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欲情する性欲
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秋口の朝は、思っている以上に冷える。
海からの風は、日が昇る前の街をぬるく吹き抜け、皮膚の温度をじわじわと奪っていく。
この日も、村瀬秀昭は港のいつもの場所に腰を下ろしていた。
横には、例の男――藤代昭吾がいる。
重たい体を折りたたみ、道具を組み、缶コーヒーを渡し合う。
たったそれだけの時間が、週に一度の“心の再起動”になっていた。
けれど、この頃から秀昭は、あることに気づいていた。
彼は、自分のことを時折じっと見ている。
餌を付けているとき、針を結んでいるとき。
とくに、背を丸めて竿を抱えるように前屈みになったとき、視線が下腹あたりに絡んでいるのを感じた。
(……あれは、男の目だ)
そう思うたびに、秀昭の胸はざらざらと疼いた。
恥ずかしさと、でもそこに生まれる奇妙な昂ぶり。
ただ見られている、それだけで、性器が意識を持ち始めるような――。
その日、風が少し強く、釣りにならない状況だった。
仕掛けは風に煽られ、海面は細かい波が立っている。
「今日はダメかな……」
そうつぶやくと、隣の昭吾がぼそっと呟いた。
「裏に、ちょっと休めるとこある……」
「……?」
「倉庫。古いけど、鍵はない。風もしのげる……」
何気ない言葉のようだった。だが、秀昭の中で何かが強く脈打った。
男の太い指がクーラーボックスの取手を持ち上げる。
その後ろ姿を、自然と追いかけていた。
防波堤の裏手にある倉庫は、古びてはいたが、ちゃんと壁も屋根もあった。
中は薄暗く、魚の匂いと鉄の匂いが混じっていた。
埃っぽい床に、昭吾が無造作にレジャーシートを広げる。
そして、何も言わずに、秀昭の前に立った。
「……なあ?」
低い声が、空気を揺らす。
「ちょっと、触っていいか?」
言葉の意味を理解するより早く、指が腹に伸びてきた。
服の上から、腹の肉をつまむように、ゆっくりと撫でる。
「やっぱ、柔らけぇな……」
囁くような声。
次の瞬間、秀昭は壁際に押しつけられていた。
分厚い手が両肩を押さえつけ、額が昭吾の胸に沈む。
服越しでもわかる体温、汗の香り、ゴツい胸板。
その中心に、固く盛り上がった膨らみが触れた。
(勃ってる……)
瞬間、下腹がぎゅっと熱くなった。
昭吾はゆっくりと上着を剥ぎ取り、下着越しに尻を撫でた。
掌全体で包み込むように、揉みしだく。
「すげぇ……これがたまらん……」
「やわらかくて、でっけぇ尻。こういうのが、いちばん欲情するんだよ……」
ズボンをずり下げられ、パンツを膝まで降ろされた。
尻の谷間が冷気に晒され、羞恥と興奮が混じり合う。
ぐっと背中を押され、自然と四つん這いになる体勢に。
「指、入れるぞ。ちょっと冷てぇ……」
唾を垂らし、そのまま人差し指が割れ目に沿って滑った。
ぬるぬると広がる指先。
肛門がきゅっと収縮する。
「緊張してるな。けど……締まりがいい……」
指が第一関節まで沈み込む。
呼吸が震えた。
「うっ……」
声を殺す。壁越しに外の風音が聞こえる。
だが、その音がどんどん遠くなる。
昭吾は指を二本、三本と入れてきた。
奥を抉るように、ゆっくりと穴を拡げる。
秀昭は自分の腹が垂れて、床に擦れそうになるのを感じながら、
ただ、耐えていた。
いや、快楽の中で崩れていくのを止められなかった。
そして――
「入れるぞ!」
ズルリ、と音を立てて現れた昭吾の性器は、ぶっとく、長く、怒張していた。
濡れた亀頭が尻の間に触れた瞬間、全身が震えた。
そのまま腰をゆっくりと押し込まれる。
「う、あ、あぁ……っ」
ズズ……ズチュ……という、生々しい音。
肛門が引き裂かれるような感覚と、奥に押し当てられる圧。
「やっぱ……お前の尻、最高だな……」
昭吾が低く、熱を帯びた声で呟いた。
何度も腰を打ちつけるたび、肉と肉がぶつかり、腹が揺れ、尻が震える。
汗が垂れ、呼吸が乱れ、
中年の脂肪に覆われた二人の体が、まるでひとつの生き物のように絡み合っていく。
「声、出すなよ。誰か来たら終わりだ……」
そう囁きながら、昭吾は激しく突き上げた。
奥まで届いた衝撃に、秀昭は耐えきれず、前に倒れた。
触ってないのに精液が噴き出し、腹の前を汚した。
同時に、昭吾が呻き声を洩らしながら奥で脈打つ。
「……中、出すぞ。もう…我慢できねぇ……」
ズプ……ッと、何度も震えながら、昭吾の熱が、奥へ奥へと注がれていった。
しばらくの沈黙のあと。
ふたりは息を切らしながら、ただ並んで座った。
昭吾が缶コーヒーを差し出す。
「甘いやつ、残しといた……」
それを受け取りながら、秀昭はぽつりと呟いた。
「……ずるいな……」
「なにが?」
「そんなふうに抱かれたら、もう他の誰にも無理だよ?」
昭吾は、ほんの少しだけ笑ったように見えた。
それは波の音よりも静かで、
けれど、秀昭の心に一番強く届いた音だった。
海からの風は、日が昇る前の街をぬるく吹き抜け、皮膚の温度をじわじわと奪っていく。
この日も、村瀬秀昭は港のいつもの場所に腰を下ろしていた。
横には、例の男――藤代昭吾がいる。
重たい体を折りたたみ、道具を組み、缶コーヒーを渡し合う。
たったそれだけの時間が、週に一度の“心の再起動”になっていた。
けれど、この頃から秀昭は、あることに気づいていた。
彼は、自分のことを時折じっと見ている。
餌を付けているとき、針を結んでいるとき。
とくに、背を丸めて竿を抱えるように前屈みになったとき、視線が下腹あたりに絡んでいるのを感じた。
(……あれは、男の目だ)
そう思うたびに、秀昭の胸はざらざらと疼いた。
恥ずかしさと、でもそこに生まれる奇妙な昂ぶり。
ただ見られている、それだけで、性器が意識を持ち始めるような――。
その日、風が少し強く、釣りにならない状況だった。
仕掛けは風に煽られ、海面は細かい波が立っている。
「今日はダメかな……」
そうつぶやくと、隣の昭吾がぼそっと呟いた。
「裏に、ちょっと休めるとこある……」
「……?」
「倉庫。古いけど、鍵はない。風もしのげる……」
何気ない言葉のようだった。だが、秀昭の中で何かが強く脈打った。
男の太い指がクーラーボックスの取手を持ち上げる。
その後ろ姿を、自然と追いかけていた。
防波堤の裏手にある倉庫は、古びてはいたが、ちゃんと壁も屋根もあった。
中は薄暗く、魚の匂いと鉄の匂いが混じっていた。
埃っぽい床に、昭吾が無造作にレジャーシートを広げる。
そして、何も言わずに、秀昭の前に立った。
「……なあ?」
低い声が、空気を揺らす。
「ちょっと、触っていいか?」
言葉の意味を理解するより早く、指が腹に伸びてきた。
服の上から、腹の肉をつまむように、ゆっくりと撫でる。
「やっぱ、柔らけぇな……」
囁くような声。
次の瞬間、秀昭は壁際に押しつけられていた。
分厚い手が両肩を押さえつけ、額が昭吾の胸に沈む。
服越しでもわかる体温、汗の香り、ゴツい胸板。
その中心に、固く盛り上がった膨らみが触れた。
(勃ってる……)
瞬間、下腹がぎゅっと熱くなった。
昭吾はゆっくりと上着を剥ぎ取り、下着越しに尻を撫でた。
掌全体で包み込むように、揉みしだく。
「すげぇ……これがたまらん……」
「やわらかくて、でっけぇ尻。こういうのが、いちばん欲情するんだよ……」
ズボンをずり下げられ、パンツを膝まで降ろされた。
尻の谷間が冷気に晒され、羞恥と興奮が混じり合う。
ぐっと背中を押され、自然と四つん這いになる体勢に。
「指、入れるぞ。ちょっと冷てぇ……」
唾を垂らし、そのまま人差し指が割れ目に沿って滑った。
ぬるぬると広がる指先。
肛門がきゅっと収縮する。
「緊張してるな。けど……締まりがいい……」
指が第一関節まで沈み込む。
呼吸が震えた。
「うっ……」
声を殺す。壁越しに外の風音が聞こえる。
だが、その音がどんどん遠くなる。
昭吾は指を二本、三本と入れてきた。
奥を抉るように、ゆっくりと穴を拡げる。
秀昭は自分の腹が垂れて、床に擦れそうになるのを感じながら、
ただ、耐えていた。
いや、快楽の中で崩れていくのを止められなかった。
そして――
「入れるぞ!」
ズルリ、と音を立てて現れた昭吾の性器は、ぶっとく、長く、怒張していた。
濡れた亀頭が尻の間に触れた瞬間、全身が震えた。
そのまま腰をゆっくりと押し込まれる。
「う、あ、あぁ……っ」
ズズ……ズチュ……という、生々しい音。
肛門が引き裂かれるような感覚と、奥に押し当てられる圧。
「やっぱ……お前の尻、最高だな……」
昭吾が低く、熱を帯びた声で呟いた。
何度も腰を打ちつけるたび、肉と肉がぶつかり、腹が揺れ、尻が震える。
汗が垂れ、呼吸が乱れ、
中年の脂肪に覆われた二人の体が、まるでひとつの生き物のように絡み合っていく。
「声、出すなよ。誰か来たら終わりだ……」
そう囁きながら、昭吾は激しく突き上げた。
奥まで届いた衝撃に、秀昭は耐えきれず、前に倒れた。
触ってないのに精液が噴き出し、腹の前を汚した。
同時に、昭吾が呻き声を洩らしながら奥で脈打つ。
「……中、出すぞ。もう…我慢できねぇ……」
ズプ……ッと、何度も震えながら、昭吾の熱が、奥へ奥へと注がれていった。
しばらくの沈黙のあと。
ふたりは息を切らしながら、ただ並んで座った。
昭吾が缶コーヒーを差し出す。
「甘いやつ、残しといた……」
それを受け取りながら、秀昭はぽつりと呟いた。
「……ずるいな……」
「なにが?」
「そんなふうに抱かれたら、もう他の誰にも無理だよ?」
昭吾は、ほんの少しだけ笑ったように見えた。
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