さく言った言葉が聞こえたのか、僕達の側まで来たお兄さんが、少し困ったように笑みを浮かべながら、馬車へと乗り込むバルド達の背を見ながら言った。
そんなお兄さんの様子に気が付く事もなく、乗り込んだバルド達は馬車の窓から僕らに向かって手を振っていた。
「兄貴は何してんだよ!速く乗れって!父さんも!!」
「リュカやネアも!もう行くぞ!」
3人以外まだ誰も乗ってないのに、バルド達はもう出発する気満々だ。大声でこちらを呼ぶ様子を、母様やカレン様は楽しそうに笑って見ているけれど、ラザリア様の表情だけはちょっと怖い。後で叱られなきゃいいけど…。
「これは、我々も早々に乗った方が良さそうだな…」
2人の危険を察知したお兄さんが、母様達を馬車へとエスコートしている間に、僕等も自分達の馬車へと乗り込んだ。
「2人共遅いぞ!」
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「え?何で?」
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