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ヴィーノのお仕事。

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「母上が奥義を放ち、父上の布団が吹っ飛んだっ!」
「シェルたんナイスっ!」

「家令はカレーが好きだ」
「あぁ、確かに!この世界ならでは!」
前世ではなかなか家令はいないもんねっ!

「スキーは昔、鋤(スキ)だった」
「かは――――――っ!!この世界あるある!この世界あるある!」
※あくまでもこの世界のスキーの成り立ちです

「何故だ……」
後ろからアップフェルの悔しそうな呟きが聞こえてきたが、当たり前じゃんっ!ツッコミスト俺をうならせたきゃこれくらいは言えないと!

そして辿り着いたのは、表通りからちょっと外れるものの、メルヘンで感じのよさそうなカフェ。その名も【えすえむカフェ】。

え?えすえむ?エスエム帝国流カフェってやつだろうか。前世で言うアジアンカフェとか、コスプレカフェみたいな?

恐る恐る扉を開けば、チャリンっ、アハンっといったベルが鳴る。

あれ知ってる!エスエム帝国のベルだ。エスエム帝国のベルをもらったことがあるのだが、チャリンっ、アハンっと鳴るので鳴らしていて結構楽しい。

俺が気に入ったことでエスエム帝国の大使も感激してくれて、他にも『チャリンっ、うふんっ』バージョンや『チ○チ○、ぶんぶんっ』バージョンももらってしまった。

我が国とエスエム帝国の関係性がより一層深まった伝説の会談だったなぁ。

やはり、ここはエスエム帝国流のカフェなのだろうか?

店内に流れる音楽も、エスエム帝国語の歌である。

『アンダメモットォッ!ハゲシクッ、モットハゲシクッ!アンイヤァンモットォ~ッ♪』と流れている。これはエスエム帝国の歌姫ドエスィーヌ・ジョオーウサマーが自ら作詞作曲した『イトッシーノォッ・エムッドレーイ』だ。

「あらぁ、いらっしゃ~いっ!」
そして俺たちを出迎えてくれたのは……

え、と。そのひとは、攻め男性であろう。受け男子だから、なんとなく分かる。もとは攻め男性。首から下がごりマッチョ。だがしかし……

「やだっ!シェレグちゃんじゃないっ!おっひさ~っ!」
と、シェルたんの久々の本名を呼びながらにこっと口髭の青い跡の中心から真っ白な歯を見せてくる、ごりマッチョさん。攻め男性なのに、まるで受け男性お母さまズのようなしゃべり方!

こ、これは。地球ではニューハーフのオネエさんとか、オネエさんとか言われる類い!そしてこの世界でのオネエは……

攻め受けと呼ばれる。身体は攻めでも心は受け!それが攻め受け!こころは受け、身体の作りだけが攻め。しかし抱かれる方。抱きはしない。だって心は受けだものっ!この小説はリバなしだもの……っ!彼、いや彼女はしっかりとその貞操せっていを守っていると見た……!

「え、知り合い?てか、シェルたんの知り合い?」
「あぁ、元部下だ」
何いぃぃっ!!?元騎士だったの!?通りでガタイがいいと……。
てか元部下かあぁぁいっ!

「昔はオトコになるため騎士団に身を置いたのだけど」
この場合の漢と言うのは、受け男子ではなく攻め男子のことである。

「シェレグちゃんは攻め男子に関わらず女性や受け男子も積極的に部下として引き入れた」

「あぁ、浮気オトコに怨みを持つ女性隊員、二股攻めオトコに怨みを持つ受け男子。その野望のために諜報、浮気調査、チ○ポジいじりやキ○タマ狩りの技術を磨いている。無事に身に付け復讐を果たし、巣だって行ったものもいる」
なんつー怨みの行き先ぃっ!!てか明らかに女性が身に付けたらヤバいもの入ってるよっ!
※身に付けたのは希望者のみです

「ほら、この前の第3隊副隊長も元部下だ」
上昇と部下たちがチ○ポジいじりの標的となってる際に女性隊員引き連れて颯爽と撤収していったあの副隊長~~っ!?

まさか、シェルたんの元部下だったなんて。通りでタイミング謀ったかのように撤収したもんだと思ったよ。シェルたんの元部下なら……納得だ。

「だ、か、ら、私もなりたい私になろうと思って退団してこの店を開いたのよ。お陰で大盛況よ?」
そ、そっすか。よかったっすね。

「あの、ところでシェルたん、ヴィーノがここでバイトしてるのは何か関係あるの?」
「あぁ、良いバイト先を紹介してくれた。あの馬鞭捌きを眠らせて置くには惜しい」
いつの間にいぃっ!?てかヴィーノの馬鞭捌きそんなに良かったの!?元部下の店を紹介するほど気に入ったのぉっ!!?

「あ、アップフェルに、師匠にユウェルさまだ~!」
てっけてっけと駆けてきたのは、この世界のではなくミニスカメイド服姿のヴィーノだった。いや、女装かいぃっ!ほんまもんのウェートレスやないかいっ!そして手には……何故か馬鞭を持っていた。

そしてシェルたんいつの間に師匠だよっ!そして俺の呼び方については、以前女王さまとか大公夫人お義母さまとかよく分からない呼び方をしてきたので矯正させた。

俺の名を呼ばせることに不満げだったシェルたんには、ユウェルたん呼びがあるんだからとちゅーをすれば渋々納得してくれた。うーん、もしかしたらヴィーノも将来いいままんになるかもしれないと、ちょっと思った俺である。

あぁ、もちろんアップフェルには俺の名前呼びは許可されてない。

「アップフェルも来てくれたんだね!ちょうどいいかも!ステージに来てっ!」
ステージ?
ヴィーノがアップフェルの手首を引っ張って、客席の前に用意されたステージに誘導し、ビシバシとアップフェルのお尻を馬鞭で捌く。

ピシィンッ

するとアップフェルはーー

「アップルプルフェエェルッ!」

パシィンッ

「アンダメモットォッ!!」
うん、エスエム帝国語も上手になった。客席からもわーわーと歓声が響き……

「アップルプルフェエェルッ!アンダメモットォッ!!」

ヴィーノの鞭捌きに良い声を響かせるアップフェルに拍手が贈られる。

「ほんと、いいこ紹介してくれて、シェレグちゃんには感謝よ~」
「うむ、引き続き励むが良い」
「もちろんよぉっ!ほら、これは私からのサービス!」 
ママさんが俺たちにトロピカルジュースを出してくれたので、美味しくいただきながらエスエムショーを観賞したのであった。

いや、こっちのエスエムカフェかよぉぉっ!!!
しかも真っ昼間からぁっ!!
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