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婚約破棄殺人事件
婚約破棄殺人事件⑤
しおりを挟む「では、改めてビアンカ・ローズサファイア公爵令嬢!」
「あー、はい。ヴィンセント・ホーリーストーン公爵令息」
「がはぁっ!また口上を……」
「あ、ごめんなさい、つい」
「こら、ビアンカ嬢!ちゃんと彼の口上を聞きたまえ!」
「いや、何の拷問だよこれ」
「拷問……っ」
ひっ。ついつい口から滑り落ちた言葉に、拷問解剖大好き魔法解剖医が食い付いてしまったぁっ!!
「いや、今はヴィンセント・ホーリーストーン公爵令息の口上シーンだから……あ、また言っちゃった……!」
「あう……えっぐ……うぐ……っ、ぼ、ぼくは……ヴィヴィ~~ンセントおぉぉっ、ほ、ひっぐ。ほーりー、すとぉん……こうしゃ……っ、令息ぅ……」
つーか既に泣き出しちゃったんだけど!?聖騎士さま公爵令息~~っ!
「ほ~ら、頑張るんだヴィンセント!もう少し!もう少しでゴールだぞ!!」
「ふれっふれっ、ヴィンセントさまっ!」
しかもほかの2人に応援されてるし……!
「ぼくはビアンカちゃ……ビアンカ・ローズサファイアとの婚約を、破棄ずるぅぅぅ――――――っ!」
「あの、一瞬『ビアンカちゃん』って……呼ぼうとしました?公爵家の子女同士交流はあるとはいえ……『ちゃん』……」
「ゆってないもん……!」
駄々っ子か――――――いっ!
「まぁ、それならそれでいいとはいえ……その、あなたたち、ちょっと私からも言いたいことがあるのですけど」
「ふん……どんな言い訳を並べたところで、この婚約は破棄されるべきものだ」
「いや、破棄も何も……」
「もう陛下にも許可を得た」
「え、本気なの?本当に陛下に?陛下はなんて……」
「私の新たな婚約を祝福すると。来なさい、アリア」
「はい。ベリルさま」
そしてやって来たのは薄紫の髪にライトブルーの瞳のとても美しい少女だ。ここに来て……誰――――――っ!?
ちょっと……あなた、アマリリスちゃんといい感じ何じゃなかったの!?断罪破棄して婚約宣言するんじゃなかったの……っ!?
「ブルーサファイア王国王女、アリア・ブルーサファイアと申します」
まさかの隣国ブルーサファイア王国の……王女おぉぉっ!?断罪劇と言ったら男爵令嬢がテンプレなのに、またすんごい大穴引っ掻けてきたわね、王太子殿下!
「私は……彼女と婚約をする!」
「お……おめでとうございます……?」
「いや、その……ありがとう」
何か素直ね。
「だが……!」
そうは問屋が卸さないのかしら。
「君は婚約破棄をされているのだと言うことを忘れてはならない……!」
「いやだからそれは……!」
説明しようとしたその時。視界のはしで何かが動いた……?
『あぁぁぁぁぁ――――――――っ!?』
ひぃ……っ!?
「死体が……動いたぁ――――――――っ!?」
もうこんな断罪現場、いや――――――――――っ!私……無事に乗り切れるのかしら……この修羅場……殺人断罪現場……。でも……せっかく前世の記憶も戻ったわけだし何としても乗り切って、生き延びたい……。
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