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三章
休憩
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「ほ、本当に…?」
母様達とベルンハルト様達3人。そして、僕達4人に別れて馬車に乗っていた。その馬車の中で、さっきネアが言った事についての話しになっていた。
「やっぱり、気付いてなかったのか?」
「気付くわけないだろ!」
「私は、そうなるとは思いましたけど…」
「なら止めろよ!!」
「止めようとはしましたよ…でも、聞かなかったでしょう…」
「うぅっ…」
自分でも少しは自覚しているのか、コンラットの言葉に何も言い返せないようだった。
「まあ、旅行中はさすがに怒られる事はないとは思うけどな」
「そうか!なら、大丈夫だな!」
ネアの言葉に安心したように笑ってるけど、帰ったら怒られる事に変わりないんじゃないかな…。でも、みんなも特に何も言うつもりもないみたいだし、それに楽しい旅行に水を差すのも何だから、僕も黙っておこう…。
「なぁ?後、どれくらいで付くんだ?」
僕達の気も知らないまま、バルドだけは呑気な言葉を口にしていた。
「バルド…さっき出発したばかりですよ…」
「それに、途中休憩もはさむから、目的のラクスまではまだ掛かると思うぞ」
「俺、休憩なんかいらないんだけどな」
「貴方のためじゃなくて、馬車を引く馬のためですよ」
「少しは、重い荷物を運ぶ馬の身にもなれ」
不満そうに呟くバルドに、2人が呆れたような視線を向けながら言った。荷物の話しが出て、ネアが持っていた荷物の量を思い出した僕は、ちょっとネアに聞いてみた。
「そういえば、ネアはあれだけの荷物で足りるの?」
「足りるぞ。荷台には品を積むから、常に荷物は最低限しか持ち歩かない。それに、足りなかったら現地で買い足せばいいしな」
何処か旅慣れている感が、僕とは何か違う。僕の場合、あれもこれもと色々と詰め込んじゃうから、少なくしようと思っても、中々荷物が少なくならない。
「そんなもんか?俺はみんなと遊ぼうと思って、遊び道具とかも色々と準備して…あっ!!」
「どうしたんですか?いきなり大声を上げて?」
不思議そうな顔をしていたバルドが、何か大事な事を思い出しように声を上げて固まった。
「俺…遊び道具…荷物と一緒に送った…」
「それはなんとも…バルドらしいですね…」
この世の終わりみたいな顔で落ち込むバルドに、憐れみにも似たような表情を浮かべながら言うコンラットを前に、僕はポケットへと手を延ばして中に入れていた物を取り出した。
「僕、持って来てるよ」
馬車の中でも遊べるようにと思って持って来ていたトランプを出せば、バルドは息を吹き返したように顔を上げた。
「さすがリュカ!さっそくみんなで遊ぼうぜ!!」
「まったく、ゲンキンだな」
「本当ですよね」
「笑うなよな!」
笑いながら言う僕達に、バルドは不満そうな顔をしていたけど、トランプで遊んで過ごしていたら、休憩場所に付く頃にはすっかり機嫌も治っていた。
「此処でしばらく休憩を取る。安全のために魔道具で結界を張るが、半径50メートルにしか効果はない。それに、外からは入れないが中からは外に出られる仕様になっている。念の為、境目は分かるようにしているが、決して興味本位で近付くには行くな」
「ベルにしては、けっこう良い物使っているのね。前は、最低限の備えがあれば十分、みたいな事言っていたのに?」
「私1人で行動しているわけではない状況では、備えは大事だ」
「ふふっ、やっぱり人って本当に変わるものね」
「……」
楽しげに笑うカレン様を、ベルンハルト様は何処か複雑そうな表情で見つめていた。
休憩時間になると、母様達は木陰で楽しげに会話に花を咲かせているし、ベルンハルト様とお兄さんは、馬車に不備が起きてないか確認しているようだった。特にする事もない僕達は、何をして過ごすかを集まって話し合っていた。
「トランプも良いけど、せっかく外にいるんだから、別な事したいよな」
最初、トランプの続きでもしようかと話していると、バルドがそんな事を言った。その言葉で、クリスさんが何か良い事でも閃いたような顔を浮かべた。
「なら、お…カレン様のちょっと剣術とか見せて貰いに行かねぇ?」
途中、何か言い掛けて止めたようだったけど、クリスさんが僕達にそう言ってきた。
「行く!コンラットも行くだろ!?」
クリスさんからの提案に、バルドは楽しげな表情を浮かべながら立ち上がった。
「ご迷惑になりそうなので、止めておいた方が良いと思いますよ」
「大丈夫だって、前に頼んだ事あった時も普通に引き受けてくれたし、今回も大丈夫だろ!」
何処か自身満々に言っているけれど、楽しげに話している母様達の邪魔なんてしたら、怒られるんじゃないのかな…。
「俺はいい」
「僕も剣とよく分かんないから」
「コンラットは?」
「行かないです」
「なら2人で行くか?」
「うん!」
僕達に断られて、2人だけでカレン様の方へと掛けて行くのを、コンラットはそわそわしながら見ていた。すると、急に立ち上がって僕達の方を振り返った。
「やっぱり心配なので、ちょっと私も行ってきます!」
「保護者みたいだな」
2人の後を追うように走って行くコンラットを見ながら、ネアがしみじみと言った。
「本人は認めないと思うけどね」
遠目でしばらく様子を見ていたら、ネアが何かに気付いたように森の方へと視線を向けた。
「どうしたの?」
「何かいる…」
「え!?」
僕の驚きなんか気にもせず立ち上がると、ネアは一人で茂みの方へと歩いて行く。
「ね、ネア!近付かない方が良いんじゃないかな!?」
慌てて後を追いながら声を掛けるけれど、ネアは止まる様子もなく森のへと進んで行く。
ベルンハルト様に怒られるんじゃないかと見渡せば、バルド達が何かやらかしたのか、そちらの方へと歩いて行く姿が見えた。
ネアの事を放っておけなくて付いて行くと、結界の境目の手前で止まった。
「ネア、怒られる前に戻ろう?」
僕がネアに声を掛けていると、目の前の茂みがガサガサといいながら揺れると、子狐らしき動物が姿を現した。よく見ると2つの尻尾が見えるから、普通の狐ではないみたいだけど、所々を怪我をしているようで見ていて痛々しい。
「ちょ、ちょっと、ネア!何処行くの!?」
平然と結界の外へと出て行こうとするネアの服を引っ張って、僕は慌てて止める。
「少し助けに行くだけだ」
「外に出たら駄目って言われたよね!」
「なら、このまま見捨てるのか?」
「それは…」
さすがに見捨てるのは目覚めが悪い。かと言って下手に報告して討伐対象になっても困る…。
「出ても…見つからない?」
「確実に見つかるだろうな」
ネアからの即答に、僕はネアの服を掴みながらどうしようかと頭を抱える。何もしなかったら、ネアは間違いなく外に出そうだ。
「……魔法は?」
「弱い魔法なら、今なら気付かずに使えると思う」
「それなら、近くまで来れば僕の回復魔法で治せるとは思うんだけど…」
試しに、しゃがんで手招きしてみたけれど、警戒しているのか全く近寄って来る様子がない。どうしようかとネアに支線を向ければ、ネアが懐から小さな木箱を取り出して開けると、鼻を引く付かせながら、徐々にだがこちらへと近寄って来た。
ネアが、結界の外の地面に押し出すように木箱を置くと、子狐は警戒しながらも一口食べた。すると、余程美味しかったのか、夢中になって缶詰を食べ始めた。僕がその隙に、回復魔法で傷を治すけれど、それにも気付かずに子狐は食べ続けていた。
食べ終わって、ようやく傷が無い事に気が付いたのか、傷があった所を毛づくろいをするように舐めると、そのまま森へと帰っていた。
「何出したの?」
空になった小さな箱に視線を向けながら尋ねたら、ネアはさも当然のような顔で言った。
「猫用の餌」
「……え?」
てっきり、乾燥させた非常用の保存食か何かだと思ったのに…。そもそも、何で懐に持ってるの?
「狐にも効いて良かった」
「う、うん…」
これは、何か言った方がいいんだろうか…。僕はそんな事を思いながら、最初いた場所へと戻った。
母様達とベルンハルト様達3人。そして、僕達4人に別れて馬車に乗っていた。その馬車の中で、さっきネアが言った事についての話しになっていた。
「やっぱり、気付いてなかったのか?」
「気付くわけないだろ!」
「私は、そうなるとは思いましたけど…」
「なら止めろよ!!」
「止めようとはしましたよ…でも、聞かなかったでしょう…」
「うぅっ…」
自分でも少しは自覚しているのか、コンラットの言葉に何も言い返せないようだった。
「まあ、旅行中はさすがに怒られる事はないとは思うけどな」
「そうか!なら、大丈夫だな!」
ネアの言葉に安心したように笑ってるけど、帰ったら怒られる事に変わりないんじゃないかな…。でも、みんなも特に何も言うつもりもないみたいだし、それに楽しい旅行に水を差すのも何だから、僕も黙っておこう…。
「なぁ?後、どれくらいで付くんだ?」
僕達の気も知らないまま、バルドだけは呑気な言葉を口にしていた。
「バルド…さっき出発したばかりですよ…」
「それに、途中休憩もはさむから、目的のラクスまではまだ掛かると思うぞ」
「俺、休憩なんかいらないんだけどな」
「貴方のためじゃなくて、馬車を引く馬のためですよ」
「少しは、重い荷物を運ぶ馬の身にもなれ」
不満そうに呟くバルドに、2人が呆れたような視線を向けながら言った。荷物の話しが出て、ネアが持っていた荷物の量を思い出した僕は、ちょっとネアに聞いてみた。
「そういえば、ネアはあれだけの荷物で足りるの?」
「足りるぞ。荷台には品を積むから、常に荷物は最低限しか持ち歩かない。それに、足りなかったら現地で買い足せばいいしな」
何処か旅慣れている感が、僕とは何か違う。僕の場合、あれもこれもと色々と詰め込んじゃうから、少なくしようと思っても、中々荷物が少なくならない。
「そんなもんか?俺はみんなと遊ぼうと思って、遊び道具とかも色々と準備して…あっ!!」
「どうしたんですか?いきなり大声を上げて?」
不思議そうな顔をしていたバルドが、何か大事な事を思い出しように声を上げて固まった。
「俺…遊び道具…荷物と一緒に送った…」
「それはなんとも…バルドらしいですね…」
この世の終わりみたいな顔で落ち込むバルドに、憐れみにも似たような表情を浮かべながら言うコンラットを前に、僕はポケットへと手を延ばして中に入れていた物を取り出した。
「僕、持って来てるよ」
馬車の中でも遊べるようにと思って持って来ていたトランプを出せば、バルドは息を吹き返したように顔を上げた。
「さすがリュカ!さっそくみんなで遊ぼうぜ!!」
「まったく、ゲンキンだな」
「本当ですよね」
「笑うなよな!」
笑いながら言う僕達に、バルドは不満そうな顔をしていたけど、トランプで遊んで過ごしていたら、休憩場所に付く頃にはすっかり機嫌も治っていた。
「此処でしばらく休憩を取る。安全のために魔道具で結界を張るが、半径50メートルにしか効果はない。それに、外からは入れないが中からは外に出られる仕様になっている。念の為、境目は分かるようにしているが、決して興味本位で近付くには行くな」
「ベルにしては、けっこう良い物使っているのね。前は、最低限の備えがあれば十分、みたいな事言っていたのに?」
「私1人で行動しているわけではない状況では、備えは大事だ」
「ふふっ、やっぱり人って本当に変わるものね」
「……」
楽しげに笑うカレン様を、ベルンハルト様は何処か複雑そうな表情で見つめていた。
休憩時間になると、母様達は木陰で楽しげに会話に花を咲かせているし、ベルンハルト様とお兄さんは、馬車に不備が起きてないか確認しているようだった。特にする事もない僕達は、何をして過ごすかを集まって話し合っていた。
「トランプも良いけど、せっかく外にいるんだから、別な事したいよな」
最初、トランプの続きでもしようかと話していると、バルドがそんな事を言った。その言葉で、クリスさんが何か良い事でも閃いたような顔を浮かべた。
「なら、お…カレン様のちょっと剣術とか見せて貰いに行かねぇ?」
途中、何か言い掛けて止めたようだったけど、クリスさんが僕達にそう言ってきた。
「行く!コンラットも行くだろ!?」
クリスさんからの提案に、バルドは楽しげな表情を浮かべながら立ち上がった。
「ご迷惑になりそうなので、止めておいた方が良いと思いますよ」
「大丈夫だって、前に頼んだ事あった時も普通に引き受けてくれたし、今回も大丈夫だろ!」
何処か自身満々に言っているけれど、楽しげに話している母様達の邪魔なんてしたら、怒られるんじゃないのかな…。
「俺はいい」
「僕も剣とよく分かんないから」
「コンラットは?」
「行かないです」
「なら2人で行くか?」
「うん!」
僕達に断られて、2人だけでカレン様の方へと掛けて行くのを、コンラットはそわそわしながら見ていた。すると、急に立ち上がって僕達の方を振り返った。
「やっぱり心配なので、ちょっと私も行ってきます!」
「保護者みたいだな」
2人の後を追うように走って行くコンラットを見ながら、ネアがしみじみと言った。
「本人は認めないと思うけどね」
遠目でしばらく様子を見ていたら、ネアが何かに気付いたように森の方へと視線を向けた。
「どうしたの?」
「何かいる…」
「え!?」
僕の驚きなんか気にもせず立ち上がると、ネアは一人で茂みの方へと歩いて行く。
「ね、ネア!近付かない方が良いんじゃないかな!?」
慌てて後を追いながら声を掛けるけれど、ネアは止まる様子もなく森のへと進んで行く。
ベルンハルト様に怒られるんじゃないかと見渡せば、バルド達が何かやらかしたのか、そちらの方へと歩いて行く姿が見えた。
ネアの事を放っておけなくて付いて行くと、結界の境目の手前で止まった。
「ネア、怒られる前に戻ろう?」
僕がネアに声を掛けていると、目の前の茂みがガサガサといいながら揺れると、子狐らしき動物が姿を現した。よく見ると2つの尻尾が見えるから、普通の狐ではないみたいだけど、所々を怪我をしているようで見ていて痛々しい。
「ちょ、ちょっと、ネア!何処行くの!?」
平然と結界の外へと出て行こうとするネアの服を引っ張って、僕は慌てて止める。
「少し助けに行くだけだ」
「外に出たら駄目って言われたよね!」
「なら、このまま見捨てるのか?」
「それは…」
さすがに見捨てるのは目覚めが悪い。かと言って下手に報告して討伐対象になっても困る…。
「出ても…見つからない?」
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ネアからの即答に、僕はネアの服を掴みながらどうしようかと頭を抱える。何もしなかったら、ネアは間違いなく外に出そうだ。
「……魔法は?」
「弱い魔法なら、今なら気付かずに使えると思う」
「それなら、近くまで来れば僕の回復魔法で治せるとは思うんだけど…」
試しに、しゃがんで手招きしてみたけれど、警戒しているのか全く近寄って来る様子がない。どうしようかとネアに支線を向ければ、ネアが懐から小さな木箱を取り出して開けると、鼻を引く付かせながら、徐々にだがこちらへと近寄って来た。
ネアが、結界の外の地面に押し出すように木箱を置くと、子狐は警戒しながらも一口食べた。すると、余程美味しかったのか、夢中になって缶詰を食べ始めた。僕がその隙に、回復魔法で傷を治すけれど、それにも気付かずに子狐は食べ続けていた。
食べ終わって、ようやく傷が無い事に気が付いたのか、傷があった所を毛づくろいをするように舐めると、そのまま森へと帰っていた。
「何出したの?」
空になった小さな箱に視線を向けながら尋ねたら、ネアはさも当然のような顔で言った。
「猫用の餌」
「……え?」
てっきり、乾燥させた非常用の保存食か何かだと思ったのに…。そもそも、何で懐に持ってるの?
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