秘書

むちむちボディ

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ライバル

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井上が入ってきてからも広瀬社長はいつものように私を愛してくれた。
もちろん残業もしたり、外でのデートもこっそりと時間を作ってくれていた。
でも若干よそよそしさが見え隠れする感じがしていた。
それは気のせいかもしれないけど…。

久しぶりに学生アメフトで一緒に戦っていた同級生の井口から連絡があり、
久々に飲みに行かないかとのお誘いがあった。
井口は大学時代に1番仲が良かった同級生で、一緒に悪いことしたり、悩み相談したり、青春してた。
二つ返事でオッケーした私は金曜の夜に時間を決めて会う事になった。
久々の同級生との飲み会を楽しみにしていた木曜に広瀬社長から
「青木くん、明日の夜の予定は空いてるかな?」
とのお誘いが…。
「あ、すみません。大学の同級生と飲みに行く約束が入ってまして…。」
と伝えると広瀬社長は残念そうな顔をしながら、
「そうなんだね。それは仕方ないね。楽しんできてね。」
と言われた。
せっかくのお誘いを断るのは嫌な予感がしたが、今回は仕方ないと割り切った。
金曜の夜、井口と駅前の居酒屋で落ち合って、最近の状況や大学時代のバカ話をして盛り上がった。
「青木は彼女居ないんか?」
「今のところはね。そう言う井口はどうなの?」
「それがさ、結婚しようかと思う人が出来たんだよね。」
「えー、ホント?良かったじゃん。また今度会わせてよ。」
などとノンケ話をしながら楽しく飲み会は終わった。
井口と駅に戻る途中、見慣れたぽっちゃり姿の2人…
なんとバッタリと出会ってしまったのである。
それは広瀬社長と井上が仲良さそうに歩いていたのだった。
飲み帰りだろうか、井上はかなり酔っている感じで広瀬社長が介抱しながら肩を寄せていた。
広瀬社長の視線が私の方を向いて、目が合った。
「………」
言葉が出なかったが、その場で私は硬直してしまった。
井口が、
「知り合い?」
「あ、いや。なんでもないよ。」
そう言って井口と共にその場を立ち去った。
さすがにその場には居られなかった。
幸い井上には気付かれて無いようであったが…。
私の嫌な予感は当たってしまった。
でも自分が断らなければと私は自責の念に苛まれた。
後悔しても仕方がないのだが、断らなければこんな場面に遭遇してないと思うと
余計に後悔しかなかった。
駅で井口と別れた後、私は家に帰るまでの暗い夜道で涙した。
広瀬社長からLINEが来ていたようであるが、読んでもなかった。
気が重い週末をくぐり抜け、月曜は休もうかとも思ったが、
逃げる訳にもいかないと思い気持ちを切り替えて出勤した。
「おはようございます。」
軽く広瀬社長に挨拶をしてデスクに着いた。
「おはよう。青木くん、あとでちょっと話があるんだが。」
と広瀬社長が伝えてきた。
私はいたって冷静に
「分かりました。ご都合良い時間に言って頂ければ。」
と返事して、パソコンに向かった。
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